よっつ夜通し試作で4号。
「バレル部分の強度を上げるために重ねて圧縮してるんだけど、その合間に属性ガラス繊維を織り交ぜて層にすることで魔力を逃がしつつキープする仕組みにしてみた……んだけど」
「30パーセント、が限界だと思います。あくまで限界値ですので、戦闘に耐えられる出力は20パーセントぐらいになってしまうかもしれません」
「つまりギフトが全然使えない状態から2割使える状態まで持ってこれたってことか。おめでとう! 俺! さて、このまま増設マシマシという力技で解決するのも悪くないが、創意工夫を手放すのは錬金術士として敗北に等しいのではなかろうか?」
「そういう割り切りを要求されるときもあるが、まぁ……技術者ってのはアイディアを捻り出すのが商売だ」
「せっかく親方っていう常識を備えたストッパーになってくれる人がいるんだし、もっと視点を変えて考えないと。発想は自由に、クラフトは手堅く!」
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とか言いつつゴリゴリに乱暴な手段を選んだ試作5号。
「出力が20パーセントでも、ふたつ合わせれば40パーセント!」
「二丁拳銃か。数を相手することを思えばアリっちゃアリだな」
「ダブルトリガーですか……コレオ様ッ!!」
「は、はひッ?!」
「わたくしッ! 必ず、必ず使いこなしてみせますッ! フフ……なんと素晴らしいことでしょう……左右のどちらも魔力、重量、完璧に揃っています……中央神殿に仕える錬金術士の皆様でも、ここまで同じものをふたつ用意するのは難しいはず……これで的を外すようでは、わたくしの腕があまりにも未熟ということ。フフ、フフフ……ッ! 燃えてきましたわ……♪」
「えぇ……? 親方、女の子側が変なスイッチ入ったときはどう対処すれば良いのでしょうか?」
「諦めろ。パイロットにはパイロットにしかわからないロマンの世界があるんだと。二刀流や2丁持ちはその中でもわりとポピュラーなほうだ」
「つまり?」
「相手の癖にブッ刺さる可能性を考えずに安易な方法で解決しようとしたお前が悪い。母親か、とにかく身近にそういう戦闘スタイルで腕のいいパイロットがいたんだろ」
「むむむ。だけど喜んでもらえたのはよかった。それで親方、実際のところ二丁拳銃だから出力40パーセントってのはアリなんですかね?」
「パイロット次第だな。どうしても利き手の関係で同じようには扱えん。ハナッからショットガンとサブマシンガンの2丁持ちみてぇに使い分けるほうが楽かもしれねぇぞ?」
「同じように戦えないなら、最初から別々に……ですか。理屈ではありますね。でも特に危険がないのであれば、本人のやる気に水を差すような真似はしませんよ」
「ま、パイロットを信じるのも錬金術士の務めだ。そこはお前が納得してんなら儂も煩く言わねぇよ」
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意外ッ! それは単純な解決ッ! の試作6号。
「銃がふたつで40パーセント、なら魔力の出口を増設すれば80パーセントだッ!」
「これは、ナックルガード? いえ……まぁ! レーザーブレードとしても使えるハンドガンなのですね!」
「二刀流と2丁拳銃というロマンを求めつつ、咄嗟の瞬間シームレスに格闘戦に移行できるようにね。本来なら魔力消費を考えて別々にクラフトするべきなんだろうけど」
「ギフト持ちなら余裕だろう、ってコトで儂が許可した。お嬢ちゃんみたいに得意な属性が決まってるならリスクも少ねぇからな」
「これはこれで力技なので複雑な気分ではありますが。でも俺の気分なんて後回しで問題ないですからね。そんなもんよりディアさんが満足に戦える武器を作りたいって欲求のほうが強いですし。とりあえず振り回してみてくれる?」
「かしこまりました。そうですね……出力の調整は感覚で……いえ、いけませんね。舞い上がっているこの状態では下限のほうから慎重に。戦闘中でもないのに武装を壊してしまうなど、淑女として恥じるべき失態ですから……ふぅ……」
…………。
…………。
最初は少しぎこちない動きだったディアさんも、30分もすれば動きが滑らかになっていた。そのまま息切れすら起こすことなく……問題なさそうだからと工房の片付けして戻ってきても元気にダブルでブンブンしていたところを暗くなってきて危ないからと止めに入るまで続けているぐらいに。そうだね、俺が同じ立場だったらそうなるよ。
「テナクスで武器を納品したときはもっと普通な感じというか、もう少しビジネス感のある関係でサラッと渡して終わってたんですけど」
「……まぁ、お前がそう感じてんならそうなんだろうよ」
「なんだか含みのある言い方しますね」
「うん? そりゃ、お前、アレだよ。あー、感覚的な話は受け取り手次第だからな。うん。儂がなに言ったってしょうがねぇだろ」
「あぁ、確かにそうかも」
「別にいいじゃねぇか、そんなこと。それで? ひとまずお嬢ちゃんの専用武装はひとつ決定か?」
「そうですね。なんでもかんでもアイディア詰め込もうとしても失敗する未来しか見えませんし、本人が満足してくれたんならそのまま完成度を高めるほうに切り替えます。結局強度の問題は解決してませんから」
まだねぇ〜、☆2Fメタル用の鍛鋼インゴットがねぇ〜、全然足りないの。鉄鉱石はもちろん火の魔力石の消費がクッソ重いのよ。
オートクラフト頼みじゃなくゴロゴロ昼寝でもしながら手動でスキル枠連打しないとダメかも。クリック連打はインクリメンタルの基本ですな。
「おぉ、そうだ坊主。大事なこと忘れてたわ。武装にはちゃんと名前も考えとけよ」
「それはパイロットに任せればいいのでは?」
「こういうのは錬金術士のほうで考えとくから意味があるんだよ。別に本人に
なんかリットン親方楽しそうだな。
でもイメージか。
うん、イメージを固めるのは大事だ。
空手とか格闘技でも技に名前があるのはイメージを文字と合わせて統一することで迷いを無くすため、みたいな話を聞いたことあるし。
回し蹴りを筋肉の動かし方や重心の置き方なんかいちいち文字起こしして並べてマニュアル化なんてしてられないって。俺もペンの持ち方を指の角度がどうのこうの説明しろとか言われたらムリだわ。
しかし、名前ねぇ。
射撃と格闘を距離に合わせてシームレスに。
ふむ。
ふ〜む?
オリーブ抜きのピザ好きなあの人に倣って〇〇&〇〇みたいなネーミングがいいかな。
ふむ。
ふ〜む。
……よし。この武器は俺の中で【ギルティ&パニッシュ】と呼ぶことにしよう! ゲームタイトルそのままパクっただけのネーミングだが、まぁ使い方はほぼ一緒だし。雷属性の雰囲気とは合うんじゃない?