【完結】キラメキ・リンク!~煌めきの彼方へ~ 作:匿名女児
「カサネさん……引退するんだよね」
ヒカリが、部室のテレビを見つめていた。
画面には、先日のニュースで流れていたカサネの姿が映っている。
十二月の公式大会。
それを最後に、アイドル活動から引退する。
「うん」
ユウヒが頷く。
「ニュースで発表されてから、ずっと話題になってるね」
「……」
リカは腕を組んで考えている。
「やっぱりさ」
「え?」
「ウチたちも、その大会に出ようよ」
ヒカリが振り返る。
「十二月の公式大会に?」
「そう!」
リカが拳を握る。
「せっかくなら、最後のカサネさんと同じステージに立ちたいじゃん!」
「でも……」
カリンが少し不安そうに口を開く。
「グループを組んでから、正式な大会に出たことがありません」
ユウヒが言う。
「出るためには、まず予選を突破しないといけないね」
「予選……」
ヒカリが呟く。
「調べてみたら、十月に一次予選があるみたい」
ユウヒが続ける。
「そこを勝ち抜けば、二次予選に出場できる」
「じゃあ!」
ヒカリが立ち上がる。
「十月の予選に出よう!」
「賛成!」
リカも立ち上がる。
「……わかりました」
カリンが三人を見る。
「私も出ます」
「カリン!」
「私の衣装が……私たち四人の力が、どこまで届けられるのか……」
カリンは胸元に手を当てる。
「試してみたいです」
ユウヒが微笑む。
「決まりだね」
四人が頷く。
「十月の一次予選」
ヒカリが拳を握る。
「絶対に優勝しよう!」
◆
──それから。
四人の練習は、今まで以上に厳しくなった。
「もう一回!」
リカが声を上げる。
「はい!」
カリンが頷く。
音楽が流れる。
四人が一斉に動く。
ステップ。
ターン。
歌。
フォーメーション。
これまでとは違い、四人で息を合わせなければならない。
「タイミング、少しずれてたね」
ユウヒが確認する。
「ごめん!」
ヒカリが頭を下げる。
「もう一度やろう」
「うん!」
カリンも頷く。
そして、また音楽が始まる。
何度も。
何度も。
失敗して。
直して。
また挑戦する。
◆
十月の大会も近づいた頃──
「……できた」
四人がステージの上で息を切らしていた。
「今の、全部揃ってたよ!」
ヒカリが嬉しそうに笑う。
「うん」
ユウヒも頷く。
「キラメキアクトも、安定してきたね」
四人の周囲には、四つの色の煌めきが浮かんでいる。
桃色。
青。
黄色。
緑。
以前なら、不安定だった煌めき。
今では、四人が歌い踊ることで、自然と生まれるようになっていた。
カリンが光を見つめる。
「初級のキラメキアクトは、ちゃんと使えるようになったネコね」
キャルも満足そうに頷く。
ヒカリが笑う。
「うん!」
リカが拳を握る。
「これなら大会でもいける!」
ユウヒが続ける。
「でも、他のアイドルもきっと成長してる。このまま頑張ろう!」
「おー!」
四人の煌めきをキャルは眩しそうに眺めていた。
◆
練習は続いた。
あの夏に出したキラメキアクトを超えられるよう。
一人で発現させるのとは難易度が違う。
人数が増えるほど、煌めきのバランスやイメージの共有が難しくなる。
しかし、難易度が高ければ高いほど、煌めきの純度は高まる。
「ヒカリ!ワンテンポ遅れてる!」
リカが確認する。
「カリン、音程ずれてるよ!」
ユウヒが指摘する。
音楽が流れる。
歌う。
踊る。
煌めきが集まっていく。
そして──
煌めきがステージを埋めていく。
昼の太陽。
青い空。
草原。
「よし!」
「ここから、私たちの色を重ねる!」
リカが続く。
「黄色!」
黄色の煌めきが広がる。
けれど──
「うわっ!」
光がぶつかり合い、煌めきが一瞬で消えてしまった。
「失敗……」
リカが肩を落とす。
「海でライブしていた時はできてたのに……」
ユウヒが考える。
「煌めきのバランス……イメージの共有……それぞれの煌めきを、別々に出すんじゃない」
カリンが呟く。
「つなげる……」
「そっか!」
ヒカリが頷く。
「Color☆Link!」
◆
何度も失敗した。
花畑が消える。
光が散る。
タイミングが合わない。
けれど。
四人は諦めなかった。
「もう一回!」
「はい!」
「次はもっと合わせよう!」
「うん!」
そして──
「今!」
四人が同時に動く。
桃色。
青色。
黄色。
緑色。
四つの煌めきが、それぞれの場所へ広がっていく。
桃色の花。
青い花。
黄色の花。
緑色の花。
やがて。
四つの花畑が、途切れることなく一つにつながった。
「……!」
四人が目を見開く。
ステージいっぱいに広がる、四色の花畑。
昼の太陽が輝き。
花びらが風に舞う。
四人の歌声が重なっていく。
「できた……!」
ヒカリが笑う。
「これが……」
ユウヒが光を見つめる。
「中級のキラメキアクトネコね」
「Color☆Linkの煌めきだね!」
リカが笑う。
カリンも嬉しそうに頷く。
「四つの色がつながって、一つの景色になっています」
四人の周囲で、煌めきがさらに強くなる。
◆
──十月。
予選大会当日。
大きな会場。
全国から集まったアイドルたちが、ステージへ向けて準備をしている。
「緊張する……」
カリンが呟く。
「ウチは楽しみ!」
リカが笑う。
「私は……ちょっと怖いかも」
ヒカリが胸に手を当てる。
「でも」
ユウヒが三人を見る。
「ここまで練習してきた」
「うん」
「四人なら大丈夫」
「はい!」
カリンが頷く。
名前が呼ばれる。
『次の出場グループは、Color☆Link!』
「行こう!」
四人がステージへ駆け出した。
◆
──予選大会。
四人は歌う。
踊る。
息を合わせる。
桃色。
青色。
黄色。
緑色。
四つの煌めきが、ステージを彩る。
そして──
中級キラメキアクト。
四人の周囲に煌めきが集まり、安定した光となって広がっていく。
さらに。
最後のサビ。
四人が手を伸ばす。
昼の光がステージを包み込む。
桃色の花。
青色の花。
黄色の花。
緑色の花。
四つの煌めきがつながり、ステージいっぱいの大きな花園へ変わっていく。
無数の花びらが舞う。
四人の煌めきが一つになる。
「これが──」
ヒカリが笑う。
「Color☆Link!」
最後のポーズ。
光が大きく弾けた。
──大歓声。
◆
そして。
予選大会の結果発表。
「優勝は──」
会場が静まり返る。
「Color☆Link!」
「……!」
一瞬。
四人は動かなかった。
「やったぁぁぁ!」
ヒカリが叫ぶ。
「勝った!」
リカが飛び跳ねる。
「本当に……?」
カリンが目を見開く。
「私たちが……優勝……」
ユウヒが微笑む。
「これで、十一月の二次予選に出られる」
「はい!」
カリンの目に涙が浮かぶ。
「四人で……ここまで来たんですね」
「まだ終わりじゃないよ」
ヒカリが笑う。
「むしろ、ここから!」
「そうだね」
ユウヒが頷く。
「十二月には、カサネさんがいる」
リカが拳を握る。
「だったら!」
四人が顔を見合わせる。
「もっと頑張ろう!」
◆
──予選大会から数日後。
放課後の部室。
「十二月……」
ヒカリが写真を見つめる。
「カサネさんの最後の大会」
ユウヒが頷く。
「そこに、私たちも立つ」
「うん」
リカが笑う。
「絶対に、いいライブにしよう!」
「はい」
カリンも頷く。
四人の手が重なる。
「Color☆Link!ファイト!オー!」
四人の声が響く。
桃色。
青色。
黄色。
緑色。
四つの煌めきが、ほんの少しだけ部室を照らしました。
それぞれの想いを胸に。
四人は、最後の大会へ向けて歩き始めたのでした。