どうやら凌辱系エロゲの世界に転生したようですが、俺は今日も平和に生きたい。~なのでBADエンド回避のために殺します。理由はもちろんお分かりですね?~   作:誰でも愉快なハメハメハ

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2話

 というわけで、俺である。

 

 ……いや、どういうわけだよ意味わかんねぇよ。

 

 自宅のベッドに身を投げ出し、ゴロリと転がって天井を見上げた俺は、「うわぁ……」と先ほど起きた出来事について振り返っていた。

 

「なんとなく……そう、なんとなくそんな世界観だろうなとは思ってたさ、うん。思ってたんだが……改めて事実を突きつけられるとため息しか出てこねぇ……」

 

 どういうわけか、あるいは理由があってのことなのか。

 俺――北畑田(きたはただ)ホクトは一度死に、この世界に転生してから二十年。

 

 その二十年目にして、この世界が凌辱系のエロゲ世界だと気づかされるとは……まさに見て発散する分にはいいかもしれないが、実際にこんな世界に住みたくないの代表格である。

 

 だって、下手したら世界がやべぇもん。

 

「『神剣アンリ、堕つ』だったか? ゲームタイトル。タイトルだけは有名だったから知ってるが……概要くらいしか知らないんだよなぁ」

 

 たしか高校の時の友人が教えてくれたゲームだったはずだ。まあ基本的にその手のゲームは使えるかどうかが重要であるため、その部分について熱弁されていたような気がする。

 

 曰く、主人公が可愛くて、その主人公があの手この手その手の色んな手段でめちゃめちゃにされるのがいい、とかなんとか。

 悪い、俺純愛ものが好きだからわからねぇ……なにが良いんだよそれ。

 

 そう言ったら、めちゃくちゃ口論になったのを覚えている。

 まぁ、趣味嗜好は人それぞれということで仲直りしたんだが。

 

「えっと……人を襲う淫魔とその淫魔から人を守る姫巫女が戦ってて……主人公は姫巫女の一人で日夜淫魔と戦ってる、みたいなのが基本設定だったか?」

 

 そして様々な敗北ルートによって凌辱されると。

 

 何それどこが美味しいの? 案件である。純愛寄こせやボケェ。

 

 さらには、BADエンドの中には人類が淫魔に飼育されるものがある……らしい。

 

 は? である。ましてや今俺が生きている世界の話だ。

 

 ふざけんなボケェ。

 

「いや、全部が全部のBADエンドでそうなるわけじゃないと思うんだが……それでも、可能性があるだけでアウトだろ……」

 

 でっかいため息が零れた。

 

 転生先が凌辱系エロゲ(BADエンドで人類家畜ルートあり)とは、それはどんな罰ゲームなのだろうか。

 俺前世でそんな悪いことしましたっけ? 俺じゃなくて友人の方がよかった……いやそれはそれで友人がかわいそうか。

 

 あいつも抜きゲーとして好きなだけで、この世界に住みたいわけではないだろうし。

 

「けどまぁ、このまま一生その事実に気付かずにいた可能性も考えれば……今知れてよかった、と考えることもできるか?」

 

 知りたくなかった事実であれど、もし気付かなければ俺が知らぬまま人類BADエンドルートもあり得たわけだ。

 不幸中の幸い、とでも考えておこう。

 じゃないと俺がかわいそうすぎる。

 

 そして不幸中の幸いはもう一つ。

 この世界において、俺が決して無力ではないということだろうか。

 

「【開け】」

 

 手を伸ばし、そして何もないはずの空中に開いた穴に手を突っ込んでスマホを取り出した。

 

 これこそ、俺が転生したこの世界でなぜか身に付けていた力。

 

 俺個人は【空間魔法】と呼んでいる。

 空間に干渉する力で、瞬間移動したり、四次元ポケットみたいにものを収納したりする力だな。

 あと、指定空間を別けることで、さっきのような豚の分断が出来たりもする。

 

 この力があったからこそ、俺は淫魔から生き残り、そして今に至るのだ。

 

 なお、別に淫魔が倒せるわけではない。

 だって姫巫女の力とは別物みたいだからね! ハハッ、クソわよ!

 

 おかげでできることと言えば、捕らわれた姫巫女の救出と人間側の裏切者の暗殺くらいなものである。

 

 簡単に人を殺せるのか、という問いかけを自分自身にしたことがあったが……答えはYESだ。

 人類BADエンドの種になるなら死んだ方がいいだろう。

 というか俺たちの平和のために死んでくれ、切実に。

 

「『神剣アンリ 姫巫女』、と」

 

 今まで淫魔やら姫巫女やらの情報を集めるためにネット検索などもしたことはあったが、いずれも成果はなし。

 おそらくそれらの情報は政府側で秘匿されているのだろう。

 

 淫魔は人を襲うというし、襲われた一般人は死んでいるか、あるいは姫巫女に救出されたとしても記憶処理みたいなことをされているに違いない。

 だいたいそういうものであろう。俺はよく知っているのだ。

 

 とはいえ、今回はゲームタイトルになっている主人公様の名前である。

 これで何かしらの情報がないかとわずかながらに期待したが……それらしいものはなく、候補のものがずらりと並ぶだけだった。

 

 がっかりしながらも、ダメもとで画面をスクロールする。

 

「……お?」

 

 スクロールする指が止まる。

 

 候補の中で一つ、気になるものを見つけた。

 

「私立神巫(こうふ)女学園……理事長が神剣カンナ、と。無関係、とは思えねぇよなぁこりゃ」

 

 というか、学校名に『巫女』って入ってるし。

 ここが凌辱系エロゲ……姫巫女たちが戦う世界であることを考えれば、姫巫女の養成機関、と考えるのが無難か。

 

 ページを開いてざっと見てみるが、出てくるのは一般的な私立高校と変わらないHPのみ。普通の私立高校に擬態しているのだろう。ざっと中を読んでみても、目新しい情報は得られなさそうだ。

 

「それっぽい住所が書いてるが、まぁ嘘だと思った方がいいだろう。バカ正直に書いてる方がおかしいのだし」

 

 とはいえ、それらしきものがあることはわかった。

 確定情報、とは言い切れないが何か役に立つことがあるかもしれない。

 

「くぁっ……とにかく、今日は考えることが多すぎた。もう寝よ」

 

 裏での活動の傍ら、暇があれば探ることにしようと結論付ける。

 

 なお

 

 主人公と出会っただけで、いつもと変わらなかったはずの姫巫女の救助。

 そして今日この日の出来事が、色々と面倒なことに絡んでくることを俺はまだ知らないのだった。

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