リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる? 作:はめるん用
「記憶を保持したままの転生など、本来なら認めるべきではないのですが……如何せん、別世界の死者の魂そのものに干渉するようなマネはあまりにも危険なのです。過去にも余計なことをして大惨事を引き起こした天使がいましてね」
「それは、また、なんというか。ライトノベルの転生みたいに神様や天使様なら人の生き死にぐらいどうとでも、とはならないんですね」
「多少の祝福が限界です。期待させてしまい申し訳ありません」
「いやいや! そんな、とんでもない! むしろ、変に万能チートみたいなモノとか貰うほうが大変ですから! そんな物語の主人公みたいに自分を律するとか、そんな自信なんてありませんし……」
「でも、別に世界征服とか興味ないでしょう?」
「ないですね。面倒ですし」
「ね? 所詮は天使ですから、全知全能とは程遠い。とはいえ魂の色を見分けるぐらいはできますよ」
「うーん、やっぱりピンときませんねぇ。特になにか徳を積んだ覚えもありませんし」
「まぁ、詫び石みたいなモノだと割り切っていただいて」
「スーツ姿で詫び石とか言われるとファンタジー感が行方不明になりますね」
「思春期の少年少女が相手ならばそれらしい格好もしますよ。貴方の死因について教えることはできませんが、まぁ、精神的な部分で“大人”と呼べるような方が相手なら、淡々と事務的な手続きをしたほうが早いし楽ですから」
「大人、ねぇ……」
「少なくともコチラの話もまともに聞こうとしない転生モノの自称プロ(笑)よりは大人です」
「私が謝ることでもないのかもしれませんが、なんかホント申し訳ありません」
「いえいえ、娯楽文化こそ人間性の証明ですから。それで……転生先の世界ですが、ザックリ説明しますと錬金術とファンタジーが混ざったタワーディフェンス的な世界になります。魔法の力で動くパワードスーツ……呼称は【フォースアーマー】、略称はFAと呼ばれる兵器を身に纏い、インセクトと呼ばれる大型の虫の化け物と戦うことになります」
「それは……えぇと、人類同士の戦いとかは……」
「そこまで露骨な大戦は、いまのところ」
「不安しかないですね、人間だもの」
「欲望と成長は切り離せませんよ。えーと、それでですね、FAを操る操縦士になれるのは女性だけなので、貴方は錬金術士として開発や保守などの後方支援として加護を活用していただく形になります」
「命の危険が少なくてラッキー、と思い込むことにしておきます。そこも割り切らないとストレスが凄そうだ、色んな意味で」
「ちなみにゲームは説明書やオプションのマニュアルなどをじっくり読まれるタイプですか?」
「まず遊んでみてから確認するほうですね。最近のゲームはチュートリアルが親切なので尚更です」
「そうですか。ではここから先は“習うより慣れろ”でいきましょう。どうせ赤子からスタートでしばらくはヒマでしょうから。まずは試行錯誤で時間を潰さないと、たぶん5歳くらいまで退屈でメンタルが参ってしまうかもしれませんし」
「トイレの世話をしてもらうハメになることとか、想像するだけで普通にイヤですね」
「運が良ければ自我を取り戻すのは3歳ぐらいになる可能性もゼロではないので、ワンチャン辛い時期をスキップできるかもしれません。世界を知るための時間と、加護を試すための時間を丸ごと2年放棄することになってしまいますけど」
「アチラを立てればコチラが立たず、ですね。そもそもチート持ち転生というだけで人間にとっては望外の幸運ですし、まぁ、そう……ですね。どうにか楽しんでみますよ、第二の人生ってヤツを」
「お気をつけて、そして良い旅を」
「ありがとうございます。せめて大悪党として歴史に名を残すようなことのないよう頑張ってみます」
「フラグですか?」
「……楽しそうだな?! ギリギリまで我慢してたけどさぁ、アンタ天使のクセにだいぶ俗っぽいニオイしかしねぇんだけどぉ?!」
「ゲーム実況の面白さを伝えるのにピッタリな言葉って、やっぱり“他人の不幸は蜜の味”だと思うんですよねぇ〜www」
「感謝の気持ちはあるけどそれ以上に不安もあるんだけどこの転生さぁッ!?」
「大丈夫ですよ。真面目な話、転生者がひとりチート無双したぐらいで世界を巡る運命の輪は揺らぎませんから。あまり私のことは気にせず、本当に棚からぼた餅ぐらいの気分で第二の人生を楽しんでください」
「……まぁ、ガチで神様がいるなら、前世の知識があったところで俺なんてその他大勢と変わらないか。はぁ〜、でも……そのほうが気楽でいいっちゃそうなのか? 別に英雄願望なんてねぇし、生産スキルでのんびり頑張るかぁ」