リメンバーアオハル   作:テムテムLvMAX

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三話 超能力社会の日常

 超能力社会……別に古い歴史があるわけでもない、ほんの10年前までは超能力は眉唾物だったんだ。

 ただ全人類持ってて当然って今から想像は出来ないって奴は多い、まだ超能力の世代交代も起きてないし、天使との戦いは終わってないって主張する奴もいる。

 

 終わらせましたよ、ご安心ください。

 

 まぁ何だ、スマホがえげつない速度で普及したのはそれだけ魅力と資本が集まる機能性があったからだ、逆にほぼ資本関係なく満塁逆転ホームラン出来る超能力って奴は爆速で広まった……訳でもない、ただ必要だったから人類は受け入れた。

 

 事実、天使とやり合う前は超能力者自身が超能力に懐疑的で否定的な奴が多かった、無くても困らない、持ってたら危険人物認定、天使の洗脳じみた支配がなきゃ超能力は普及どころか排除対象だったろうな。

 

 今となって可能性の話だけど。

 

 

「おい! 金だぜ! 全部だ! ありったけだぞ!」

 

 目の前のクソも、超能力者じゃなけりゃこんなことしなかったってやつ、ある意味で超能力の被害者だ。

 

 現在俺は銀行に金を振り込みに来た、何処から来た金かと言えば……恥ずかしながら俺のお年玉貯金があったみたいで、ろくに遊んでなかった分、今自由に使えるようになった。

 さぁ羽ばたけマネー達、君達の新居へと……あるべき主の下へと……クソッ、なんで先々月解約したアパートの光熱費今更請求してくんだよッ! どういう理屈と法が働いたんだ! 払ってない俺が悪い? 困った、否定できない。

 

 話が逸れたが、銀行強盗は感知範囲に三人、全員マシンガン装備で、覆面、防弾チョッキとスタングレネードも持ってる! おお、本格装備だ。そして皆、身体強化系能力だ。

 今の時間帯はこの銀行は人が少なかった、出入りもそうだが職員もな、事前に人が少ない時間帯を調べていたのだろう、強盗のやりそうなことだ。

 

 そして強盗たちが持つ超能力は警戒すべきだな、身体強化系はシンプル故につよい、所詮超能力といえど物理法則を大きく逸脱出来ないので沿うように使うほうが無駄がなく強い、逆もありきで結果と理屈だけ見れば俺の能力より意味不明な奴もいたが、あっちはマジモンの超能力だよ、強すぎ、負けはしないが。

 

「なつかし……アイツ元気かな……」

「あぁ? なんだてめぇ?」

 

 え? なんで俺標的にされた? 言葉が出ちゃってた?

 あ、身体強化だから聴力も強化したのか……流石セコい奴ら! 銀行強盗の為に鍛えてきたんだねカス! 社会のゴミ!

 

「おい、てめぇの能力は?」

「俺の?」

「言え、言わなきゃ殺す、お前じゃなくてもそっちの受付の姉ちゃんが死ぬ」

「ひいっ……っ……!」

 

 人質取られてるし……不味い……どうしよう、俺ってバレてる? いやいやまさか……

 

「おい! 何ぼさっとしてやがる! なめてんのか? あぁ! 俺たちはな! 『反逆同──

「ハイ!ライン超えたねぇ!」

 

指を弾いて鳴らし、時間を停める。これぞ……我が世界………なんつって。

天使長クラスは時間停止でも堂々と攻撃しに来るから良い足切りラインなんだよねこれ、普段使いも取り回しが良くてね、絶対に外せない買い物とかこれで確実に買えるよ、これライフハックね。

 

さてと銀行強盗君たち、『反逆同盟』にテメーの席ねーから!

 俺を知らないんだから無関係な人間で尚且つ俺も知らん、俺たちの名前を騙る不届き者め、心臓に悪いことすんなよ、誰かの使いっ走りかと思ったぞ、やりそうな奴いるし。

 

 ただまぁ『反逆同盟』か……懐かしいな、若気の至りで決定した名前だったなぁ……皆よく反対しなかったな次点が『ダークラウンズ』とかだったし、似てたからどっちでもよかったとか?

 

 それはそれとして……

 

「武装解除の後、警察様へ寄付しておこう」

 

 ロープを召喚して三人ともぐるぐる巻きにしたあと、装備をはぎ取りお団子にして然るべきコイツのそばに供えておこう。

 人間のテレポートはグロ映像になる場合もあるから、徒歩で運んで置いてきた。

 で、銀行の元の位置に戻ってきてから時間停止を解除した。

 

「……あえ?」

「お姉さん、どうしました?」

「あの……銀行強盗が……!」

「……夢とか見てました? そんなの居ましたか?」

「嘘……私……確かに……あれ?」

 

 

 さっきの恐怖は夢でした〜ってね、お姉さんも暫くしたらなんだ夢かって納得して業務に戻っていった、俺もちゃっちゃとATMで振り込んで帰った。

 

 人助け、ずはらしい!

 久々に超能力者らしく戦って満足し、帰路の足取りは軽かった。

 

 ──しかしこの男、間抜けであった。警察に犯人を突き出せば当然足が付くのである。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

「久しぶりに時間停止現象に出会したな……あれほど長く、広範囲に時間を止め続けるとは……」

 

 まさか盟主(ルシフェル)か? いやまさかな……アイツは最終決戦(ハルマゲドン)を終えたあと日常に戻ったんだ、そのアイツが時間停止を使うなんて緊迫した状況に…………

 

 

「否定しきれないな……」

 

 

何かと問題がついて回った男だった、問題のたびに豪快に解決して俺たちを助けたり、俺たちが助けたりしたもんだ。

オレは、今でこそキ秩序が全ての警察で働いてるが、あの混沌とした戦いの日々も悪くない思い出だ。

 

 久しぶりにぐぅたらな戦友を思い出すだけで自然と笑いが込み上げる、オレはアイツが『反逆同盟』をもう一度集めるってなら喜んで集まる、そんだけあそこは居心地が良かった。

 

「さて……」

 

 そろそろ回収に行くか、天使どもの置土産、『与えの種(シード)』……全く厄介な置き土産だよ、もう人類全員が超能力に目覚めて子々孫々そうだと言うのに、過剰な摂取で強くなれると思ってるアホがいる、それ出来たのあのアホだけだぞ……自慢じゃない、いけね……頬が緩むな……。

 

 ──プルルル。

 

「はい、こちら『ソウマ』……は? 交番に銀行強盗が捨てられていた? 誰も気がつけなかったって? さっきの時間停止現象は! ………認出来なかったか、ならレベル9だ、()()へでも共有しとけ、日本で俺だけしか観測出来なかったんだろ、なら間違いないレベル9だ、そうだ……あぁ……切るぞ」

 

 ふと過る、さっきの時間停止現象……まさかと思った。

 

「マジでアイツだったか……?」

 

 だとしたらなんで……お前はもう……超能力が使えない程()()()()()んじゃないのか?

 

 それとも、同じレベルに覚醒した能力者? 数十億いる超能力者のなかで千人数えるくらいなもんだぞ……面倒くさ、騒ぎ起こしたら捕まえよ……そもそも今回は銀行強盗を捕まえたみたいだしな……免除免除、あー免。

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