俺は……心の弱い人間だ……ッ!!
ヒャッハーッ!!!!
もう我慢できねえッ!!!!
クラフトするぜぇぇぇぇッ!!!!
はい。
本日のお題は“ボルトアクションライフル”の改良です。
魔力石そのものを弾丸にすることで、ある程度弾道を自由に動かせるエネルギー弾を撃ち出すことができる可能性の塊ですよ。こいつは浪漫を詰め込みつつインセクトをブチ抜ける切り札を作れますぜぇストレンジャーッ!!
「と、いうワケで親方。武装の錬金して怒られないための理由作りに協力してもらいたいのですが」
「ん? 別に先に作っちまっていいぞ? どれだけ火力が出るかで扱いも変わるからな。どうせお前は儂に黙って使ったりしねぇだろ?」
ヒュー!
なにを仕出かすかわかならいバカ弟子にアッサリ許可を与えるなんて! もう日頃の鬱憤というかストレスというか単に好奇心がもう抑えられない俺にこうかばはつぐんだぁ〜ッ!!
じゃ。
いっかい頭から冷水被ろうか……。
▲▼▲▼
さて。
ボルトアクションライフルである。
つまりボルトをアクションする動作にメリットが無ければ作る意味がないのである。
それは別に弾丸の装填や排莢である必要は無い。
と、いうか魔導力学の教授と、考古学の先生との会話の中で面白い現象について教えてもらったからこそクラフトしてぇとモヤモヤしていたところあるからね。
物体は、瞬間的に力が加えられると破裂する。
当たり前といえば当たり前のことだ。というより別に瞬間的じゃなくても耐久力以上の力で押したり叩いたりすれば壊れるのは当然のことでしかないんだけどね。
だが、この“瞬間的”というのが今回の魔改造のためのポイントなワケだ。
重さ3kgの鉄球をゆっくりほっぺたにグリグリされても鬱陶しいだけだが、それが時速200キロとかで射出されたら確実に助からないだろう。少なくとも俺は無理です。
かなり乱暴な例え話だけど、似たような現象が魔力でも起きるらしい。魔法文字に瞬間的に大量の魔力が流れ込むと大変なことになる……こともあるのだそうだ。大抵の場合は刻まれた魔法文字が崩壊して事故に繋がるようなことにはならないらしいが。
でもさぁ……。
だったらさぁ……。
それ、意図的にさぁ……コントロールできたら火力の底上げ、できるんじゃね……?
バッテリーユニットとバレルユニットの接続を普段は切断した状態にしておいて、ボルトアクションで魔法文字に一気に魔力を叩き込むことで属性効果をドカンッ!! と発動させるって寸法よ。
自分で言っててなんだけど、だいぶ頭のイカれた発想だなこれ。
これでハイリスクハイリターンならまだいい、ただパイロットが危ねぇだけ火力は据え置きとかになったらアホの極みなんだが?
でも俺の中のマッドサイエンティストが疼いているからね、生温い温泉より際どい快感を楽しみたくて仕方ねぇンだわ。好奇心、飼い慣らすの完全に失敗しとるやんけワレェ……。
実際問題たぶん既存の武器の延長線上で満足してたら生き残れない気がするんだよね。いまはバランス保たれているとして、いつまでそれが続くかなんて誰にもわからない。
だったら、次の世代のために可能性を少しでも多く残してやるのが現代を生きる者の責任だろう。
本音だよ?
2割ぐらいは。
でも変なアイディアでも残してさえおけば技術の進歩によって新しい利用価値が生まれたりするから……。
そうそう。
今回使用する属性はいつもの貫通じゃないよー。
今回使用する属性は上級の【分解】だよー。
失伝ではなく上級。つまりは普通に流通している属性ということ。駆け出し以前の1年生が扱うことが大問題ってだけで、チート特有のオーパーツ属性じゃないからセーフってコト。
主に格闘武器、それも大型の斧やハンマーに使われている。まぁ? 俺も学生という身分を手に入れましたから? 与えられた権利と増えた情報源はちゃんと活用して調べ物しますから?
しかし上級属性であるが故に使用には制限もある。攻撃力に特化したグラップラーフレームによるアシスト効果が無ければ、燃費の増加に見合うだけの威力を発揮できないというデメリットがあった。
いうて外骨格を分解して中身を直に殴るってことは、武器の特殊効果として“相手の装甲をマイナス50パーセントする”みたいなのが付与されてるようなものだしな。消費が重いのも仕方あるめぇ。
んで。
基本的な構想としては、マガジンユニットのほかにバッテリーユニットの強化版である【パワーバッテリーユニット】をベースとして組み込む。
そしてパワーバッテリーから出力されるエネルギーをキープできる機構を……イメージ的にはチャージショットの感覚で留めておけるようにする。
そいつをボルトアクションでガツンッと分解の魔法文字に流し込んで、弾丸に纏わせて発射するワケだ。
言うは易し。
行うは難し。
と、いうことで再びリットン親方に相談すっぞ〜ッ!
▲▼▲▼
「武装に簡易的なコアを仕込もうと思うんですよ」
「先に作っても構わねぇと言っちまったのは儂だ。だからコイツぁ、速ぇ車を設計すんのにタイヤそれぞれにエンジン用意しますみたいなフザケたこと平然と吐かしやがる可能性を考えられんかった儂の責任なんだろうな」
「でも、たぶん作れますよね? 難しいだけで」
「……未熟なパイロットと、低出力のコアで、上級属性の分解を付与した射撃武器を扱えるなら、試す価値はあるだろう。お前のことだ、回転率の悪さについても考えてやがるな?」
「通常の素材を装填するマガジンユニットではなく、専用の弾丸を収納できる拡張空間ユニットを使います。Fメタル弾に予め貫通を付与した物を用意し、一撃で複数のインセクトを貫く設計ですね。コスパが最悪なのは間違いないでしょう」
イメージ的にはマップ兵器だ。これで幸運と必中と努力と熱血があれば最高だな。
但し俺にはメモリークラフトがあるから専用弾の増産も楽勝だけど、量産するのには全くの不向きなので黒字を出せるかは知らん。そこは次の世代がどうにかしてくれることを願おう。
そもそも実用品として役立つかもわからないんですけどね?
「……よし、やってみろバカ弟子。必要なら儂も手伝ってやる」
「可能性は感じましたか?」
「コスパ考えんのはプロトタイプが完成してからでいい。まずは使えるモン作ってからだ」
「誰かに見られたら、リットン親方がゲテモノ職人と勘違いされたりしますかね」
「そんときゃそんときだ。それで客が減るなら、儂の仕事が所詮はその程度の価値しか無かったってこった。バカ弟子が、師匠の稼ぎを気にするなんざ50年は早ぇンだよ」