エルディア人は化け物。
パラディー島には悪魔が住んでいる。
我々はパラディー島の悪魔達を殺さなければならない。
幼い頃から教えられてきたことだ。大人が言っていた。エルディア人は巨人になれる化け物だから、人として扱わなくていいんだって。
で、俺もそうだと思う。だって怖いじゃん?自分より何十倍もでっかい化け物に、目の前にいるエルディア人とかいう奴らはなれちゃうんだぜ?怖い怖い。
だから俺は言われた通りエルディア人を人だとは思わなかった。子供の頃はただただ怖いだけだった。けれど兵士になって戦場に初めて出された時。思ったんだ。
『エルディア人は絶滅させなければいけないんだ。』
__ってね。
我が国マーレが所有する巨人化の注射器によって巨人になったエルディア人たちが、敵国に襲いかかるのをこの目でしかと見た。見てしまった。抵抗できるわけもなく、ただただ殺されていく人々を。
足を引きちぎられ、頭を齧られ、握り潰され。
どれだけ痛いだろう。苦しいだろう。銃で撃たれて死んだ方がまだマシなんじゃないか。俺達マーレの祖先も同じように殺されたのか。そんな思いを巡らせて、
俺は初めて敵国に同情し、巨人を__エルディア人を憎んだ。
それから何年か経ち、俺は死んだ。
痛い。寒い。暑い。暗い。赤い。怖い。辛い。憎い。
なんで死んだかはわかるだろう?戦争で、だよ。いやぁ痛かった。でもまぁ巨人に喰われるよりマシだったと思うね。撃たれた左胸が死ぬほど痛かったけど死んだからもう関係ないや。
□
目が覚めた。知らない天井だ。病院か?違うな、俺は死んだはずだし。体を起こす。起きれない。何だこれ、体が鉛のように重い。目の前に女性が現れた。わぁ美しいね。その美しい女性の髪に手を伸ばした。見えた手は小さい。とても小さくてまるっこくてかわいい__じゃなくて!!
『俺、生まれ変わってる!?』
□
やあやあ皆、久しぶり!目が覚めたあの日から10年が経ったよ。友達も出来たし、中々に幸せなラッキーボーイだと思う。一点を除けばね。
__『転生したらエルディア人だった件』
まじで、なんで?え?俺なんか悪いことした?
いやしたけどさぁ…それがルールっていうか、マーレ人として当たり前っていうか…(モゴモゴ)。それでもじゃん。国のために戦って死んだ戦士に対してこの仕打ちは酷いと思わないかい?
母親の腕章に気がついた時は大分やばかったね。三歳ぐらいだっけ?普通の子供でちゅアピールして抱きつきにいったら見えちゃって。普通に、それまでなんで気付かなかったんだろうか。
で、俺ペラペラ喋りだしちゃったらしくてさ。
え?なんて言ってたか気になるって?
「エルディア人はダメだ、死ななきゃ、死ななきゃ」
って発狂して窓から落ちようとしたらしい。死のうと思ったんだろうね。エルディア人だから。
それを外にいた人たちが聞いちゃって『狂気の子』なんて呼ばれるようになっちゃったんだよ。酷いよね。もうちょっとかっこいい名前つけてくれよ。母親からも化け物呼ばわりされたことあったっけ?その後は普通にしてたからいつも通りに戻った。
いや、たまに殴られたりするけどそれはご愛敬(?)。
まぁそのおかげか、上司の方々からは一目置かれてるんだけどね!
そんなことを心の中で溢しながら俺は走る。戦士候補生になるために。そう、俺は今世でも国のために頑張る健気な少年なのである。
「~~、…聞いてるの?アルス」
「えっ」
誰に語ってるのか自分でも分からない話を心の中でしていると声をかけられた。というか話しかけてくれてたけど俺が聞いてなかった感じだ。
俺の間抜けな声にため息をつくこの金髪美少女は『アニ・レオンハート』。同じく戦士候補生を目指す友達の一人!
あと俺の今世の名前は『アルス・クライン』!
「やっぱり聞いてない…あんたはもうちょっと人の話を聞く努力をしな」
「ごめんアニ、考え事してて…で、何の話?」
「どうやったら息切れせずに走れるのか聞いてるんだよ」
「えぇ、どうって言われても……感覚で?」
「質問に質問で答えないで」
「ごめん…」
確かに俺は体力はある方だ。前世で戦場を駆け回ってたからだと思うんだよね。体がコツを覚えてるんだよ。多分。maybe 。体変わったけど。
確かに他の子たちはもう息切れして…あ、ドベが辛そうな顔してる。
「ドベじゃない!!」
「ドベはドベだよ、ドベ」
「ちょ、アニ…言いすぎだよ」
ドベの目尻に涙が……ドベって言うのはライナーね。『ライナー・ブラウン』。ドベ。
で、その横でオドオドしてるのが『ベルトルト・フーバー』。気の弱い少年。
そして俺の横にいるアニの反対側にいるのが『ポルコ・ガリアード』。気の強い少年。
俺達五人は同い年で、全員戦士候補生になるために日々頑張っている。他にも同い年の子は何人かいるけど、主に仲が良いのはこの四人だけかな。年上も何人かいるけどね。
エルディア人でも、仲間は仲間だし。俺は今エルディア人だからね。仲良くできるのはこの子らだけなんだもん。
ある日。訓練が終わり、いつも通りすっかり暗くなった道を歩いて収容区の家に帰ろうと人通りの少ない路地を歩いていたら、誘拐された。もっかい言うよ?誘拐された。
え?なんでなん?めちゃくちゃ怖いんだが。
俺を誘拐したの男達はなにやら研究員みたいな服を着ていて、口枷と手錠をされた俺は何故か注射された。いってぇなオイ。
最後に見たのは光。自分の体から発せられたような光に包まれて__意識が、途絶えた。
□
目が覚めた。知らない天井だ__いやこれデジャブだな。あたりを見渡すとなんか軍の上層部みたいな人たちがわらわらと俺を見ている。やだなぁ、そんなに見られると恥ずかしいじゃん!
「あ、マガト隊長」
「…クライン、説明しろ。何をした」
「え?何をしたって何が__」
そう聞き返したところで自分の体を見た。そこにあったのは大きな肉が腕や足にひっついているモノ。グッロ……じゃなくて、ナニコレ。
それになんかマガト隊長達がちっさく見えるなって思ってたら乗ってた。うん。俺今、巨人のうなじに乗ってるわ。え?
□
あれからしばらく経って、事情聴取を受けてからわかったことがある。俺はなにやら巨人になったらしい。加害者は違法に巨人の研究をしてるヤヴァイ奴で、エルディア人の腕章をつけて路地裏を無防備に歩いている
当の本人と研究資料、薬に関しては全て俺の巨人化でお亡くなりになったらしく、手がかりもないため俺みたいに巨人化させる方法を得ることは出来なかったようだ。
世紀の大発見だというのに情報を得られなくてしょんぼりしている軍を横目にマガト隊長の話を聞く。
「まだ詳細がわからないため予測だが、お前は戦士となるだろうな。継承無しで知性巨人になったのだから」
「…てことは?」
「お前とお前の家族は今日から、名誉マーレ人だ」
「やった!って俺家族いねぇんだった!!」
「笑顔で言うことじゃないだろう…」
そう。俺の母は二年前に病気で死んだ。父は元からいないし、祖父母も知らない。兄弟もいないからクライン家は俺一人なのである。
正味あんまし興味ないし、母さんが死んだときは悲しかったけどそれだけだった。
取り敢えず、俺の巨人についての研究が始まったのであった!
テンポは謎だけどゆぅ~っくり投稿ですばなな。