リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる? 作:はめるん用
「アグラヴェインから話は聞いた。まぁ、父親としては息子が外の世界の空気を吸ってくることも悪くないとは思う。だが、何処を学びの場にするにしても最低限の基礎知識が無ければ意味がないだろう?」
「ですが、父様も仕事がお忙しいのでは?」
「基礎の手解きぐらい大した手間ではない。それに読み書きはメルティナに任せきりになってしまっていたのだ、少しは父親らしいことをしてやらねばな。もっとも、急に領主が仕事場にやってくるのだから、特に若手や見習いの錬金術士たちにとっては嬉しくないサプライズだろうがね」
でしょうね!
それを知っててニヤリと楽しそうに笑う父ロジャーの頼もしいことよ。真面目な優等生は実はリーダーには不向きで参謀に向いてるみたいな話を聞いたことがあるけど、確かにトップがいつも仏頂面じゃ部下は息が詰まるもんな。
それはそれとして見習い錬金術士の皆さんには心の中で謝っておこう。逆に覚えてもらえるチャンスと考えて張り切る人もいそうな気はするけど。
しかし、俺もついにお外デビューかぁ~テンション上がるな〜! 思ってたんと違うな……こういうのって、貴族は早めに子どものお披露目するもんじゃないのか?
でもアグラヴェイン様以外にもいろんな貴族の人が出入りしていたけれど、子ども連れて来てる人はいなかったっけ。12歳になったら首都にある学校に通う、ってか全寮制らしいから住み込みになるって言われてるから、子ども同士の交流がまったく無いってのも変というか不便というか……うーん?
あまりにも一般常識過ぎて誰も教えてくれない文化の壁の可能性、ありますねぇ! しゃーない、わからないこと知らないことは恥ではないらしいからあとで誰かに聞いとこ。
そんで?
錬金術士の工房に向かうまで護衛を引き受けてくれる、ってのが目の前の3人の女性たちか。
奥、ふたり。
首から下は肌色の露出なんて存在しない、まるで近未来を舞台にしたFPSに出てくるサイボーグやアンドロイドの兵士みたいにガチガチの金属装備。そこにヒーローらしさやヒロインらしさは存在しない。
装甲部分はもちろん、アンダーに着込んでるパイロットスーツと呼ばれる布地のように見える部分も防御力は高い。らしい。たまに表面のラインを青い光が神経伝達モデルのCGみたいに走ってるのは魔力の流れってヤツかな?
両手で抱えたライフル、右肩には予備の銃を、左肩には接近戦用の剣が。だが俺は知っている、FAには武器はもちろん食料や医薬品などを収納しておける機能があることを! インベントリって概念がチート能力の専売特許じゃなかったのは朗報でしたね。
そして父ロジャーと会話している隊長の人。デニムにオーバーサイズのシャツというラフな格好だが、その下にはしっかりパイロットスーツを着用している。なら、身に付けているアクセサリーのどれかがFAを装備するための【展開キー】なのだろう。……あ、背中。腰のとこに拳銃みたいなの差し込んであるじゃん。これは強い(確信)
「よぅ、ボウヤ。アタシが今日、ボウヤの護衛を担当するトルメンタだ。つい最近まで傭兵として各地の戦場を渡り歩いてきたんでな、危険に対する嗅覚にはちょいと自信がある。ま、安心して散歩を楽しんでくれや」
「よろしくお願いしますトルメンタさん。もしも私がフラフラと離れそうになったときは、遠慮なく拳骨でも平手打ちでも叩き込んでください。事故を起こすよりは痛いほうがマシなので」
「お、言うね〜! いいよ、自分が護られる側だって理解しているなら、ちゃんと優しく期待に応えてやるさ。貴族のガキは言葉遣いの成長は早いクセに中身は年相応で面倒なのが多かったが、ボウヤはメンタルのほうも早熟だね。領主サマの教育の賜物かい?」
「さて、どうだろうな? 仕事漬けの毎日で顔を忘れられたらどうしようなどと考えてばかりだったのでね。気が付いたときには息子はこうなっていた」
「……そういう人間だって紹介されていたが、相変わらず領主貴族って呼ばれる連中はアタシらの知る貴族とは別モンだな」
「我々領主貴族の大半は、インセクトの
「ハハッ! そりゃそうか! ……ロジャー様。我がホワイトウルフ隊を信用して頂いたこと、心より感謝いたします。契約通り、御子息であるコレオ様の生命と尊厳は、このトルメンタが命に代えましてもお護りします」
「あぁ。よろしく頼む」
歩いて数分の場所にある工房に向かう前のやり取りか? これが。雰囲気が戦場に乗り込む前のそれなんだけど? それだけ領主貴族の息子って肩書きが重いってことか……。やべぇ、これガチで前世の価値観がトラブルの引き金になるぞ。
あと、この人たち傭兵なんだな。ホーエンハイム家の私兵でもなく、領地で預かっている領兵でもない。でもちゃんとFAは装備しているワケだし実力は本物なのだろう。ラノベ界隈で貴族と傭兵の組み合わせって悪い意味で定番だけど、そこは父ロジャーを信じよう。