【完結】キラメキ・リンク!~煌めきの彼方へ~ 作:匿名女児
──十一月。
十二月の公式大会を目前に控えた、二次予選大会。
大きな会場には、全国各地から集まったアイドルたちが集まっていた。
客席も満員に近い。
ステージの中央には、大会専用の巨大な舞台。
「すごい……」
ヒカリがステージを見上げる。
「ここで二次予選をやるんだ……」
「緊張してる?」
ユウヒが尋ねる。
「……ちょっとだけ」
ヒカリが胸元に手を当てる。
「でも、やることは変わらないよ」
リカが笑う。
「ウチたちは、いつも通り!」
「はい」
カリンも頷く。
「私たちの煌めきを、届けましょう」
四人が顔を見合わせる。
「Color☆Link!ファイト!オー!」
その時。
『まもなく、二次予選大会を開始します!』
会場に司会者の声が響いた。
四人はステージへ視線を向ける。
そして──
大会が始まった。
◆
『それでは、まずは今回の大会ルールをご説明します!』
司会者がステージ中央に立つ。
『今回の二次予選では、出場するアイドルたちのライブパフォーマンスによって順位を決定します!』
会場から拍手が起こる。
『そして──』
司会者が大きく腕を広げる。
『上位三組が、来月十二月に開催される公式大会・本選への出場権を獲得します!』
観客から歓声が上がる。
「三組……」
ヒカリが呟く。
「ここを勝ち抜けば、十二月に行ける」
「そういえば、カサネさんも出るんだよね」
リカが言う。
「うん」
ユウヒが頷く。
カリンもステージを見る。
「……負けられません」
『そして、本日の演技順はこちら!』
スクリーンに出場者の名前が表示される。
『まずは一組目!──』
会場が静かになる。
いくつかのアイドルが呼ばれた後。
『続いて、Color☆Link!』
「……!」
ヒカリたちの表情が引き締まる。
『そして最後を飾るのは──』
スクリーンに、大きく名前が映し出される。
『トップアイドル、天原カサネ!』
「……!」
会場から一際大きな歓声が上がった。
ヒカリは思わず画面を見つめる。
「カサネさん……」
これまで何度も遠くから見てきた存在。
「私たちは最後から二番目だね」
ユウヒが言う。
「うん」
ヒカリが頷く。
『それでは、一組目のライブです!』
◆
アイドルがステージへ登場する。
明るい音楽。
華やかな衣装。
元気いっぱいの歌とダンス。
そして──
「キラメキアクト!」
煌めきがステージを彩る。
初級。
続いて、中級。
ステージいっぱいに光が広がる。
『おおーっと!』
司会者が声を上げる。
『見事な演技です!これはかなり評価が高くなりそうだ!』
会場から拍手が起こる。
「すごいね」
ヒカリが呟く。
「うん」
ユウヒが頷く。
「私たちも、負けていられない」
ライブが終わる。
大きな拍手。
『素晴らしいパフォーマンスでした!』
司会者が笑顔で締める。
『さあ、続いては──』
スクリーンに名前が表示される。
『Color☆Link!』
会場から拍手が起こった。
「行こう!」
ヒカリが三人を見る。
「はい!」
四人がステージへ向かう。
◆
──Color☆Link。
ステージ中央に四人が並ぶ。
会場を見渡す。
たくさんの観客。
大きなステージ。
そして。
この先には、カサネがいる。
「……大丈夫」
ヒカリが小さく呟く。
「私たちは、ここまで来たんだから」
音楽が始まった。
四人が同時に動く。
歌。
ダンス。
ステップ。
ターン。
四人の動きがぴたりと重なる。
そして──
「キラメキアクト!」
最初にヒカリが飛び出す。
桃色の煌めきが広がる。
昼の光。
青い空。
そして──
桃色の花畑。
「綺麗……!」
観客から声が上がる。
続いて。
「次は私!」
リカの煌めき。
黄色の光が広がり、黄色い花々が咲き誇る。
さらに。
ユウヒ。
青い煌めきがステージを包み、青い花が一面に咲く。
そして。
「私も!」
カリン。
緑色の煌めき。
緑の花々が風に揺れる。
四人それぞれの花畑。
それぞれ違う色。
それぞれ違う煌めき。
以前は、個々の技で終わるか、失敗していた。
けれど──
「ここから!」
ヒカリが手を伸ばす。
「私たちの煌めきを──」
「つなげる!」
四人の声が重なる。
四つの花畑が、ゆっくりとつながっていく。
桃色。
黄色。
青色。
緑色。
色と色の境界が消えていく。
大きな一つの花園へ。
「Color☆Link!」
四人が同時にステップを踏む。
無数の花びらが舞い上がる。
昼の太陽が輝く。
四人の歌声が重なる。
そして──
最後の振り付け。
四人が手を伸ばす。
四色の煌めきが、一つの巨大な光になる。
「──!」
ぱぁっ!
ステージ全体が光に包まれた。
最後のポーズ。
静寂。
そして──
大きな拍手。
「やった!」
ヒカリが笑う。
リカも拳を握る。
「今の、完璧!」
ユウヒが頷く。
「うん。しっかりできてた」
カリンも胸に手を当てる。
「四人の煌めきが、一つになりました」
司会者がステージへ駆け寄る。
『素晴らしい!』
大きな声が会場に響く。
『四人それぞれの煌めきから、最後は一つの大きな花園へ!』
観客から拍手が続く。
『これがColor☆Linkの煌めきなんですね!』
さらに歓声。
『いやあ、素晴らしいライブでした!本選出場へ向けて、非常に大きなアピールになったのではないでしょうか!』
ヒカリたちは顔を見合わせる。
「……いけるかも」
ヒカリが呟く。
しかし。
司会者が一瞬だけステージの奥を見る。
『さて……』
その表情が変わった。
『次はいよいよ、本日の最後の出場者です』
会場がざわめく。
『トップアイドル──』
歓声が一気に大きくなる。
『天原カサネ選手の入場です!』
◆
ステージの照明が落ちる。
暗闇。
静寂。
そして──
一筋の光。
その光の中に、カサネが立っていた。
華やかな衣装。
長い髪。
静かな表情。
ヒカリは客席からステージを見つめる。
「……」
カサネは、ゆっくりと目を閉じた。
音楽が始まる。
優雅な旋律。
カサネが一歩、踏み出す。
その瞬間。
──煌めき。
淡い光が、カサネの周囲に生まれる。
次第に光が大きくなっていく。
そして。
カサネの背中から──
巨大な蝶の羽が現れた。
「……!」
会場が息を呑む。
羽は透明でありながら、銀河を彷彿させる無数の煌めきを内包している。
カサネの身体が、ふわりと浮かぶ。
そのまま。
空中へ。
カサネが優雅に舞う。
蝶のように。
花から花へ飛ぶように。
会場の上空を、ゆっくりと移動していく。
その軌跡から、煌めきがこぼれ落ちる。
一粒。
また一粒。
無数の煌めきが会場全体へ降り注ぐ。
「すごい……」
ヒカリが呟く。
煌めきは空中で弾ける。
そして──
会場の景色が変わった。
ステージも。
客席も。
壁も。
天井さえも。
すべてが暗い宇宙へと変わっていく。
無数の星。
輝く星雲。
遠くに浮かぶ銀河。
まるで、本当に宇宙にいるかのようだった。
「……これは」
ユウヒが言葉を失う。
「っ……」
カリンも呆然と見つめる。
カサネは宇宙の中心にいた。
蝶の羽を広げ。
静かに浮かんでいる。
そして──
歌う。
その歌声が、宇宙全体へ響いていく。
『……』
司会者すら、言葉を失っていた。
第一の煌めき。
それは、ただ宇宙を見せるだけでは終わらなかった。
カサネが空中で手を伸ばす。
無数の煌めきが集まっていく。
そして。
蝶の羽が、静かに消える。
カサネがステージへ降り立つ。
宇宙だけが残った。
観客は誰も声を出せない。
その美しさに。
その規模に。
ただ、見入っている。
カサネは静かに微笑んだ。
「……もう一度」
その瞬間。
宇宙が動き始めた。
無数の星々が集まる。
煌めきが渦を巻く。
銀河が生まれる。
さらに大きな光が生まれる。
「……!」
ヒカリが目を見開く。
星が。
銀河が。
宇宙そのものが。
一つの巨大な煌めきへと集まっていく。
そして──
ぱぁっ!
光が弾けた。
無数の星が生まれる。
さらにその星々が集まり、新たな銀河を形成する。
宇宙の始まり。
そして。
新たな宇宙の広がり。
まるで、目の前で世界そのものが創られているようだった。
「……」
ヒカリは、ただ見つめるしかなかった。
さっきまで。
自分たちのライブが最高だと思っていた。
四人の煌めきがつながった。
中級キラメキアクトも安定している。
これなら。
カサネさんと同じ大会に出られる。
そう思っていた。
けれど。
「……こんなの……」
ヒカリの声が震える。
「全然、違う……」
ステージの上。
カサネは静かに立っている。
その周囲には。
生まれたばかりの星々。
無数の煌めき。
広大な宇宙。
すべてが、カサネの煌めきによって生まれたものだった。
◆
カサネのパフォーマンスが終わった。
最後の光が静かに消えていく。
元のステージへ戻る。
カサネが深く頭を下げる。
──そして。
会場が爆発した。
『……』
司会者はしばらく言葉を失っていた。
やがて。
『……す、すごい……』
震える声。
『いや……すごい、という言葉では足りません……』
会場から大歓声。
拍手と歓声が鳴り止まない。
『これが……トップアイドル、カサネの煌めきです!』
カサネは静かに微笑む。
ヒカリたちは何も言えなかった。
ただ。
その背中を見つめていた。
「……遠い」
ヒカリが呟く。
隣でユウヒも頷く。
「うん」
リカは拳を握る。
「でも……」
悔しそうな顔。
「絶対、追いつく」
カリンもステージを見つめる。
「はい」
その目には、決意が宿っていた。
◆
──そして。
結果発表。
会場に緊張が走る。
『それでは、二次予選大会の結果を発表します!』
スクリーンに順位が映し出される。
『第3位──!』
歓声。
『そして、第2位──』
一瞬の間。
『Color☆Link!』
「……!」
四人の目が見開かれる。
「やった!」
ヒカリが喜ぶ。
リカも拳を握る。
「二位!」
「本選出場です」
カリンが嬉しそうに笑う。
ユウヒも頷く。
「うん」
そして。
『第1位──』
誰もが分かっていた。
それでも。
会場が静まり返る。
『カサネ!』
大歓声。
カサネは静かに頭を下げる。
「……」
ヒカリはカサネを見る。
悔しい。
けれど。
それ以上に。
「すごかった……」
ヒカリは小さく呟く。
「私たちも、いつか……」
リカが隣に立つ。
「うん」
ユウヒも。
「十二月だね」
カリンも。
「はい」
四人は顔を見合わせる。
まだ届かない。
今は、まだ。
けれど。
同じ本選の舞台に立つ権利は得た。
それだけでも、大きな一歩だった。
四人が手を重ねる。
「Color☆Link!」
声が重なる。
桃色。
黄色。
青色。
緑色。
四色の煌めきが、小さく輝く。
その先に。
十二月の本選。
そして。
カサネさんとの最後のステージが待っている。
──まだ、勝負は終わっていない。
先行敗北の法則
カサネのライブはレインボーライブあたりをイメージ