【完結】キラメキ・リンク!~煌めきの彼方へ~   作:匿名女児

7 / 15
第6話 煌めきを追いかけて

──私立きらめき中学校。

 

放課後のアイドル研究部。

 

「もっと練習しないと!」

 

ヒカリが気合いを入れる。

 

「そうだね」

 

ユウヒも頷いた。

 

先日の公式大会。

 

優勝した。

 

それは嬉しかった。

 

けれど──

 

天原カサネのライブを見てから、三人の中には同じ想いが芽生えていた。

 

もっと上手くなりたい。

 

もっと遠くまで、煌めきを届けたい。

 

「というわけで!」

 

リカが両手を叩く。

 

「特訓!」

 

「特訓?」

 

ヒカリが首を傾げる。

 

「そう!」

 

リカは笑った。

 

「今度の連休、思いっきり身体を鍛えようよ!」

 

「えっ、休みの日も?」

 

「当たり前じゃん!」

 

「でも、何をするの?」

 

「走る!」

 

「走る?」

 

「登る!」

 

「登る!?」

 

ヒカリの顔が引きつる。

 

「えっと……アイドルの練習だよね?」

 

「もちろん!」

 

リカは胸を張った。

 

「歌って踊るには、体力が必要でしょ?」

 

「それは……そうだけど」

 

ユウヒが考える。

 

「なら、私もやるよ」

 

「ユウヒちゃんまで!?」

 

「カサネさんとの差を縮めたいから」

 

「……」

 

リカが一瞬黙る。

 

そして。

 

「さすがユウヒ、話が早い!」

 

嬉しそうに笑った。

 

「じゃ、決まり!」

 

「えぇ……」

 

ヒカリだけが困った顔をした。

 

「……あわわ」

 

キャルが三人を見比べる。

 

「なんだか大変なことになってきたネコ……」

 

 

──休日。

 

街外れの岩場。

 

「よし!」

 

リカが岩場を見上げる。

 

「まずはここから!」

 

「本当に登るんだ……」

 

ヒカリが呟く。

 

「もちろん!」

 

リカが駆け出す。

 

岩場を登る。

 

足場の悪い斜面を進む。

 

手をついて身体を引き上げる。

 

「ユウヒ!」

 

「うん!」

 

ユウヒも続く。

 

「待ってぇ!」

 

ヒカリも慌てて追いかける。

 

しばらくして。

 

「はぁ……はぁ……」

 

ヒカリは地面に座り込んだ。

 

「もう……無理ぃ……」

 

「まだ一回目だよ?」

 

リカが笑う。

 

「ええっ!?」

 

「ほら、行こう!」

 

ユウヒは苦笑する。

 

「ヒカリ、休んでからでいいよ」

 

「うん……」

 

 

昼過ぎ。

 

今度はダンスの練習。

 

リカが音楽を流す。

 

「昨日より速く!」

 

ステップ。

 

ターン。

 

ジャンプ。

 

何度も繰り返す。

 

ユウヒも真剣な表情で動きを合わせる。

 

「もう一回」

 

「うん」

 

「もう一回!」

 

「分かった」

 

リカとユウヒは何度も踊る。

 

「すごい……」

 

ヒカリは二人を見つめていた。

 

「二人とも、全然疲れてない……」

 

「疲れてるよ」

 

ユウヒが答える。

 

「でも、まだできるから」

 

「それ、すごいよ……」

 

ヒカリは笑った。

 

「よしっ!私も頑張らなきゃ!」

 

 

──夕方。

 

三人は帰り道を歩いていた。

 

「今日はこれくらいかな」

 

リカが伸びをする。

 

「明日から歌の練習も増やそう」

 

ユウヒが言う。

 

「いいね!」

 

リカが笑う。

 

「じゃあ、朝から!」

 

「朝から!?」

 

ヒカリが驚く。

 

「ひえぇ……二人とも、元気すぎるよぉ……」

 

キャルがため息をつく。

 

「このままだと、ヒカリが先に倒れるネコ……」

 

 

──翌日。

 

街の商店街。

 

三人は合宿のための買い出しに来ていた。

 

「食材はこれで全部かな?」

 

ユウヒが買い物袋を確認する。

 

「たぶん!」

 

ヒカリが答える。

 

「じゃ、帰ろう!」

 

リカが歩き出した、その時。

 

「ん?」

 

足元に、小さな何かが落ちていることに気づいた。

 

「これ……」

 

リカがしゃがみ込む。

 

拾い上げたのは、色とりどりの糸と、小さな裁縫道具だった。

 

「誰か落としたのかな?」

 

「リカちゃん、どうする?」

 

ヒカリが尋ねる。

 

「もちろん、届けるよ」

 

リカが辺りを見回す。

 

「……あっ!」

 

少し先を、一人の少女が歩いていた。

 

緑色の髪。

 

肩には大きなバッグ。

 

そのバッグから、糸や布の切れ端が顔を見せている。

 

「ねえ!」

 

リカが声をかける。

 

「これ、落としたんじゃない?」

 

「え?」

 

少女が振り返る。

 

「これ!」

 

リカが手芸用品を見せる。

 

「あ……!」

 

少女が慌てて駆け寄ってくる。

 

「それ、私の!」

 

「やっぱり?」

 

リカが手渡す。

 

「はい!」

 

「ありがとう……」

 

少女は受け取った手芸用品を確認する。

 

「よかった……これ、大事なものだから」

 

「そんなに?」

 

「うん」

 

少女は小さく頷いた。

 

「これがないと、続きを作れないから」

 

「作る?」

 

リカが首を傾げる。

 

「何を作ってるの?」

 

「……衣装」

 

「衣装!?」

 

リカの目が輝く。

 

「へぇ!」

 

カリンが持っているバッグを見る。

 

「見てもいい?」

 

「ちょっと待って」

 

少女は少し迷ったあと、バッグから衣装を取り出した。

 

「まだ完成してないけど……」

 

色とりどりの布。

 

細かな装飾。

 

丁寧に施された刺繍。

 

「かわいい!」

 

リカが声を上げる。

 

「すごく素敵!」

 

ヒカリも目を輝かせる。

 

「本当に?」

 

少女の表情が少し明るくなる。

 

「うん!」

 

「……ありがとう」

 

少女は少し照れたように笑った。

 

「私は緑ヶ丘カリン」

 

「ウチは黄瀬原リカ!」

 

「私は桃井ヒカリ!」

 

「青木ユウヒです」

 

「これから三人は、どこかお出かけですか……?」

 

カリンが三人を見る。

 

「うん!」

 

ヒカリが答える。

 

「合宿!私たち、アイドル研究部で活動してるの!」

 

「そうですか……」

 

カリンは三人をじっと見つめる。

 

「……だったら、ちょうどいいかも」

 

「え?」

 

カリンが持っていた布を見せる。

 

「私、アイドル用の衣装も作ってるんです」

 

「アイドル用も?」

 

「はい」

 

カリンは頷く。

 

「いつか、自分が作った衣装を着て、ステージで歌って踊ってくれる人を探してるんです」

 

「それなら!」

 

リカが手を上げる。

 

「ウチたちがやる!」

 

「え?」

 

カリンが驚く。

 

「本当に?」

 

「もちろん!」

 

ヒカリも頷く。

 

「私たち、ライブするの大好きだから!」

 

「……わかりました。まだ完成したばかりですけど……」

 

カリンは少し不安そうに衣装を抱えた。

 

「着てもらえるなら、お願いしていいですか?」

 

「決まりだね!」

 

リカが笑う。

 

「じゃあ、ライブしよう!」

 

 

──数日後。

 

小さなステージ。

 

カリンが作った衣装を身につけた三人が立っていた。

 

桃色。

 

青。

 

黄色。

 

三色の衣装が、ステージの照明を受けて輝いている。

 

「……似合ってる」

 

客席からカリンが呟く。

 

音楽が始まった。

 

ヒカリが歌う。

 

ユウヒが続く。

 

リカが大きく身体を動かす。

 

三人の動きが重なる。

 

「もっと!」

 

リカが声を上げる。

 

「うん!」

 

ヒカリが笑う。

 

「いけるよ!」

 

ユウヒも続く。

 

三人の周囲に、少しずつ煌めきが集まり始める。

 

桃色。

 

青。

 

黄色。

 

けれど──

 

いつものように、ただ輝くだけではない。

 

光が三人の動きに合わせて揺れる。

 

集まる。

 

そして──

 

「……!」

 

カリンが目を見開く。

 

三人が最後の振り付けに入る。

 

同時に手を伸ばす。

 

その瞬間。

 

三色の煌めきが、一斉に強く輝いた。

 

「わぁ……!」

 

光が三人を包み込む。

 

ほんの一瞬。

 

それでも、これまでとは明らかに違う。

 

まるで三人の想いに応えるように、煌めきが大きく弾けた。

 

「……今の……」

 

ユウヒが驚く。

 

「これは!?」

 

リカも目を輝かせる。

 

「すごい!」

 

ヒカリが笑う。

 

三人の周囲を、煌めきがきらきらと舞っている。

 

やがて光が静かに消えていく。

 

最後のポーズ。

 

拍手が起こった。

 

「ありがとうございました!」

 

三人が頭を下げる。

 

 

ヒカリは自分の手を見る。

 

「なんだか、すごく楽しかった!」

 

「ウチも!」

 

リカが笑う。

 

「なんだか、いつも以上に力が出せた気がする!」

 

「私も」

 

ユウヒが頷く。

 

 

「カリンちゃん!」

 

ヒカリが笑う。

 

「素敵な衣装を作ってくれてありがとう!」

 

「……うん」

 

カリンは嬉しそうに微笑んだ。

 

「こちらこそ」

 

 

帰り道。

 

「今日の光、なんだったんだろうね」

 

ヒカリが空を見上げる。

 

「分からない」

 

ユウヒも考える。

 

「でも、今までとは違った」

 

「絶対、もっとすごくなるよ!」

 

リカが拳を握る。

 

「だったら、もっと練習しよう!」

 

「うん!」

 

「そうだね」

 

三人は歩き出す。

 

その後ろ姿を、カリンが遠くから見つめていた。

 

「……あの三人なら」

 

カリンは小さく呟く。

 

「私の衣装を、もっと輝かせてくれるかもしれない」

 

 

 

この時のカリンちゃんは、まだ知りませんでした。

 

自分自身が、いつかその煌めきの中に立つことになるなんて。

 




ちゃっぴーくん「崖は危ないから、岩場にしといだで」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。