俺も鉄を焼いてくれる優しいお婆ちゃんが欲しい。
父ロジャー側も母メルティナ側も祖母はバリバリのパイロットだったから鉄のクラフトなんてムリなんですけどねぇ〜。だって錬金術は男の仕事だもん仕方ないね!
ちなみに前世の祖母は農家だったけど獣害対策で電気線のトラップを仕掛けたり、なんかセンサーかなにかで炸裂音がするトラップを仕掛けたり、収穫中に遭遇したときに備えて軽トラにゴツいエアガン積んでたりしていた。どっちもあんまり変わんねぇな……。
畑からFメタル、いや鍛鋼、いやいや錬鉄、まで欲を言わないから粗鉄インゴットが収穫できたらいいのに。
素材生成速度とオートクラフトの効率強化のために魔力回復力は鍛えているが……やはりスキルそのものを強化するしかないか。
そのためにも、いま俺がやるべきことは。
「親方。俺、今日の午前中は部屋でダラダラ過ごすことにしました。いい加減そういう時間も確保しないと頭の血管切れたらイヤなんで」
「おぅ、昼メシどきになったら声掛けてやっからゆっくり寝とけ。良い仕事には良い休息も必要だからな」
はい。
というワケでね。
天よ! 地よ! 火よ! 水よ!
名人よ、我に連打の力を与え給えッ!!
うぉぉぉぉッ!!!!
ファミコン世代を舐めるなよッ!
己の指で、爪で、ときにはそのへんにある電池やら定規やらボールペンやらリモコンの角やら使える物全てを利用して連打イベントを乗り越えガバガバになったコントローラーを前に男泣きをしてきた世代がクリック連打を相手に怯むとでも思ったかッ!!
クラフトッ!
クラフトッ!!
クラフトッ!!!
クラフトッ!!!!
石材、鉄鉱石! 石材、魔力石!
身体の内側で燃えるスキルの波動を感じるんだ……魂を震わせ、巻き起こすは素材のビッグバンッ!!
ぬぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!
はい。
石材、枯渇しました。
普通のストーリー系のゲームやってる人には2000個もある素材なんてそんな簡単に無くならないだろ、みたいに思われるかもしれないんですけどね。
クラフト要素のあるゲームでは木材や石材みたいにいろんな種類の中間素材に派生する基本素材なんて5桁は無いとあっという間に無くなるんですよ。
さて、どうすんべ?
さすがによそ様の家の地下を勝手に掘り進むワケにもいかんし。
あ、そうだ。
アレ試さなきゃ。魔導循環液。
魔力石と水だけで簡単クラフト、そいつをインベントリに収納すればアラ不思議!
【魔導循環液】
極めて高い魔力伝達力と属性変換率を有する液状素材。各種インセクトの外骨格と組み合わせることで、魔力元素の結合異常領域で活動するために必要な生命維持装置をクラフトできる。
生命維持装置、でござるか。
局地戦闘装備とかではなく、生命維持装置とは。つまりインセクトが強いとか弱いとか以前に現場に立ち入るだけで人間は生き残れないような場所があるという話でござるな?
魔力元素の結合異常って単語もヤバそうだ。この世界のあらゆる物質には魔力が宿ってる。灰は例外としてね。その結合がデタラメになるっていうことは、物体がカタチを保っていられないということで。
いやぁ~、全然想像できん。宇宙空間や深海とか、危険な有毒ガスが充満しているとかならまだ前世の記憶から少しはイメージできるんだけど。
メタ読みするならヨロイムカデの生息地とかだよな、この結合異常領域ってヤツ。なんなら閲覧制限のあるインセクトって基本的にそういう場所にいるんじゃない?
その存在を知ったところで近寄ることさえできない、みたいな意味で閲覧制限なのかな。遭遇しちゃってるんだけどさ。でもあれは幼体だって俺は知ってるからね。ノーカウントだ、ノーカウント。
…………まぁ。
気にならない、と言えば嘘になる。
でもあの恐怖をもう一度味わいたいとは思わない。
備えるだけ! 備えるだけだから!
それで? 生命維持装置とやらは追加されて……るッ!
でも真っ黒でなにひとつクラフトできな〜い。
むぅ。
レアリティ別でクラフトできれば必要素材とか見れたのに。
でも生命維持装置で低レアとかちょっとヤダな……。
…………。
はい、やめやめッ!!
この思考は中止ッ!
違うよねぇ? 俺は石が足りてないんだよ石がよぉ。
意志が足りなくて石以外に意識がストーンと向いちゃった♪
……うん。
石材の確保についてリットン親方に相談しよう。
▲▼▲▼
「そんなワケで石材が欲しいんですよ。大量に」
「どんなワケか知らねぇが、ウチの庭は掘れねぇからな? 土地はあくまでグランマガザンの所有する財産だし、下には魔導管や下水道も通ってんだからよ」
「常識が足りていないからといって、そこまで非常識じゃありませんよ。だから行動を起こす前に相談してるんですし。全然肉体労働でいいんですけど」
身体を動かして作業したほうがステータス強化ポイント貯まるから、工事現場のアルバイトでも────いやダメだって。それ業者さんの財産だから。普通に窃盗だから。
「そもそもなぁ。お前、まだ入学手続きすら完了してないだろうが。そんなガキを普通は働かせねぇんだよ。領地では勉強のため、って建前が通用したから好き勝手できたってだけだろうが」
「はい……おっしゃる通りです……」
「その素直さだけは本当にガキらしくていいんだがなぁ。いや、年頃を思えば逆にガキらしくないのか? まぁいい。それで、石材か。下手に外壁の外で大穴なんか掘ってたら警備隊にとっ捕まるだろうしなぁ」
「あまり人様に迷惑はかけたくないですね。誰に甘えるか、どれだけ甘えるかはしっかり見極めないと自分自身の首を絞めることになるんで」
「そういうセリフは貴族っぽいな。とにかく、なんか思いついたら教えてやっから、今日のところは素直に寝てろ。それかお嬢ちゃんに装甲パーツでも作ってやったらどうだ? メヌエットまでは作れるんだろ? 3分間で」
「そんなこと言いましたっけ俺? 言うかな……言ってそうだな……ちなみに許可とかは」
「販売じゃなきゃセーフだ」
「でしたら遠慮なく。まずは追加フレームのことも含めてディアさんと話し合いを……って、そういえばディアさんは?」
「日の出前から元気にブレードモードを楽しそうにブンブン振り回してたせいで魔力欠乏症になって部屋で寝てんぞ」
「なにやって……いや、これ俺が何度も父様に思わせてたヤツ……」
物騒な単語が出てきたということは、物騒な場面が近いということです。