転生羊少女は今日も眠い   作:恋する夜空

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ハナコの話し方が難しすぎて笑えない
早くエデン条約編を書けるように頑張ります
それとお気に入り、評価、感想あざます!励みになります!


グッバイ平穏な学園生活

(うわぁ…出たよ補習授業部の問題児、言葉を選ばないと、トリニティ1のめんどくさい女!! ハナコに目をつけられたら、俺の精神がすり減って秒で消し炭になるぞ……!)

 

「こんにちは。今日からお隣さんですね

浦和ハナコです。よろしくお願いしますね♪」

 

〝…メル…柊メル…よろしく〟

 

「……ふふ、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?私、こう見えて結構お話しするのが好きなんです♪ですから…これからいっぱいお話ししましょうね♪」

 

さっそくハナコがこちらを品定めするような貼り付けた笑顔で視線を向けてくる

俺は恐怖で引きつりそうになる顔を必死に『メル』という仮面で覆い隠し、短く返した

 

〝こっち…みないで…〟

 

「まぁ、そんなに恥ずかしがらなくてもいいですよ?仲良くしましょう?メルちゃん?」

 

心底、心がすり減る生活の幕開けを確信し、俺は早くもげんなりとした気分で机に突っ伏した

 

(迅速に席替えがしたい!!教室は唯一、1人でのんびり過ごせる時間だと思ったのに!!)

 

しかし、絶望ばかりではなかった

やがて始まった座学の授業…国語や英語、数学といった基本の授業では、この世界に来てから、文字通り死ぬ気で勉強したおかげで特に困ることはなかった

 

パラパラ、と教科書をめくることすら面倒くさくなり、俺は机に突っ伏したまま、耳に入ってくる教師の声だけで内容を理解していく

 

「あら、メルちゃん…?先生の話、難しくないですか?さっきからずっと寝ているように見えるのですが…教科書、閉じたままですよ?」

 

隣の席から、ハナコが耳元に艶やかな声を寄せながら、ジッとこちらを観察してきた

いつ、コハルにするようなちょっかいを出されるかと身構えつつ、俺はとろけるような睡魔の中、ぼそっと呟く

 

〝…きかなくても…わかる…ねんちゃく…しないで…ねむい…〟

 

「あら、すっごく冷たい反応……でも、授業の内容をすべて理解しているような…ふむ…優秀なんでしょうか…」

 

(小声でぶつぶつ言ってるけど丸聞こえだぞ!!ハナコォ!!……うう…ハナコに警戒されながらの学校生活とか地獄だよぉ…頼むから関わらないでくれ…!)

 

ハナコの生暖かい視線を全身に浴びながら、俺は早くお昼休みになってくれ…と心の中で祈りつつ、再び顔を机に伏せるのであった…

 

 

 

 

〝んぅ…〟

 

午前の授業が終わるチャイムが鳴り響いても、俺は机に突っ伏したままエネルギー切れを起こしていた

ドーピングした知識のおかげで授業の内容は完璧に頭に入ったが、その代償として脳のエネルギーをすべて使い果たした気分だ

 

(この体の睡眠欲どうなってるんだ…3大欲求の内の2つが満たされれば残り1つは、欲求が出ないってどこかで聞いたけど…今度試してみるか……あれ…?そういえば発散の仕方わからんぞ!?…かくなる上はミカに教えてもらって……ってそんなの絶対ダメだろ!!……でもミカにリードされて気持ちよくしてもらえたら…♡うぁ…ダメだダメだ!!そんなもん想像するな!!)

 

「メルちゃん?お昼一緒に食べませんか?誰にも邪魔されない素敵な場所を知っているんです♪…ふふ♪二人っきりで秘密のおしゃべりでもどうですか?」

 

反射的に肩が震え、背筋がゾクリとするような、しかし甘美な誘いが隣から降ってくる

顔を上げると、ハナコが艶やかな微笑みを浮かべてこちらを覗き込んでいた

見たことのあるいつもの妖艶な雰囲気をまといつつも、その瞳の奥は妙に鋭く見える

 

(ここでハナコと二人きりになったら、俺のツノのことが秒でバレる気がする…ハナコ相手に隠し通せる気がしねぇ…ハナコには悪いけど全力で断るしかない…!)

 

震える手をカーディガンの袖を握ることで誤魔化して、俺は最強の切り札を口にした

 

〝ミカ…とたべる…から…むり…〟

 

「…!…ミカさんと、ですか…」

 

その名前を出した瞬間、ハナコの動きがピシリと止まる

ふっと、先ほどまでのふざけた空気が嘘のように消え去り、ハナコは顎に手を当て、ほんの数秒だけ何かを深く思考するように目を細めた

 

「…だから…!…飛び級…」

 

考えがまとまったのかそんなことを呟くと、ハナコはふっといつもの柔らかい微笑みへと戻った。その変わり身の早さに、体温が下がるような気がした

 

「…先約がミカさんならしょうがないです。また次回にしましょう♪」

 

〝うん…じゃあ…〟

 

それ以上話される前に俺はバッグを掴むと逃げるように教室を出た、扉を閉める時振り返ると、ハナコは追ってくることもなくただ優雅に手を振って見送ってくれたが、その何か含みのある笑顔に俺はビクビクするしかなかった…

 

(いやぁ……怖いな!!実際に話すとハナコの目が細められるたび、俺の寿命が減っていく感じがするぞ…!次からミカに教室へ迎えに来てもらおう……)

 

命からがら教室を抜け出した俺は、ミカとの待ち合わせ場所へと、トボトボと足を引きずるように向かう

 

「メルちゃーん!」

 

待ち合わせ場所に指定されていた噴水に近づくやいなや、桃色の髪を揺らしたミカが猛スピードで突撃してきた

回避する間もなく、俺はその懐かしさすら感じる温かい体に勢いよく抱きしめられる

 

しかし、良くも悪くも周囲の目を引くミカが、一介の生徒に公衆の面前で抱きついたのだから、目立たないわけがなかった

 

噴水の周囲を通りかかる生徒たちが、次々とこちらを振り返る

 

「ねえ、見てあれ…あの子、ミカ様に…」

 

「あの子…飛び級の子?いつの間にミカ様とあんなに親密に…?」

 

「まさか、お気に入り…?」

 

ヒソヒソと聞こえてくる憶測や、好奇の眼差し、羨望と嫉妬の入り混じった視線…目、目、目、目…

 

それらが矢のように体へと突き刺さり、俺のSAN値がゴリゴリと削られていくのを感じる

 

〝み、ミカ…ここ……めだつ…〟

 

必死の抗議を込めて、俺はミカの制服の裾をクシャッと掴み、か細い声で訴えた

 

「えー? せっかくメルちゃんとやっと会えたんだよ? 周りの目なんて気にしなくていいのっ⭐︎」

 

ミカはふふんと誇らしげに微笑み、さらにギュッと抱きしめる力を強めてくる

 

(…周りが気になりすぎて俺の心臓が爆発四散しそうなんですけど!?うぅ…でもこの体…ミカに抱きしめられるだけで安心して眠くなる…ぐぅぅ…!しっかり…しろぉ…!)

 

〝べつの……しずかなところ…いこう…〟

 

俺の必死の訴えに、ミカはむぅ…とわずかに頬を膨らませたが、『2人きり…いい…』と付け足すと嬉しそうに手を引いて歩き出してくれる

 

「もう、メルちゃんは恥ずかしがり屋さんなんだから⭐︎…じゃあ、お散歩がてら、誰もいない秘密の場所に連れていってあげる!」

 

ミカはそう言うと、俺の手を自分の手でしっかりと包み込み、繋いだまま歩き出した

俺は不満と絶望をこれでもかと乗せた、じっとりした目でミカを見上げた

 

(なんで手を繋ぐんだ…!もっとこう…あるだろ…!距離を取って歩くとか、せめて生徒の少ないルートを選ぶとか…)

 

「そんな顔してもだめっ! メルちゃんが迷子になっちゃうよ?それに近くにいて欲しいから⭐︎だめ?」

 

しかし、ミカは俺の不満げな視線を完璧にスルーし、眩しすぎるほどの笑顔で言い放った

 

(そんないい顔で見つめないで…!何回でも好きになっちゃうじゃん!?)

 

ゴリ押しだ

暴力的なまでの顔の良さから繰り出される、笑顔によるゴリ押しだ

交渉の余地など最初から存在しないことを悟り、俺は、もうどうにでもしてくれ…と心の中で白目を剥きながら、ミカに引かれるがままトリニティの石畳を歩いていくのだった

 

 

 

 

ミカに手を引かれ、たどり着いたのは、誰もいない静かな屋上だった

 

(こんな場所があるなんて…屋上に人がいないのは意外だな…お嬢様学校特有の暗黙のルールってやつがあるのか…?)

 

心地よい風が吹き抜けるその場所で、ミカは嬉しそうにさっきまで持っていた、大きなバスケットを地面に降ろした

 

「じゃーん! メルちゃんのために、特製のお弁当を作ってきたんだよ!」

 

蓋を開けると、中から飛び出してきたのは……なんというか、色彩の暴力だった

 

大きなお弁当の真ん中を飾るのは、ハートがケチャップで書かれたオムライスに、今の体では一口で食べれなさそうな肉団子、ハムとコーンを使い花のように装飾されたもの、鮮やかな緑のブロッコリーと可愛らしいミニトマト…そして一番目を引いたのは、器用にウサギのように細工されたかまぼこ…

 

この世界に来て短い時間だったが、家でミカにご飯を作ってもらうことが多く、その料理の腕前は目を見張るものだったが……

 

(ミカ…結構…というか!めっちゃ料理うまいやんけ!!バレンタインのストーリーを見たことがあるから心配だったけど…これってもしかして俺がいることで起きる影響…?いや…ないか)

 

最悪の未来を想像して生唾を飲み込む俺に、ミカはスプーンに一口サイズのオムライスを乗せていつものように、はい、あーんと笑顔で突きつけてきた

俺は口を大きく開き、それが口に入るのを待つ

 

口を閉じて咀嚼すると、まずはケチャップの酸味とそれをマイルドにする卵の甘味がくる、その後、噛むたびに楽しい食感を奏でる野菜と、じゅわっとお肉の旨味が広がる

 

〝…おいしい…〟

 

そう呟くと、見守っていたミカの瞳がパァッと輝いた

 

「ほんと!? よかったぁ…メルちゃんのお口に合うように、隠し味にハチミツとベリージャムを入れてみたんだ⭐︎」

 

(推しが俺のために頑張ってご飯作ってくれるの幸せ!!ありがとう神!!それにしてもくそうめぇ!店出せるぞ!)

 

〝ん…もっと…欲しい〟

 

嬉しそうなミカに、次の一口をねだりながら、俺は頭の中で現状を今一度、整理していた

 

ミカは今もティーパーティとして元気に動き回っている

そして何より、セイアは健在で、あの事件も起きていない

さらに、キヴォトス全体を揺るがすはずのあの『大人』の噂を、周囲の生徒からは一切耳にしない

 

(もしかしなくても…これってエデン条約編が始まるよりも前、原作がスタートする前の時期だよなぁ…)

 

つまり、エデン条約の調印式も、これからミカが背負う責任についても、まだ何も起きていないということだ

 

(これからあのドロドロとした地獄が始まるってことか…俺は間違えずにミカをお姫様でいられるのか?いや…やるしかないんだ…原作をあまり壊さずにミカを助けないと…)

 

そんなことを考えながら、小さな口で、なんとか大きなお弁当を食べ終わるとお昼休みの終わり5分前を告げるチャイムが冷たく鳴り響いた

 

自分のやるべきことを自覚した後に、口に運ばれてくるご飯は、最初よりも味が感じにくかった

 

ミカと別れトボトボと教室に戻り、自分の席に座り、机に顔をくっつけると、隣から甘い香りが漂ってきた

 

「あら、メルちゃんおかえりなさい♪ミカさんとのお昼ご飯…楽しめましたか?」

 

ハナコが、いつもの妖しい微笑みを浮かべて俺を横から覗き込む

 

(な〜んでわざわざ窓の方向いて突っ伏してるのに顔覗いてくんだよ!!)

 

〝うん…おいしかった…〟

 

うんざりしながらそう返す俺に、ハナコは楽しそうの笑った

 

「知ってますか? 今、生徒の間で『ミカ様が謎の生徒に手作り弁当を振る舞っている』って噂でもちきりですよ♪」

 

(うわぁぁ…やっぱり! あの噴水での公開処刑、しっかり広まってる…!)

 

一気にHPが削られる思いで机に突っ伏す俺を、ハナコは面白そうに眺めながら言った

 

「メルちゃんは…ミカさんとどういった関係なんですか?もしかして…付き人…だったり?」

 

〝……〟

 

(いやまて!おかしいだろって!確かにミカはあからさまだし、俺自身ティーパーティの制服着ているからといってたどり着くの早すぎだろ!!そりゃ勧誘されるよ!いろんな部活に!!)

 

「ふふっ♪その沈黙は正解…ですか?」

 

〝……すきにかんじて…〟

 

ハナコの恐ろしいほどの優秀さに怯えながら、俺は午後の授業の教師の声をBGMに、現実逃避をするため眠りに落ちるのだった……

 

 

 

 

退屈な授業が終わり、放課後のチャイムが鳴り響く、周囲は続々と帰っていっているが俺は継続して机に突っ伏して、うとうとしていた

前世の知識で授業を乗り切ったとはいえ、この体が生み出す底なしの、心地よい睡魔には勝てない

このまま朝まで眠っていたい…本気でそう願っていた

 

「すみません。少しよろしいですか?」

 

冷ややかな、あからさまな苛立ちを含んだ声が頭上から降ってきた

重たいまぶたを持ち上げると、そこには見知らぬトリニティの制服を着た女子生徒が3人立っていた

顔にはハッキリと不満と書かれている

 

「寝たふりしても無駄です。少し校舎裏まで来てもらえますか?」

 

〝めんどくさい…ここで……ねる…〟

 

掠れかけの声で全力の拒否を示したが、彼女たちは俺の返答など最初から聞いていないのだろう

 

「…黙ってついてきてください」

 

冷たく言い放つと、2人が俺の腕をガッチリと掴み半強制的に立ち上がらせられた

ここで下手に抵抗して大声を上げれば、どこからともなくミカが音速で飛んできて、さらに大惨事になることは目に見えている

 

(あぁ、めんどくさい…!でも、ここで下手に突っ張ったらもっと面倒なことに巻き込まれる…!マジでミカには教室まで迎えに来てもらおう…昼と放課後も…)

 

俺は大人しく彼女たちの後ろについていくことにした

 

 

 

 

連れてこられたのは、人目のつかない校舎の裏だった

案の定というか、予想通りというか、彼女たちは振り返り、俺を鋭い視線で睨みつけた

 

「で? あなた、一体何者なんですか?」

 

先頭に立った生徒が、詰め寄るように声を荒げる

 

「ミカ様が最近あなたをやけに特別扱いしてるって聞いたわ。いつも一緒にいて、お昼まで作ってもらって…一体、ミカ様にどんな魔術を使ったの!?」

 

(魔術って…ただ寝てたらミカが勝手に回収してお世話になってるだけなんですけど!)

 

そんなこと言ってもどうせ信じてもらえないため、できるだけ当たり障りのない返答をする

 

〝なにも……してない…運…よかった…〟

 

「とぼけないでください!」

 

別の生徒が、いらいらとした様子で声を荒げる

 

「ミカ様といえば、ティーパーティで、私たちの憧れの人よ! そんな方が、飛び級の生徒1人なんかを構うなんておかしいわ!」

 

「そうよ! きっとミカ様の優しさに付け込んで、何か良からぬ企みをしているんでしょ!」

 

当たり障りのない回答をしたつもりだった俺だったが、地雷を踏んだのだろう…彼女たちのヒートアップする様子を見て早く終わってくれないかなぁとあくびを噛み殺した

その態度が、彼女たちの逆鱗に触れてしまったらしい

 

「……っ!ふざけないでください…っ!!」

 

〝ひゃっ…!?〟

 

突然、先頭の生徒が俺の制服の胸ぐらを荒々しく掴み、壁際にドンと押し付けた

至近距離で歪められた彼女の顔には、嫉妬と怒りがありありと浮かんでいる

 

「答えなさい! ミカ様の弱味でも握ったわけ!? それとも…なんかしてミカ様をたぶらかしたんでしょ!!」

 

(ちょ、力の加減がおかしいって! 痛て!!首!首絞まる!!それに胸ぐら掴まれて揺さぶられたら、本気で吐くぞ!!)

 

なんとも言えない吐き気と揺れる視界で、俺は息も絶え絶えに、かすれた声で呟くしかなかった

 

〝たぶらかして…ない…むしろ…私が…たぶらかされて…る…から……ゆるして…〟

 

もちろん、そんな言い訳が怒りに狂った生徒たちに通じるはずもなかった……が

 

「ねえ、何やっているのかな?」

 

体が凍てつくような冷たさと、感情の読めない静かな声が、校舎裏の空気を一瞬で凍らせた

俺の胸ぐらを掴んでいた生徒の体がピタリと硬直し、びくりと震えながら振り返る

 

そこに立っていたのは、いつもの笑顔を綺麗に消し去った、ミカだった

その瞳はまるで夜のように暗かった

 

「み、ミカ様…!? これは、その…その…!」

 

「私の大切なメルちゃんに、一体何をしているのかな?」

 

ミカが一歩、また一歩と近づいてくる

ただそれだけで、彼女たちは恐怖で顔を真っ青にし、足をガタガタと震わせる

 

「ひっ…! ご、ごめんなさい! 私たちはただ、その…っ!」

 

「…もういいよ。二度と、メルちゃんに近づかないで。次はないからね」

 

聞いたことのない低いミカの声に、彼女たちは悲鳴を上げることもなく手で顔を覆い、蜘蛛の子を散らすように一目散へと逃げ出していった

 

(こ、こわ〜…!怒られてるの俺じゃないけど怖すぎてちびりかけた…絶対怒らせないようにしよ…)

 

俺は、その場に崩れ落ちそうになるのを必死に堪え、壁にもたれかかった

あわや銃撃戦に発展しかけたかもしれないと言う恐怖の波が引いていく

本当に死ぬかと思った

 

「メルちゃん、大丈夫だった…?」

 

先ほどまでの殺伐とした雰囲気が嘘のように、ミカはパッと表情を和らげ、心配そうに俺の顔を覗き込みながら駆け寄ってきた

そして、痛むところがないかを確認するように、俺の服の乱れを優しく整えてくれる

 

〝こわかった…もう…あるきたくない…〟

 

「ごめんね、明日から迎えに行くからね…?…まったく」

 

ホッとして気が抜けた俺に、ミカは少しだけ怒ったような顔をした

 

「知らない人についていっちゃダメだよ、メルちゃん!危ないことされたらどうするの? 私がいないところでそんなことになったら、心配で気が気じゃないんだからね?」

 

いや…元はミカのせいなんだけどとは言えず

 

〝うん…ごめん…〟

 

と、反省したフリをする

 

「うん…分かってくれたならいいの⭐︎ほら、もうこんな時間だし、今日はもうお家に帰ろ?」

 

ミカは俺の小さな手をギュッと自分の大きな手で包み込み、優しく引っ張った……はずだった

 

〝…?あし…うごかない…〟

 

「メルちゃんもしかして…腰抜けちゃった?…うん…怖かったもんね?よーし⭐︎」

 

ミカに抱きしめられ、抱っこされるがもう抵抗する気力なんて残っていない

俺は大人しくミカに抱っこされながら、すっかり夕暮れに染まったトリニティの道を帰るのだった

 

 

 

 

(それにしても…かっこよかったな……『大切なメルちゃん』かぁ…大切な…大切な…♡えへへ…♡)

 

帰るまでの道のり、『私』はミカの首筋に顔を埋めて、匂いを嗅ぎながら、その背筋がゾクゾクするような甘美な言葉の響きを堪能するのだった




日常回とか要ります?
欲しかったら書いたらしますが…
あと、エ駄死なのも書いたりしていいですか…?
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