美女と付き合いたいから強くなる   作:マンダ

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出会い

 

 

ドォォォォォンッ!!!!

 

上空から叩き落とされた『爆炎ワイバーン』の巨大な肉体が地上へ激突し、凄まじい地鳴りと共に土煙が舞い上がった。かつては一撃食らうだけで死線を彷徨った怪物の巨体が、今は俺の目の前で動かない肉塊となって横たわっている。

 

 

「ふぅ……よし、解体に入るか」

 

 

俺は手に纏わせた細く研ぎ澄まされた闇の刃で、ワイバーンの分厚い外皮を綺麗に切断していく。この肉は、少し離れた場所にある村へ運ぶ大事な食料だ。最初は魔物の肉なんてと引き気味だった村人たちも、いざ食べてみれば非常に栄養価が高く絶品だと分かり、今では解体して持ち帰るたびに大歓迎されている。

 

地獄のような特訓を開始してから、早いもので2年の月日が流れていた。

 

俺は15歳になった。

 

今の俺は、その村をモンスターの脅威から護る『防波堤』としての役割を果たしている。村を襲おうとする魔物を事前につむことで、村人からは感謝され、莫大な討伐報酬を得ていた。懐は常に潤っており、生活費どころかちょっとした資産家レベルの金が貯まっている。

 

 

(原作開始まで、あと3年か……)

 

 

月日の流れを実感しながら、自分の両手を見つめる。

かつては一匹のキマイラにすら泣き叫び、泥を舐めてボコボコにされていた俺だが、今では狼の群れも、巨大な飛竜も、キマイラすらも単独で難なく倒せるようになっていた。

 

何より変わったのは心だ。あれほど死ぬほど怯えていた戦いが、今では全く怖くなくなっていた。痛みの基準がラクリマの地獄スパルタによってバグったおかげで、多少のダメージやかすり傷程度では顔色一つ変えずに戦闘を継続できるようになっている。

 

そして、肉体の変化も劇的だった。

 

身長は175cmほどにまで伸び、鏡を見るたびに惚れ惚れするようなスタイルになっていた。毎日高栄養なモンスターの肉を常食し、過酷な実戦を繰り返してきたおかげで、しなやかさを維持したまま、無駄な脂のない引き締まった筋肉が全身を覆っている。中肉、あるいは少し肉厚で男らしい厚みがあり、体重は70kgほど。

 

前世の、165cmしかなく、太ろうが痩せようが運動音痴で冴えなかったもやし体型とはまるで別物だ。

 

 

(この最高スペックの身体をくれた神様には、本当に感謝しかないな……)

 

 

イケメンな上に、恵まれた体躯、そして莫大な魔力。

手に入れた肉体の感触を確かめながら、俺は解体した飛竜の肉を巨大な袋に詰め込み、村へと向かって軽々と歩き出した。

 

 

 

 

 

 

村の定食屋で、解体したワイバーン肉の料理をつつきながら遅めの昼食をとっていると、隣の席に座る村人たちの会話がふと耳に入ってきた。

 

 

「なあ、聞いたか? 隣の村の噂……」

 

「ああ、凶暴な『悪魔』が出没して暴れまわってるって話だろ? 建物はぶち壊されるわ、夜な夜な人を襲うわで、もう住人の大半が逃げ出したらしいぞ」

 

「へえ……で、魔導士ギルドに依頼を出したんだろ? 腕利きが来るのか?」

 

「それがよ、来たのはまだ若い女の子らしいんだ。なんでも『悪魔を吸収する特別な力』があるから余裕だとか言ってたらしいが……大丈夫なのかねえ」

 

 

悪魔を吸収する力――。

そのフレーズを聞いた瞬間、胸の奥で小さな引っかかりを覚えた。どこかで聞いたような設定だ。だが、今の俺はあくまでこの村の防波堤であり、依頼を受けたわけでもない。他所の村の揉め事に首を突っ張るのも野暮かと、そのままスルーしようとした、その時だった。

 

 

(……行け、小僧。その魔導士に会いに行ってみろ)

 

 

脳内で、久々にラクリマの重々しい声が響いた。

 

 

(行けって……俺には関係ないだろ。依頼を受けた魔導士がいるなら任せとけばいいじゃないか)

 

(ククク、行ってみろと言っているのだ。後々、面白いことになるぞ。それに今の貴様の実力ならば、悪魔の一匹や二匹など欠伸が出るほど余裕だろう。……行ってこい)

 

 

「なんだ……?」と首をかしげながらも、ラクリマがここまで明確に指示を出してくるのは珍しい。気になった俺は翌朝、必要最低限の荷物を鞄に纏め、隣村へと足を進めることにした。

 

――数時間後、隣村に到着した俺は、その惨状に息をのんだ。

 

 

「これは……ひどいな」

 

 

村はすっかり荒れ果てていた。民家の木壁は激しく叩き割られ、屋根には巨大な穴が開き、あちこちに生々しい爪痕が刻まれている。まるで巨大な魔獣の群れにでも襲撃されたかのような惨状だ。人影もまばらで、ゴーストタウン同然と化していた。

 

静まり返った村の中を進み、比較的被害の少なさそうな村の集会所らしき建物へと向かう。入り口の隙間からそっと中を覗き込むと、怯えた様子の村長と思わしき老人が、一人の少女と対峙していた。

 

 

「それで? 悪魔はいつ現れるんだよ?」

 

 

腕を組み、不機嫌そうに尋ねる少女の声。

 

 

(……ん? なんか見覚えがあるような……?)

 

 

少女の後ろには、体格の良い少年と、小柄で可愛らしい少女が控えめに立っている。三人とも、特徴的な美しい銀髪をしていた。

 

 

「ま、毎晩現れるのです……! そして人を喰らうのです……っ。恐ろしさのあまり、村の者はほとんど逃げてしまいました……」

 

「夜かよ。まあ、分かった。私が退治してやるよ」

 

 

村長の言葉に、銀髪の少女は面倒そうに肩をすくめて言い放った。

 

 

「どんな悪魔も、私にかかればイチコロさ」

 

「流石ミラ姉!」

 

「姉ちゃん……頼りになる!」

 

 

誇らしげに胸を張る長女に、妹と弟が憧れと信頼の眼差しを向ける。

 

長女? 妹? 弟?

銀髪の三兄弟……悪魔を吸収する力……不遜な態度と、あの圧倒的な存在感――。

 

その時、長女がくるりと振り返り、集会所の出口へと歩き出した。

打ち付けられた日光が彼女の顔立ちを鮮明に照らし出す。

 

 

(――ッ!??)

 

 

俺は影に身を隠しながら、激しい衝撃に目を見張った。

 

間違いない。ミラジェーン・ストラウスだ。

そして後ろにいるのは、幼いエルフマンとリサーナ……!

 

原作開始の約3年前、彼女たちがフェアリーテイルに入る直前――ミラジェーンが『サタンソウル』の力を宿すきっかけとなった、あの「悪魔退治」の現場に、俺は立ち会っているのだ。

 

まさかこんな場所で、物語が動き出す運命の瞬間に遭遇するなんて思いもしなかった。俺は息を殺し、隠れたままじっと三人の様子を伺っていた。

 

 

 

 

 

 

俺は、三人組が泊まっている集会所のすぐ近くにある、半ば放置されたような村の宿に部屋を取った。

受付で「こんな時期に泊まるなんて変わった客だね」と怪訝な顔をされたが、適当にごまかして夜を待った。

 

夜が深まり、村全体が静まり返る。

俺は宿をこっそり抜け出し、月明かりの下で外の様子を伺っていた。

 

 

(あの三人、ちゃんと眠れてるのかな……)

 

 

そんなことを考えていた、その時だ。

 

 

「おい、あんた」

 

 

背後から、背筋がヒリつくような鋭い気配と共に、乱暴な少女の声が響いた。

振り返ると――わおっ、そこに立っていたのはミラジェーン本人だった。

 

月光に照らされる16歳の彼女は、まだ少女の面影を残している。背丈こそ大人の女性と変わらないが、全体的にどこか華奢で細い。……まあ、既にその胸はしっかりと主張する大きさを誇っているのだが。

 

 

「……なんでこんな時間に外にいるんだ? 住人はみんな家に閉じこもってるぞ」

 

 

警戒心を隠そうともせず、青色の瞳で俺を睨みつけてくるミラ。俺は苦笑いを浮かべながら、努めて穏やかに答えた。

 

 

「気になっただけだよ。この村に悪魔が出るって話を聞いてな。……俺も闇属性の魔法を使うんだ。だから、悪魔を退治しに来たっていう魔導士――まあ、君の姿を一目見ておきたくてね」

 

「お前も……闇属性を使うのか?」

 

 

俺の言葉に、ミラの警戒心が少しだけ薄れた。彼女はフンと鼻を鳴らすと、俺の少し離れた隣に腰を下ろした。

 

 

「ああ。2年前から使ってる。最初は抵抗があったけど、使ってみると使い勝手自体は悪くないんだ。……まあ、周りの人には隠してるけどね」

 

「お前もそうなのか。……私もだよ。っていうか、この魔法に好き嫌いをつけるなら、今だって大嫌いだけどな」

 

 

自嘲気味に吐き捨てるミラの横顔には、年相応の少女が背負うには重すぎる陰りがあった。俺は静かに彼女を見つめ、言葉を紡ぐ。

 

 

「……もしかして君も、使いたくもないのに、使わなければいけない状況に追い込まれたのか?」

 

「……まあな。正直、あの時はこんな力いらねえって、死ぬほど思ったよ」

 

 

俺は一旦言葉を切り、チラリと彼女たちが身を寄せる集会所の方へと視線を向けた。

 

 

「昼間、君たちが話してるのを見たよ。……弟妹を抱えてるんだな」

 

「ああ。弱っちいけど……いつも私を支えてくれる、自慢の家族だ」

 

 

強がるように微笑むミラ。俺は彼女の過去を知っている。村人から迫害され、悪魔の腕を隠しながら、弟妹を守るために必死で強がってきた彼女の壮絶な人生(原作知識)を。

 

俺はそっと柔らかい声で、彼女の心に寄り添うように語りかけた。

 

 

「そっか。……きっと君の言うその『闇の力』も、家族や、周りの大切な人間を護るためにやむを得ず使ったんだろ? でも最初は力のコントロールが上手くいかなくて、後から大変な目に遭った……そんな感じか?」

 

「ッ……!?」

 

 

ミラが目を見開き、弾かれたように俺を振り返った。

 

 

「な……なんで、それを……分かるのかよ……!?」

 

「同じ属性を使ってるとなんとなくな。……きっと、周りの人間からも酷いことを言われたり、迫害されたりしたんだろ? 辛かったよな」

 

 

俺は彼女の目を見つめ、静かに、だが確かな温もりを込めて言った。

 

 

「……女の子なのに、今まで一人で良く頑張ってきたと思うよ。本当にすごいよ、君は」

 

「ッ――――!!」

 

 

『女の子なのに』『良く頑張った』。

今までバケモノ扱いされ、忌み嫌われ、弟妹の前では「強い姉」でい続けなければならなかったミラジェーン。

 

俺の言葉を聞いた瞬間、彼女の瞳が揺れ、言葉を失ったまま俺の顔を見つめていた。

 

 

原作より活躍増やして欲しいヒロインは?

  • エルザ
  • ミラジェーン
  • カグラ
  • ルーシィ
  • ユキノ
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