【完結】キラメキ・リンク!~煌めきの彼方へ~ 作:匿名女児
テレビから、明るい音楽が流れている。
『続いては、現在全国ツアー中の大人気アイドル、天原カサネさんのライブ映像です!』
「カサネさんだ!」
ヒカリがテレビに駆け寄る。
「またライブしてるんだ」
ユウヒも画面を見る。
「今度はどこ?」
「北海道だって!」
リカが答える。
「この前は大阪だったのに!」
テレビの中では、カサネが大きなステージの上で歌っていた。
白銀の髪。
紫水晶の瞳。
その姿は、どんな場所でも変わらない。
観客の歓声が響く。
そして──
カサネの周囲に、銀色の煌めきが集まり始めた。
「……!」
三人が息を呑む。
星。
月。
無数の銀色の光。
それらがステージいっぱいに広がっていく。
「やっぱり、すごい……」
ヒカリが呟く。
ライブ映像が終わる。
『天原カサネさんは、今後も全国各地でライブを予定しています』
「全国を回ってるんだね」
ユウヒが感心する。
「いいなぁ……」
リカがテレビを見つめる。
「ウチたちも、いつかあんなステージに立ちたい!」
「うん!」
ヒカリも頷いた。
◆
──それから。
またテレビにカサネが映っていた。
『続いては、海外公演のニュースです』
「海外!?」
ヒカリが驚く。
『天原カサネさんは本日、フランス・パリでライブを行いました』
画面には、大勢の観客。
そして──
銀色の煌めき。
大きな花。
星空。
そのステージを埋め尽くすような光。
「すごい……」
ヒカリが目を輝かせる。
「世界中でライブしてるんだ」
ユウヒが呟く。
「カサネさんって、本当にすごいんだね」
そして、再び画面のカサネをじっと見つめた。
◆
翌週。
アイドル研究部。
「見て見て!」
ヒカリがスマートフォンを見せる。
「最近、いろんなアイドルのライブで変な光が出てるんだって!」
「変な光?」
リカが画面を覗き込む。
「ほら!」
そこには、ライブ動画が並んでいた。
ステージ上で輝くアイドル。
その周囲に、小さな光。
別の映像では、光が花の形になっている。
さらに別の映像では、ジャンプに合わせて一瞬だけ光が弾けている。
「……本当だ」
ユウヒも驚く。
「この人も、この人も……」
「なんか、どんどん増えてない?」
リカが画面をスクロールする。
「カサネさんのライブを見た人たちが、真似してるのかな?」
「でも、真似するだけでできるものなのかな……?」
ヒカリが考え込む。
「分からない」
ユウヒも首を傾げる。
◆
──天原カサネ 日本最終公演。
三人は、客席にいた。
「すごい人……!」
ヒカリが周囲を見渡す。
会場は満員。
ステージを待つ観客の声が響いている。
「これが、カサネさんの生ライブなんだ」
ユウヒが呟く。
「しっかり見ておこう」
リカが拳を握る。
「うん!」
照明が落ちる。
会場が静かになる。
一筋の光がステージを照らした。
白銀の髪。
紫水晶の瞳。
「皆さん、こんばんは」
天原カサネが微笑む。
大歓声。
音楽が始まった。
カサネが歌う。
踊る。
一歩。
ターン。
そして──
銀色の煌めきが集まり始める。
「……!」
ヒカリが息を呑む。
カサネの身体を、銀色の煌めきが包み込んだ。
次の瞬間──
衣装が光に包まれる。
ステージ衣装が、銀色の煌めきをまとった新たな衣装へと変わっていく。
「衣装が……!」
ヒカリが目を見開く。
リカも思わず立ち上がる。
「変わった……!」
ユウヒは言葉を失っていた。
衣装が変わったカサネが、静かに顔を上げる。
その瞬間。
銀色の煌めきが、一気に弾けた。
星。
月。
無数の光。
煌めきがカサネを中心に広がっていく。
ステージを覆い。
客席へ伸び。
さらにその先へ。
まるで夜空そのものが、会場の中へ降りてきたかのようだった。
「……すごい……!」
ヒカリが声を失う。
銀河が生まれる。
無数の星が流れる。
大きな月が浮かぶ。
煌めきの花が咲き、光の粒が空中を舞う。
カサネが一歩踏み出すたびに、銀河が大きく広がっていく。
ステージを中心に広がった煌めきは、会場全体を包み込んでいった。
観客の頭上まで銀色に染まる。
まるで──
会場そのものが、一つの巨大な宇宙になったようだった。
「これが……カサネさんのライブ……」
ユウヒが呟く。
「ウチたちとは、全然違う……」
リカが拳を握る。
カサネは銀河の中心で、最後のポーズを決めた。
その瞬間。
無数の煌めきが一斉に輝く。
「わあああああっ!」
会場から大歓声が上がった。
煌めきは、ゆっくりと夜空へ溶けるように消えていった。
◆
ライブ終了後。
三人は会場の外へ出た。
「……やっぱり、すごかった」
ヒカリが呟く。
「うん」
ユウヒも頷く。
「でも……」
リカが空を見上げる。
「天原カサネを中心に煌めいていた、あの光は一体……」
「最初は気のせいかと思ったけど……」
ヒカリも頷く。
「一体、何なんだろう?」
その時。
「それはネコ!」
「わっ!」
三人が振り返る。
キャルがふわふわと浮かんでいた。
「キャル!」
「待ってたネコ」
キャルが胸を張る。
「三人とも、気になってるみたいネコね?」
「うん!」
ヒカリが頷く。
「最近、ライブで出てくるあの光!」
「私たちや他のアイドルにも……」
ユウヒが続ける。
「カサネさんのものとは、全然違う」
「当然ネコ!」
キャルが頷く。
「あれには、ちゃんと名前があるネコ!」
「名前?」
三人が顔を見合わせる。
「そうネコ!」
キャルが指を立てる。
「『キラメキアクト』っていうネコ!」
「キラメキアクト……」
ヒカリが繰り返す。
「それが、あの光の名前?」
「そうネコ!」
キャルが頷く。
「アイドルが歌って踊って、たくさんの人の心を動かした時に生まれる煌めきの力ネコ!」
「煌めきの力……」
ユウヒが呟く。
「だから、私たちのライブでも出たんだ」
「その通りネコ!」
キャルは嬉しそうに笑う。
「でも、キラメキアクトには強さの違いがあるネコ」
「強さ?」
リカが身を乗り出す。
「そうネコ」
キャルが説明する。
「一番下は、集まった煌めきが輝くくらい」
「それなら……」
ヒカリが思い出す。
「私たちが今まで出してた光も?」
「そうネコ」
キャルが頷く。
「それが、最下級キラメキアクトネコ」
「最下級……」
リカが拳を握る。
「じゃあ、その上もあるんだ?」
「もちろんネコ!」
キャルが胸を張る。
「下級、中級、上級……そして最上級まであるネコ!」
「五段階……」
ユウヒが考える。
「じゃあ、カサネさんが使っていたのは?」
「上級キラメキアクトネコ」
「上級……」
三人が顔を見合わせる。
「さっきの衣装が変わったのも?」
ヒカリが尋ねる。
「そうネコ!」
キャルが頷く。
「上級になると、自分を中心に煌めきを形にできるようになるネコ!」
「形に……」
リカが目を輝かせる。
「だから、あんなにすごかったんだ!」
「そうネコ」
キャルが頷く。
「煌めきの羽を作って飛んだり、衣装を変えたり、ステージそのものを大きく演出したり……」
「……」
三人は何も言わず、カサネのライブを思い返していた。
変身。
銀河。
無数の星。
会場いっぱいに広がった煌めき。
「私たちが出した光は、まだ最下級……」
ヒカリが自分の手を見る。
「うん」
ユウヒが頷く。
「でも、これからだよ」
リカが笑う。
「だったら、もっと練習しよう!」
三人が顔を見合わせる。
「うん!」
「もちろん!」
◆
帰り道。
夜空を見上げる。
無数の星が輝いていた。
「キラメキアクト……」
ヒカリが呟く。
「なんだか、私たちの煌めきにも名前がついたみたいで嬉しいね」
「うん」
ユウヒが笑う。
「だったら、もっと頑張らないと」
「そうだね!」
リカが拳を握る。
「次は、もっとすごい煌めきを出そう!」
「うん!」
三人は歩き出す。
まだ小さな煌めき。
けれど──
その光は確かに、未来へ向かって輝き始めていた。
少女たちはまだ知りませんでした。
この先、自分たちの煌めきがどこまで大きくなるのか。
そして──
いつか、その煌めきがカサネの背中へ届くことを。
◆
──その頃。
ステージを終えたカサネは、一人で夜空を見上げていた。
「……少しずつ変わってきたわね」
銀色の煌めきが、彼女の周囲で小さく揺れる。
カサネは微笑む。
「これからが、楽しみね」
そして──
次のステージへ向かって、静かに歩き出した。