どうやら凌辱系エロゲの世界に転生したようですが、俺は今日も平和に生きたい。~なのでBADエンド回避のために殺します。理由はもちろんお分かりですね?~ 作:岳鳥翁
さて、無事に……無事に? 戸籍を失いながらも寝床を手に入れることができた俺である。
來伊には感謝せにゃならん。彼女と知己であったことは、不幸中の幸いと言えるだろう。もちろん不幸とは、彼女に身バレしたことだ。
あの時はたまげたもんだ。
大雨の中、なぜか俺の部屋の前で丸まっていた猫を寒いだろうからと一晩保護したら、次の日の朝には隣で裸の爆乳が寝ていたのだから。
まぁそれはいい。
何か俺にできることでもあれば、一つくらい我儘を聞いてやることにしよう。もちろん、できる範囲で俺が許容できることに限るがな。
「~~♡ ……っ♡」
「……おん?」
昨夜は姫巫女との追いかけっこの末、結局徹夜で夜逃げしてきたからだろう。來伊の部屋で朝ごはんをご馳走になった後、そのままぐっすりと眠りにつき、現在はもう日も暮れそうな夕暮れ時。
少しね過ぎたかと体を起こせば、壁の向こうからにゃーにゃーと小さな猫の声が漏れ響いてくる。
隣の部屋であるため、きっと來伊だろう。猫に変身して何を遊んでいるのやら。
「ん~……金はまだあるし、お礼に猫用のおもちゃでも買ってやるか?」
わざわざ一人の時に、猫になるほどなんだ。きっと喜ぶだろうと一人納得した俺は、ポケットの拡張空間に放り込んでいた魔法使いの衣装を身に纏う。
飯を食い、十分に眠って球速が取れたことで今の俺は万全だ。
「さてさて、今日もゴミを見つけてお掃除しなくちゃだ」
頑張るぞい、と気合を入れて空へと跳び、そのまま転移で空を駆けた。
東京へ向かうことも考えたのだが、昨日の今日であの姫巫女たちに遭遇してしまう可能性も考え、別の地方都市へと足を向けることにした。
いや、別に魔法使いとしての俺が何かやらかしているわけではないのだが……こう、中の人的には合いたくないというのが本音である。
バレるつもりなどさらさらないが、もし鉢合わせるとしてもある程度の間を置いた方がいいはずだ。そうすれば、あの時出会った一般人の事なんてサラリと忘れてくれるに違いない。
なにせ、稀によくある淫魔に襲われた一般人の死だ。
いちいち気にしていたら姫巫女として淫魔の討伐なんてできないだろうから。
「まあ主人公様のことは置いておいて、だ。やってきました関西、その中心の大阪~」
久しぶりに来たぜ、と高層ビルの屋上から街並みを見下ろす。
精神的にちょっと疲れはするが、連続転移を繰り返せば来れないこともない地方都市。
まぁ地方都市とはいえ、その規模は東京にも負けず劣らず。
そしてゴミの量も負けず劣らずな場所である。
俺が住んでいた場所が東京の方が近いこともあり、東京方面での活動がメインとなっているが、時折はこちらでの活動も行っている。
そしてこの世界……というか、ゲームとしての設定なのだろう。
東と西では、少々姫巫女の在り方が異なっていたりもする。
たとえば、俺がメインで活動している関東方面の姫巫女たちは、主に自らの異能を主軸に戦う姫巫女が多い。
対する関西方面。
こちらもこちらで、彼女らが姫巫女であることに違いはない。
違いはないのだが……異能に絶対の自信を持ち、その力を前面に押し出して戦う関東の姫巫女に対して、関西の姫巫女たちは異能を使用するためのエネルギーである『
特徴的なのは、関西の姫巫女たちは積極的にその『巫女力』を使用する特別な武器。そして――
「お、関西の姫巫女発見。いつ見ても、ピッチピチのスーツだぜ……」
あれ恥ずかしくないのだろうか、と。
ビルからビルへと跳び跳ねて移動しながら、同時にブルンブルンと揺れている胸。
どこからどう見てもラバースーツである。
どうしてそうなった???
「もっとこう……なかったのか? 東は巫女で、どうして西はラバースーツになったんだよ……」
あまりこの世界の元になったゲームを知らないが、開発陣の癖は正常なのだろうか?
……いや、そもそも凌辱系のエロゲである。正常なわけがなかった。
やはり純愛こそが至高だと言えるだろう。
「凌辱もNTRも絶対にない、普通の女の子と恋愛がした……あれ、戸籍内から無理なのでは?」
ふと恐ろしい事実に気が付くが、その事実を認識してしまうと立ち直れなくなりそうなので考えないことにする。
とりあえず、いつまでもここで街を眺めているわけにもいかないため、まずは索敵しようと立ち上がる。
範囲は……手始めに、今俺がいたこのビルから索敵することにしよう。
どこの会社かはわからないが、見たところ五〇階を超えるようなビルで、これ一棟まるまるが一つの会社の持ちビルであるようだ。
まだ陽が落ちてそれほど経っていないからか、探ってみればかなりの人が仕事のために残っているらしい。
さすがにもっと深夜にならなければ、ゴミどもは顔を出さないかと肩を落とす。
この時間であれば、どのビルを探したところでゴミは湧いてこないだろう。仕方ないためビルの索敵を一度やめて、街全体を対象に裏路地や人通りの少ない通りに意識を向けた。
こういった場所でも、昨夜のように淫魔が出て来て人を襲っていたりもするため、そういう時は姫巫女が来るまでに襲われた人を救出したりもするのだ。
あとは、たまにではあるのだが……人が人を襲っているところにも介入することもある。
例をあげれば、オヤジ狩りや暴漢だろうか。
そういう奴らは、人類そのものの裏切者ではないため殺すことはないが、代わりに暴力で使用した部位を切り落とすことにしている。
右手で殴ったのなら右手を。
イチモツを使ったのならイチモツを。
やりすぎ? ハハッ……もう何人殺してると思っているのか。その程度で済むなら安いと思ってもらわなければ困る。
「カ~スカスカス、カスはどっかにいるのかな……っと、それっぽい反応ありっと」
場所は……ここから一キロ先、狭い路地で行われているらしい。
立体映像で捉えたのは、逃げているであろう小さな女の子。だいたい十歳にも満たなそうな、小さな女の子。
対するは、大の男が数人。詳細を見る限りだと、銃火器装備の男たちだ。
何やらかおる厄介事の匂いではあるが……一見すれば小さな女の子が追われているようにしか見えないため、取り合えず助けることにする。
なに、事情は現場で聞けばいい。それに厄介ごとに巻き込まれたとしても、今の俺は戸籍がない無敵の人である。どうにでもなるだろうさ。
というわけで、