ある風都の大学生の話 作:懐紙
俺、
「にしても、気持ちいい風が吹くなこの街は。風都なんて名前が着くわけだ。」
少し日が傾いてきた街を眺めながら気分良く歩く俺はすぐに気分を害されることとなる。
「よぉ、お兄さん、ちょっとツラ貸せよ。このガイアメモリの試し撃ちがしたくてよぉ!?」
「やかましいぞ化け物。俺は新生活の訪れを感じて気分がいい。見逃してやるから失せろ」
目の前に、海老のような青い体表の怪物が現れた。そいつはカチカチと顎を鳴らしながらそう下卑た笑い声を上げる。ガイアメモリ……なるものは何か知らないがまぁ、ろくでもない代物なのはコイツを見れば分かる。
重心の置き方、呼吸の間、どれをとってもその辺のチンピラ。その言い分通り新しいおもちゃを余程自慢したいと見える。俺の言葉を聞き、激昂する怪人……馬鹿が。
「あぁ!?ごちゃごちゃうるせぇんだよ!それに見逃してやるだぁ!?こっちのセリフだろうが!ま、もうその望みも絶たれたがなぁ!?カァッ!!」
そのまま口から何かを射出してくる怪人。だが
「遅い、軌道も何も無い。」
その弾丸は俺には届かず、逆に俺の指が怪物の喉を抉り貫いた。ビクリと痙攣したので追加で2度脳天と心臓を抉る。
「黒沼流、
無駄に2度も気分を害されたので、帰ろうと踵を返した時、なんと怪人は人へ戻っていた。そしてその額からはひび割れ、Aと書かれたメモリが突き出していた。
「メモリ……ガイアメモリ、ね。っとまずい、さっさとこの場を離れないとな」
そう小走りで駆けて行った。引越し初日からなんて日だ。だが、この日から俺は思い知る。俺の運が悪いのではなく、この街にトラブルが溢れすぎているのだということを。
「みーちゃった、みーちゃった。ふふ、彼いいじゃぁん♪」
そしてこの街には関わってはいけない女が多過ぎるということを。
-青森県八甲山、赤心寺-
「しかし、良かったのですか?義経師範。篤木の奴の事」
殺人拳、赤心少林拳黒沼流。ここの寺で日々修行を行う者たちが学ぶ拳法の師範代、義経が弟子の1人の問いかけに瞑想中の片目をあげる。
「何がだ」
その鷹の如き眼光に少し押されながらも弟子は言う
「兄弟子の自分が言うのもなんですが、篤木の才能は精神、技術、肉体どれをとっても天才的です。」
弟子は篤木の事を思い浮かべる。
190センチを優に超える身長に、鉄板のような分厚い胸板と鋼線ワイヤーを束ねたかのような筋肉、残忍ではないが冷酷、強きを挫くその顔は、端正な作りである事を忘れさせるほど野性的。そして何より19という若さで赤心少林拳黒沼流奥義である「桜花」を義経より伝授されおり、それを物にしていた。
「ですが!アレはあろう事か大学進学などと言ってこの場所を去り、あまつさえ師範に次に会ったら俺が勝つなどと抜かし颯爽と去っていった。それではケジメが!「良い」……しかし!」
「くどい、私が良いと言ったのだ。それ以上何が要る?」
また鋭い眼光で弟子を制する義経。
「奴は言った。次に会う時私を倒すと。それはこの黒沼流を倒すということ。お前達も鬱憤を晴らしてやれ。その時は私は止めぬ。まぁ今のお前では夢のまた夢だろうがな。」
そう言って修行へ戻れと促す。弟子は不承不承といった感じで戻って行った。また瞑想部屋で1人になった義経の顔には朱が差していた。じつは、その話には少し足りない部分がある。
かつて篤木が18の誕生日の時、義経へ告白した。「好きです」と。当然義経は一笑に付してこういった「お前が桜花を習得した暁には、その言葉を受け取り、条件をつけてやる」と。
そしたらあの阿呆は1年も立たずに習得した。
忖度など当然していない。だから改めて、真剣に受け止めた上で、断った。
「この身は女に在らず。ただ一人世界最強の生物だ」と。
そしたら奴はあろう事かもう一度食い下がりこう言ったのだ
「では、俺が師匠を倒し、世界最強の座から降りた暁には、女へ戻り俺の隣に居てくれますか?と」そう抜かした。
「良いだろう」と答えたが最後、奴は嬉しそうに飛び上がり、「では、黒沼流当主になった時に苦労しないよう、経営の学べる学科へ進学するため、しばし留守にします!」そう言い残しこの道場をあとにしたのだ。
呆れ返るほどの行動力と頑固さ、そして何より阿呆さ加減。
「全く、この傷だらけの身体の何処がいいのだか」そう口にした時笑が浮かんでいたのに気付き、また義経は修行にもどる。戻った弟子にそう簡単に壁を越えさせぬために。
とりあえず書きたいところ書いたらそこに共感してくれる読者が着いてきてくれるっておばあちゃんが言ってました。感想、ドカドカお待ちしています。