転生羊少女は今日も眠い   作:恋する夜空

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お茶会の内容が圧倒的に薄すぎる…!!ここまでは割と自分の中で決まってたのでスムーズに書けましたが、自分の中でいろんな生徒と絡ませたいと言う思いがあるので、それぞれ接点を考えないとなのでここからは更新に時間かかるかもです


それは実質の死刑宣告っすよね?

「ミカさん…その子は……? お茶会の場に、見慣れない方を連れてくるなんて珍しいですね」

 

俺に対して、ナギサが怪訝そうな目を向け、何も言わないがセイアがじっとこちらを観察するように瞳を細める

 

(ひっ…! ナギサとセイアの視線が痛い…! だよな!俺、どう見ても頭から黒いツノが生えたゲヘナっぽい不審者だもんな!? なんでそんな危険人物がこの場にいるの!? 死刑? ここで処刑されちゃうの俺!?)

 

「…ミカさんが連れてきた以上大丈夫だとは思いますが…すみません、素性のわからない方をお茶会に参加させるわけにはいかないので軽い自己紹介をお願いできますか?」

 

頭の中に最悪な未来が想像される中、そうナギサに聞かれ、全身から冷や汗が噴き出すが、この体はとても便利らしい、そう言ったことを一切表に出さず話し方を変えて喋ってくれる

 

〝えっと…わかんない…むかしは…ない〟

 

事情をわかっていないと、側から聞いたら意味不明な呟きを零す俺を前に、ナギサは眉をひそめる

 

「あはは⭐︎も〜口下手なんだから〜…そんなんじゃ疑い深いナギちゃんが警戒しちゃうでしょ?ナギちゃん…この子は記憶喪失なんだって⭐︎」

 

(危ねぇ!!ミカありがとうマジでサンキュー!!前世でトリニティピンクゴリラとか歩く災害とか言ってごめんな!!マジ天使!!)

 

「…記憶喪失で、自分の名前もこれまでのことも覚えていない…と? ミカさん、本当なのですか?」

 

「うん、本当みたいだよ。ねぇ、あなたは何か覚えてることないの?」

 

二人の質問に、俺の心臓はバクバクと音を立てる

しかし、ここでボロを出したらおしまいだ…

前世で培った数々のピンチを切り抜けた処世術(二次創作の転生のものの小説の知識)をフル回転させるんだ!

 

〝めがさめたら…ここだった…だけ〟

 

後半になるにつれて尻すぼみになるよう、できるだけか細い声で、前世の記憶から引っ張り出した記憶喪失キャラの定石を口にする

 

「なるほど…身分を証明するものは一切なし、トリニティの制服でもなく、この特徴的な黒いツノ…ゲヘナからのスパイ…あるいは刺客にしてはあまりに違和感がありますが…」

 

そうぶつぶつ言いながら、ナギサは隣のセイアに視線を向ける

セイアはゆっくりとカップを机に置き、ナギサの方へ視線を移す

 

「なに…警戒する必要はないさ、ナギサ…この子はただ、今のところ、眠気に抗うだけで精一杯のようだねそれに…」

 

セイアの視線が、俺に再び向けられる

 

「私の予知夢にはこの子はたびたび登場していたが…悪い影響は出ないさ…それにミカが監視するならこの子に同情すら覚えるよ」

 

(よ、よかった…! セイアに助けられた…!?ていうか…セイアが見る予知夢ってゲームの中だとストーリーのことだから……まずい!!原作ブレイカーだけは絶対にやりたくない!!)

 

「…セイアさんがそこまで言うなら…大丈夫そうですね」

 

ナギサは、はぁ…と小さく溜息をつき、紅茶のポットに手を伸ばす

 

「…身元が判明するまでは、トリニティの保護下として、ミカさんの目が届くところで面倒を見てくださいね…」

 

ひとまず誤魔化し切れたことがわかると体がドッと疲れ、この世界に来てからまだ何も口に運んでいないことを思い出すと急に喉の渇きを認識してしまう

 

〝…ねむい…のどかわいた…〟

 

「あら、お茶が欲しいのですか? ミルクティーでよろしいでしょうか?」

 

命拾いした安堵感から、俺はミカにもたれかかってしまう

その際に服越しだが枕にとってもちょうどいい二つの膨らみを感じる

 

(…実際に話すとナギサが特に怖すぎ…最低限以上話したくないな…あとミカって見た目以上にある気が…)

 

「…ミカさん。いつまでもこの子の名前がないのは不便ではないですか?」

 

紅茶のカップを置きながら、ナギサがそう切り出した

確かに、いつまでも名無しのままでは生活に支障が出る

しかし、元男の俺としては、可愛い女の子の名前を自分でつけるのは羞恥心で精神が爆発しそうだった

 

「そうだね! じゃあ、名前をつけちゃおうか!」

 

少し見上げるとミカがパッと顔を輝かせている

 

〝なんでも…いい…てきとうに…して…〟

 

俺が力なくそう呟くと、3人はそれぞれ真剣な表情で考え始めた

 

(俺としては…できれば中性っぽい名前にしてくれ!!これから女の子みたいな名前で呼ばれるのは、どんどんSAN値が削られていくからやめてくれ…!!)

 

しばらくするとまずはミカが勢いよく手を上げて口を開いた

 

「は〜い⭐︎みんなの名前を一文字ずつ入れて『ミセナ』なんでどう?響きも可愛いし⭐︎」

 

「ミカさん…その名前は率直すぎます。一生使う名前なのですから、もう少し凝った名前であるべきです。例えば、トリニティの賛歌をもじって…」

 

「え〜⭐︎そんな堅苦しく考えられた名前なんて可愛くないと思うな〜」

 

「…この子は気まぐれで、風のように掴みどころがない。だからこそ、自然を感じさせる名前がいいと思う。例えば、『シラナギ』、あるいは『メリー』というのはどうだろうか?」

 

「セイアちゃんにしてはいいセンスしているね⭐︎」

 

「あぁ…身近にセンスのない人がいると自然と危機感を覚えてセンスを磨こうと思うものだからね」

 

「なぁに?セイアちゃん…喧嘩売ってるの?」

 

「君のこと、とは私は明言していないが…自覚があるのかい?」

 

「ふぅん…表出よっか…!セイアちゃん?」

 

「私はまだ死にたくはないのでね…遠慮しておくよ」

 

(流石セイア…!!ミカに対してのレスバが強えぇ…!!)

 

原作で見たような3人の掛け合いを目を瞑りながら楽しめるなんてと一種の感動すら覚える

 

(と言うか待て…!どれも可愛いけど、元男からすると破壊力が強すぎる名前ばかりだぞ…!というか…そろそろ名前を決めて欲しいんだが…一人なって、これからのことをゆっくり考えさせて欲しい…)

 

 

 

 

 

「……決まりました…!『柊メル』どう…!どうですか!?ミカさんにセイアさん!」

 

「ふ〜ん…?ナギちゃんにしてはいいセンスじゃんね⭐︎ 」

 

「…ふむ…悪くない…柔らかい名前の響きはこの子によく似合う」

 

(メル…!? まあ…でも羊の鳴き声の派生っぽいし、お菓子の商品名でありそうだからギリギリ耐えられる…!)

 

〝…メル…で…いい…〟

 

俺が小さく頷くと、3人はさっきまで激しく議論していたのが嘘みたいに嬉しそうにしている

 

(いやまて!!ミカは見ず知らずの子にも好感度が高いのはギリ納得できるけどナギサとセイア…!!特にナギサァ!!お前疑い深いんじゃないんかい…!!)

 

 

 

 

名前が決まったところで、ナギサが少し席を外し戻ってくるとその手には大きな箱があった

 

「メルさん、あなたがトリニティ内で過ごすにあたって、一つ重大な問題があります…その頭の黒いツノです」

 

ビクリと体が震える

 

(確かにこんなの速攻いじめの対象だよなぁ…)

 

「ゲヘナの生徒を彷彿とさせるそのツノが、過激派の生徒…いえ…一般の生徒や、正義実現委員会の目に入ったら…余計な混乱を招きかねません。そこで、これを被って欲しいです」

 

箱の中に入っていたのは、真っ白で大きめのつば広の帽子だった

 

「私がお忍びで遊びに行ったり、息抜きをしに行くときに使うものですが…」

 

「なるほど⭐︎考えたねナギちゃん。これならツノもうまく隠せるし、メルちゃんの小さな体と合わさって可愛いと思うな⭐︎ほら、被ってみて?」

 

ミカに帽子をスポッと被せられると、頭の上の黒いツノが綺麗に隠れ、おまけに顔の大部分が影に隠れて自然に眠気を誘ってくる

 

(あ〜…意味わからんぐらい眠い…もうこの体の異常なほどの、睡眠への執着は慣れるしかないか…)

 

ナギサが近づけてきた手鏡を見ると、小さな体にオーバーな帽子をかぶっているなんとも可愛らしく仕上がっている

 

〝これが…わたし…?〟

 

(おっしゃぁ!!性転換したとき言いたかったセリフナンバーワンを言うことができた…!!それも自然に!!)

 

こうして私は『柊メル』という名前と、特製の帽子を手に入れ、しばらくの間、聖園ミカの庇護下のもとミカの部屋に入り浸る生活を送ることになったのだった

めてたしめでたし

 

 

 

 

(…ん待て…!ちょ…!『ミカの部屋』だとぉ!!そんなん胃薬常備しなきゃいけないだろ!!)

 

〝…あの…お部屋…べつべつ…がいい…〟

 

円満に終わったお茶会の散り際、最後の抵抗とばかりに抗議を試みる

これからトリニティを混乱の渦に巻き込むミカと同室なんて、精神衛生上悪すぎる

いつか、私が知りすぎてしまい、消されるなんてたまったもんじゃない

そしてなにより

 

(ミカ…エデン条約編を見終わった時からずっと好きなんだよな…サオリとの衝突や先生との対話を通して、成長していく過程に涙腺が何回破壊されたことか…!!)

 

そう何を隠そう俺は彼女に脳を焼かれていたのであった

そこで、みんなも考えてみて欲しい…推しと朝の時間と夜の時間を共有することの幸せと体が休まらない苦痛を…おそらく俺は、耐えきれずに脳がバグってしまうだろう

 

しかし、そんなこと知っちゃいない彼女は見たことのある満面の笑みで首を横に振った

 

「やだ! メルちゃん可愛いから同じ部屋でいっぱいお話ししたいの。ね? ダメ?」

 

わざわざしゃがんで俺と同じ目線にして、そう言う彼女に、俺のささやかな抵抗は秒で粉砕された

ナギサとセイアに見送られてトボトボとミカに連れられてたどり着いたのは、やけに広く豪華な家だった

 

(あぁ…グッバイ俺の平穏な生活…ひとまずもう今日は寝よう…絶対に!!これ以上今日はミカと話すことは、とてもじゃないけど不可能な気がする…)

 

〝ミカ…きょうもうn「じゃあ、メルちゃん! お風呂に入ろっか!」

 

〝…え?〟

 

「なに驚いてるの?お風呂だよ、お風呂! …あっ…そっか記憶がないんじゃわからないか…うん…!じゃあ、一緒に入ろ?」

 

当然のように私の手を引こうとするミカに、私は激しく首を横に振った

 

(い、いやいやいやいや無理だから! 俺!!中身は元男だぞ!? 自分のこの幼女の裸を見るでも羞恥心で精神が爆発するのに、ミカの裸なんて直視しようものなら秒で心臓が停止するか本当に記憶が飛ぶわ!)

 

〝おふろ…?言ってくれれば…ひとりで…できる…〟

 

しかし、ミカは怪訝そうに首をかしげただけで、全く引く気配がない

 

「えー? せっかく広いお風呂なんだし、一人じゃ寂しいでしょ? それに…お風呂ってとっても難しいいんだよ?」

 

〝…いや…でも…〟

 

抵抗も虚しく、ミカの圧倒的な怪力の前には言葉なんて無力だった

ひったくるように少しオーバーサイズのTシャツとショートパンツ、そして下着を脱がされる

 

〝きゃっ…!ぬ、脱がさないで…!〟

 

(今の俺こんな可愛い声を出せるんだ…ってそうじゃなくて!!まずいぞ〜…!これは本格的にまずい…!!というか気にしなかったけど、この服たちはなんなんだ!?自分で着た覚えがないんだけど!?)

 

「はい、おしまいっ⭐︎じゃあ行くよ、メルちゃん!」

 

ミカも脱ぎ終わったようで視界を下に向けるが、ミカの一回だけでも触ってみたい!!そう思わせるような綺麗な脚が見えてしまう

 

(うわぁ…!触ったらもちもちしそう…触ってみたいな…ってそんなことを考えるな!!雑念を振り払え!…うぅ…顔があっつい…)

 

俺はせめてもの抵抗で片手で体を隠しながら、ミカに引きずられるようにお風呂場へと連行された

ミカの家の浴室は、もはや小さな温水プールかと言いたくなるほど豪華で広大な大理石造りだった

湯気が立ち込め、ほんのりアロマの香りが漂っている

 

(わぁ、すご…って、感動してる場合じゃない!)

 

あまりの広さに一瞬テンションが上がったものの、目の前には、これから常に全裸のミカが待ち構えているという現実がある

俺は極限まで目を細め、視線を下に向けた

 

(見るな! 絶対にミカのほうを見るな! ついでに自分のこの幼女ボディも直視するな! 理性を総動員して、ただの床の模様だけを見るんだ……っ!)

 

床のタイルの数を数える勢いで下を向いていると、不思議そうにミカが覗き込んで来た

 

「うん…?メルちゃん、そんなに縮こまってどうしたの? ほら、歩くよ⭐︎」

 

(見えない! 何か壮大な山と谷が見えた気がするけど気のせいだ! 見てない! 俺は何も見てない!)

 

「はい…っとじゃあメルちゃんの髪から洗ってあげるね⭐︎」

 

そう言いながら俺はミカに椅子に座らせられる

ミカがシャンプーを手にとって背後から近づいてくるのが、薄く開けた目で見た鏡からわかる

 

〝…じ、自分で…できる…大体…想像ついた…から…だじょうぶ…〟

 

「ダメだよ!メルちゃんの髪の毛…もふもふで触りたいと思ってたんだから!」

 

私の必死の拒否も、ミカの前には無力だった

すぐ近くにしゃがまれミカの手が俺の髪に優しく触れられる

 

「わ〜お…!濡れるとなんだかモップ感が増すね…!」

 

徐々に泡立ち、ミカの指先が頭皮をマッサージするように優しく揉みほぐしていく

誰かに頭を洗われるという感覚は前世で稀に行く美容院でしか最近は経験していないが…こんなにも心地よいなら毎日任せてもいいかもという気持ちが湧いてくる

頭の上の黒いツノに、ミカの指が擦れる度にゾクゾクとした快感のようなものが背中を駆け巡る

 

〝あぁ…んぅ……ん〜…っ…!あぅ…〟

 

(あ、そこ気持ちいい…声…我慢しようにも抑えられない…!あっ…俺の声改めて可愛いな…じゃなくて!!っ…!ツノっ…!触られる度ビリビリって…)

 

最初は緊張でガチガチになっていたものの、ミカの丁寧で絶妙な力加減のシャンプーと、全身を包む温かなお湯のせいで、緊張の糸がプツリと切れてしまった

お腹のきゅんきゅんのとした感覚には気づかないふりをした…

 

頭にお湯をかけて洗い流されると、ミカはボディタオルにたっぷりと泡を立て、私の腕や背中を優しく洗い始めてくれる

 

「えへへ…メルちゃん、お肌すべすべだね⭐︎ずっと触ってたくなるな〜…」

 

〝…ん……ねむい…〟

 

ミカの洗う手つきがあまりにも心地よく、羞恥心や元男のプライドなんてものが、心地よさの波にどんどん綺麗にかき消されていく

そして私の目の前が暗くなって…………

 

「あ!ちょっとメルちゃん!もうっ…!寝ちゃダメだよ? まだお風呂から上がってないよ?」

 

ミカに肩を優しく叩かれ、現実に引き止められる

 

「もう流しちゃうね〜⭐︎」

 

少しの名残惜しさと共に俺の体から泡がどんどん流されていく、しばらくすると俺から見ても体に泡がついていないことがわかる

 

(いつのまに足とお腹の辺りは洗われたんだ…心地よくてほとんど記憶が飛んでたというのか…!?)

 

「よしっ…!じゃあ…メルちゃんは先に温まっててね?私、自分のを洗っちゃうから」

 

ミカにそう言われ、俺はホッと息をつきながら広い湯船の端っこへと移動した

肩までお湯に浸かると、じんわりと体を巡るような温かさが、全身の疲労をじりじりと溶かしていく

前世を思い出してもここまでの極上の湯船に浸かっていた思い出がない

ミカがシャンプーを泡立てる音が心地よいBGMのように浴室に響く

背後から聞こえるその音を聞きながら、俺は湯船の縁に顎を乗せ、これからのキヴォトス生活について真剣に思考を巡らせることにした

 

(…それにしても、とんでもないところに転生しちゃったなぁ)

 

前世の記憶は日本のどこにでもいた、たぶん普通の大学生だったはず…?気がつけばトリニティの、しかもよりによって聖園ミカのもとで暮らすとこになるとは…

 

今のところ、時系列としてはセイアが失踪していないことからエデン条約編の少し前だろう

ということは、この平和な日常がいつまでも続くわけではない…?

やがて訪れるであろうセイア失踪、それをきっかけに、見えてくるアリウス分校の影、そして放課後補習部を巡る大激動

 

(原作のストーリーに巻き込まれたら、俺みたいなモブなんて一瞬で消し炭にされそうなんだけど…!!)

 

もしトリニティの内部抗争や調印式の戦闘に巻き込まれたら、俺は生き残れる自信なんて微塵もない

むしろ、それが訪れる前に邪魔者として始末されたり、正義実現委員会に不審者として拘束されたりするリスクのほうが圧倒的に高いのだ

 

(かといって、今さらミカのそばを離れて一人で生き抜くなんて無理ゲーだし…うぅ…泣きたくなってくるよ…!!)

 

ミカ自身は今のところめちゃくちゃ優しくて完璧なお姉ちゃんをしてくれている

彼女の側にいることが、結果的にキヴォトスで最も安全になっているのも事実だ

 

〝ふう…〟

 

考えれば考えるほど胃が痛くなりそうになり、俺は小さく息を吐いた

未来の面倒な事件の数々に思いを馳せても、今の俺の体力と精神力ではどうしようもない

 

(…まあ、先のことは、その時になったら考えよう。どうせ俺はストーリーに役割ないし)

 

思考するのを放棄するように、俺はお湯の中でさらに体を沈め、口まで浸かる

 

背後では、ミカが「ふんふん♪」と機嫌よく鼻歌を歌いながら自分の髪を洗っている

その穏やかな鼻歌を聞きながら俺は心地よい頭を空っぽにして、温かさを満喫することにした

 

 

 

 

「メルちゃ〜ん…!お待たせ⭐︎あれ…?寝ちゃった…!?あっ…!起きてたの…?よかった!」

 

背後から掛けられる甘い声と共に、ドプンと水音が響いたあと体が波で揺れる

目を開けなくても分かる

湯船に入ってきたミカが、そのまま俺の隣…いや………

ガシッと後ろからお腹に両腕が回され、俺は完全にミカの腕の中に閉じ込められた

 

(ひっ…!? 柔らか!!押し付けられているのってあれだよな…!?想像以上にむにむにしてる…!あとこれ…ミカの足…思ったよりむちむちで座っててすっごい座り心地いいんだけど!?)

 

羞恥心と緊張で、さっきまで落ち着いていた心臓がバクバクと狂ったような音を立てる

 

「ねえ…メルちゃん…」

 

耳元で色っぽく囁くミカにビクッと肩が震えてしまう

 

〝な、なに…?〟

 

「ごめんね…やっぱ我慢できないや⭐︎」

 

そう言われるとミカの腕と大きな羽でさらに包み込まれるように抱きしめられる

 

(ちょちょちょちょ!!!!これ待て!いや待て!心の中のコハルが叫んでるぞ!?エッチナノハダメ!!シケイ!!っとふざけてる場合じゃない!メス堕ちはまだしたくない!!)

 

だが予想に反してミカは洗ったばかりの俺の髪の毛に顔をうずめ始めた

 

〝…ぇ…っと…ミカ…?〟

 

「スゥー…ごめんね⭐︎スゥー…アッイイニオイ…ちょっと待ってね?」

 

(エ駄死の展開にならなくて良かった…!!……!いや待て!!これエ駄死よりきついって…!!先生に吸われるヒナ…いつもこれを受けてたのか…!?あっまずい…意識が…)

 

羞恥心からか頭がオーバーヒートし強制シャットダウンしたのか、長風呂によってのぼせた…はたまたその二択か…どちらにせよ俺は視界がどんどん狭まっていくのであった

 

「…メルちゃん…?あっ…?ち、ちょっと…!鼻血…!鼻血出てる!」

 

最後に聞いたのはあたふたとあわてるミカの声なのであった

 

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