コレオです。
上級生のお姉さんたちに気に入られて、トレーニングルームの使い方を教えてもらいましたが……想像以上に気まずかったです。
あと、本格的な筋トレはまだ早いって言われちゃった。そうだよね、まだ中学1年生ぐらいだもんね。これからよ、これから。
コレオです。
一部の男子生徒からの視線が、微妙に厳しくなりました。
じゃあお前らもトレーニングやれよ、としか。女子に近づきたいって動機で運動始めたとして歓迎されるかまでは保証しないけど。
コレオです。
ディアさんがお友だちを連れて来ると言うから、どんな人かと思ったらナージェンダでした。
仲良きことは美しきかな〜。接近戦にライフルの援護射撃も添えられてバランスもいい。しかしリットン親方と家賃がどうとか話してたのがちょっと不穏。
コレオです。
事務局の人から、身分を隠しているとはいえ貴族なんだから、もう少し授業に出てほしいとお願いされてしまいました。
制度的にはセーフでも、あちこちアルバイトに出稼ぎし過ぎて先方から連絡が入ったのだとか。あの男の子いっつも働いてるけど生活そんなに苦しいの? 学園側でなにかサポートしてあげてよ、的な。多方面に申し訳ねぇんだが?
コレオです。
歴史と考古学の先生が、穏やかな老紳士で知性に溢れた人だなぁ〜と油断していたらその人は遊びに来ていた魔導力学の先生で、本物は吸い込みスクリューパイルドライバー使えそうな筋肉してました。
今度、一緒に古代遺跡の調査に行こうかって誘われたんだけど、なんか巨大な岩に追いかけられそうな気がする。約束しちゃったけど。
コレオです。
コレオです……。
コレオです…………。
▲▼▲▼
軍事行動における兵站ラインの確保が重要であることは素人の俺でもしっている。ゲームの知識云々以前に、そもそも人は飯を食わねば生きていけないし、銃は弾薬が無ければ撃てないし、車は燃料が無ければ走れないのは常識も常識だ。
つまり、補給拠点は重要な拠点!
そんなところに学生アルバイト!
まぁ、普通には行けんよ。申請してから講習会とかその他諸々を済ませなければ現地入りはできないし、1年生と6年生では立ち入れる基地の深さは全然違うのだ。ファンタジー世界だからって雑に一緒くたにされてなくて安心なのだ。
「やぁ! キミがコレオ君か! 話は聞いているよ、アルバイト先で大活躍しているそうじゃないか。補給拠点スタッフとしても期待させてもらうぞ!」
「本日はよろしくお願いします。できればお手柔らかに」
「はっはっは! 残念だがそれはムリだ! 最前線を任せられる錬金術士には人数の限りがある以上、たとえ学生だろうと、それこそ1年生だろうと戦力になるなら使うしかない! インセクトはそんなことを考慮してはくれないからな!」
笑顔が爽やかなイケメンだけど言ってること全然容赦ねぇな? 戦争やってんのに子どもだからってなにか関係あるのか、って本人に向かって言っちゃってるよ。
「安心するといい! 説明は聞いているだろうが、まさか1年生を深部の補給拠点や防衛拠点に送り出したりしない! キミがアルバイトで向かう先は比較的安全の確保された後方基地だ! 当然、そこで必要になる知識と技術はボクがしっかり教えよう!」
「先生。拠点関係のアルバイトって、生徒たちの集まりって良いほうですか?」
「ハハッ! それこそまさか、だろう。望んで危険な場所へ行かなくても、錬金術士として国家に貢献する手段はいくらでもある。もっとも、考えようでは少数精鋭を育てる環境が整っているとも言えるが」
「格好つけて女子にモテたいって欲求よりも、やっぱり自分の安全のほうが優先ですか。それこそ正しい選択だと思います。俺は捻くれ者なので全力で逆張りしますけどね」
「関係ないさ。キミが何者だろうがなにを考えていようが、それで助かる側にしてみれば正義もクソも無い。それがインセクトと戦うということだ。もっとも! 気持ちだけでは誰も救えないからな! ボクの指導で拠点スタッフとして最低限のことはできるように
「オスッ! オナシャスッ!!」
「おぉッ!! 元気がいいぞッ!! これはボクも気合いがメラメラと燃え上がるなぁッ!!」
…………。
…………。
「金属って、枯れ木みたいに内側がスカスカになることあるんですね」
「地下の風は魔力の質と濃度が違うからな。ボクたちは自分自身の体内で循環させているから影響は少ないが、金属はどうしても外部からの影響を受けっぱなしになってしまう」
「表面の傷だけに気を取られないで、内部まで探って、必要なら分解と再錬成で修理が必要、と。ライフラインである魔導管まで侵食が進んでいるのに気がつかずに、そのタイミングで襲撃が……なんて考えたくないですね」
「だが! それを考えるのがボクたち錬金術士の仕事だぞ! 常に最悪の事態を想定するんだ! 物事は、トラブルというのはいつだってその1歩先を行くからな! だから万全の備えなんて言葉を信じてはいけないよ!」
「まだほんの数時間もない短い付き合いではありますが、俺、先生のそういうところ好きですよ」
「おぉッ! 嬉しいことを言ってくれるじゃないか! だがすまない! ボクは相手によって態度をガラリと変える主義だ! 聞く耳を持たない相手に警告しても時間の無駄だからな!」
こういう味付けの濃い教員が事前指導を担当するのが補給拠点のアルバイト、か。お金以上に経験値をタップリ稼げそうな予感がしてきたぜ! 絶対にリットン親方にも時間を取ってもらってじっくり話を聞いておこうそうしよう。