ですがそれはそれとして、低レアをカスタムして戦うベテラン傭兵やベテラン軍人というシチュエーションも美味しいので、FAの性能が戦力の決定的差ではないという認識で通します。
嫌いかね? そういう作法は。
「お帰りコレオ。下宿先は無事に見つかったようだな。それも、上手にお前をコントロールしてくれる人が師匠になってくれたそうじゃないか。いや、父親としても安心できてとても助かる。良いことだと」
「……ただいま戻りました父様。えぇ、本当に自分に足りない部分をしっかり指導してくださる人に教えを請うことができて幸いです。それで……FAの、機体の錬成に関する必要書類は……その手に用意されているものがそうですね」
「あぁ、もちろん。まさか領主貴族の息子であるお前がルールを違反するワケにはいかんだろう? なに、製造監督責任者としてリットン氏の承諾とサインは先に揃っている。それに書類の書き方も私がしっかり教えてやるさ。実はな、私はこう見えても国家防衛の要のひとつを預かるとても偉い領主なんだ。書類仕事なら任せろ」
「知ってますよ、それは。物心ついたときから」
素材の使用も含めて許可が出たということで、意気揚々とFA機体の装甲パーツをクラフトしようとしてた俺。
そんな俺にリットン親方は渋味のあるダンディーな笑顔で言ったんだ。じゃあ必要な書類を揃えるために、1度実家に帰ろうな? って。
いや、いいのよ。
別に実家に戻るのは全然いい。
俺だって父ロジャーに相談したいこととかあったし。
裏庭で石材ほりほり出来るし。
でもさぁ。
「あら〜、貴女がディアマンテちゃん? はじめまして〜。コレオちゃんの母親の、メルティナ・ホーエンハイムですよ〜」
「まぁ……! コレオ様のお名前を伺ったときにもしかして? とは思いましたが、かのご高名な氷の剣にお会いできて光栄ですわ♪ ……あら、わたくしったら。大変失礼しましたメルティナ様。ディアマンテ・ルフェイ・パンタシアと申します」
「は〜い、はじめまして〜。うふふ、まさかねぇ〜。私も光栄よ? パンタシアの【
「まぁ。お母様のことをご存知なのですね」
「うん! もちろんよ〜? もしも叶うのであれば、お互いに自由が許されていたときに1度、お手合わせをお願いしたかったわ〜」
「母様のこと、たぶんパイロットとしてかなりの実力者なんだろうなとは思っていましたけど。実は私の想像の数倍は上澄みだったりします?」
「おそらくは。残念だがコレオ、そこに関しては私も婚約が成立する前から……それこそ学生時代に妻とは出会っているのでなんとも。だが、婚約が正式に決定したときに、知人や友人たちから祝いの言葉が届いたのだが」
「嬉しいことじゃないですか」
「あまり付き合いのない人物たちから“おめでとう”の祝福ではなく“ありがとう”の感謝が届いていたあたり……まぁ、察するところはあると言うか。当時はただ困惑していたが、何年も一緒にいればさすがに」
わかります。猛獣を飼い慣らしてくれてありがとうっていう、被害者の皆さんからの心からの感謝の言葉ですね。
でも母メルティナの性格からしてぼてくりかまされた連中の自業自得なんだろうな。我が母はポワポワしてても仁義を知り礼節を知る戦士ぞ?
いや、うん。
まぁ。
なにやら母国でのゴタゴタから逃げてきた雰囲気あるし、親方のとこに置いておくほうが危険だし、そもそも俺が手を差し伸べたんだから俺が責任を取るのが筋だし……意気投合してるのは安心できる要素だけどさぁ。
「父様。実はギフトにはとんでもないデメリットあったりします? 事件や不幸を呼び寄せるとかそういう」
「喜べコレオ。私が知る範囲でしかないが、もしもそうならお前が記念すべき世界で最初の事例だ」
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母と友人が優雅なティータイムでも、俺は自分の責任と向き合い書類と向き合わねばならんのだ。
「機体本体となる装甲に比べて、武器に関する法律が緩いのには理由があるんですか?」
「縛りすぎると現地改修の妨げになる。まさか1時間後にインセクトの襲撃が予測されているときに、承認のため1週間待てと言われて納得などできまい」
「では、私が行儀見習い中に下手に装甲パーツをクラフトしていたら現状よりずっと厄介なことになっていた……と」
「どうだろうな。私がそうであるように防衛都市の領主というものは相応の権限を持たされているし、大勢の傭兵を抱えるには臨機応変な対応が求められる。つまりは言い訳と誤魔化しのプロフェッショナルだ。若くして領主を務めるカテリーナ嬢であれば、そのあたりの駆け引きも心得ていたことだろう」
「メンテナンスのためにホーエンハイム家とフラメル家という家単位での交流を決めたのも臨機応変な対応の結果ですか。外交関係はFA錬成より何倍も複雑そうですね」
「私とて全ての法を記憶しているワケではない。大抵の場合、相手の言葉を聞き逃さないことと、書類の確認を省略しないことさえ守っていればどうにかなる」
「どうにもならない今日を繰り返した結果がいまの私ですけど。平坦な道でつまらないと嘆くヒマがないのは結構なことかもしれません」
「……ルカニの行儀見習いぐらいは普通に終わってほしいところだ。父親としても、領主としても、切実に」
「護衛の方から連絡はあるんですよね?」
「いまはチーズ作りに夢中になっているそうだ。たったそれだけの報告がこれほど嬉しいモノだとは思わなかった」
えー、いいな〜普通の行儀見習い。
でも兄として弟の周囲が平和なのは安心だわ。帰ってきてからルカニも入学手続きまで時間があるし、学園生活に慣れるころには再会できるかな?
そのときにはうっかり他国の姫様を助けて安易にFA錬成の約束はしないよう注意しておこう。知らない間にルール違反じゃ笑い話にならないし、先にしくじりやらかした兄の言葉ならきっと聞き入れてくれるだろう。
次回はインセクト視点になるので、またお昼頃の更新になるかもしれません。
朝刊夕刊四コマ漫画スタイル作品として恥ずかしかッ! でも腹を切るつもりはなか。