インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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ブランドちから。

 ボルトアクションライフル。

 

 命名【インパクトキャノン】

 

 グラビティは付きません。コレオ先生の次回作にご期待ください。

 

 実際のところ、重力関係の属性って普通にありそうじゃない? だって浮遊があるんだから。たぶん失伝属性か禁忌属性のどっちかに眠ってると思うんだよね。

 ここからでは見えない、宇宙空間まで届く大森林壁の上層部に広がる絶対零度の暗黒空間。本当に誰もなにも知らないのであれば、カティさんの話にも出てこなかったはずだ。

 

 浪漫と、宇宙的恐怖の共存。

 

 フフフ、下品なんですがね……普通に背筋が寒くなりましたよ。まず呼吸ができないってのを想像するだけでワイのゴールデンコアが氷結属性を食らったみたいに縮んどりますわ。ガハハ! 

 

 

 しかし傭兵の皆さんにもボルトアクション好評だったな。ギミックを考えてから意味を持たせるっていう本末転倒な設計思想だったけど、乙女心にはヒットしたようでなによりだ。

 

 カラーバリエーションは特に注文されなかったので、黒と赤をそれぞれ5丁スキルで組み上げて用意済み。あとはリットン親方が様子見しながら納品してくれる。

 さすがに昨日の今日で渡せばトラブルになるから、ということで素直に助けてもらうことに。別に俺に対して敵意が無いならギフテッドを理由に誤魔化しても良さそうなものだが。

 

 うーん、信用と情報公開のバランス感覚が難しい。

 

 知り合いの傭兵さんたちがどこまで喋ってるかもわからないしな〜。だからといって本気で口止めするようなことでもないし〜。

 俺もラノベの主人公たちみたいに自称凡人の1流レスバ職人になりた……くもないな、別に。どうせインセクトには通用しないだろ。

 

 

 さ、そんなことより勉強だ勉強。

 

 貴族たるもの、学力を疎かには────。

 

 

 

 

「コレオ! 今日からあたしも下宿するわよ!」

 

 

 

 

「……いきなり、なにごと?」

 

「リットンさんと交渉して住み込みの許可をもらったから。諸々の手続きが終わったから、今日からここで寝泊まりするって言ってんの」

 

「なんでよ。絶対に学園で管理してる学生寮のほうが安いでしょ」

 

「それだとアンタに武装の依頼できないでしょ。言っておくけど職人仕事を安売りしろなんて言わないからね。ちゃんと、アンタが、納得できるレベルのパイロットになって、それから……それから…………あー、最初はお手頃な値段での注文からスタートでいいかしら?」

 

「素材集めを自力で頑張るなら手間賃でいいよ。休日は朝から一緒にゴミ拾いに行くか? たまにディアさんもやってるぞ。あの人、おっとりしてるけど朝早いんだよ。トレーニングとかしてるから。……どうした、急に」

 

 

 なんかキョロキョロするじゃん。

 

 いまのキミのが不審者だぞ。

 

 

「コレオ。たぶんだけど、ディアは本物の貴族、それも外国の人かもしれないわよ」

 

 

 惜しい。

 

 王族だよ。   

 

 

「いや、まぁ、だからって急に態度を変えるつもりはないし、一応ね? 一応、学園生は身分とか関係なしに皆が仲間って……ほら、セカンダリの平民も昇格試験さえクリアすればプライマリ行けるし? だから別にいまさらではあるんだけど」

 

「もう俺への注意とかじゃなくて、自分に言い聞かせてるでしょそれは。仮にそうだとしても、わざわざ下町の下宿先に寝泊まりしてんだからさ。向こうからなんか言われるまで気にしなくていいんじゃね?」

 

「そうかな……そうかも……そうよね! あー、スッキリした♪ けっこうね? 友だち同士でもどうなんだろ? みたいな話をしてたんだけど、誰に相談するかもわかんないし。なにも解決してないし変わらないけど楽にはなったわ。ありがと」

 

「どういたしまして」

 

「で、機体と武装のことなんだけど。アルバイトの評価次第では中期開始してから手続きとか、必要なの済ませれば1年生でもアリの巣の内部まで行けないこともないらしいのよ」

 

「それ普通に危ないと思うんだよなぁ。せめて2年生からとかでいいじゃん。事故のリスクがさ、俺は自分だけ気をつければとりあえずオッケーだけど、パイロットはさぁ」

 

「だからアルバイトの評価次第なんでしょ。それに、これはセカンダリ生の特権よ! 特権! あたしは使えるものはなんでも使う主義なの、プロが叱ってくれるうちに戦闘経験を積めるなら積むに決まってるでしょ」

 

「それな。わかる。それは俺にもわかる。だからリットン親方に甘えてるし」

 

「でしょ? で、条件のひとつに機体と武装を自力で調達しなきゃいけなくて」

 

「あ、そういう……権利だけ与えて実力でしっかり選抜してんのね」

 

「そうそう。だから、偶然にも、あたしには錬金術士の知り合いがいるのよね。それもとっても優秀な。さっきも言ったけど、安売りさせようなんて思ってないから、そこは安心していいわよ!」

 

 

 …………。

 

 …………。  

 

 

「と、いうやり取りがあったのでナージェンダに渡す前にしっかりガッツリねっとりタップリ品質検査をしていただけると」

 

「心配すんなバカ弟子。それも師匠の役目だ。いい客じゃねぇか、値切られて愉快な職人なんていねぇよ。テメェの仕事にケチつけられるワケだからな」

 

 

 値切るってことはつまり、お前の扱ってる商品にその値段の価値なんてねぇよって言ってるのと同じ。……という話をどこかで聞いたな。

 俺もなんだかんだ理由をつけてタダでクラフトしたりするけれど、完全無料で提供ってのはやってない。1度サービスすると調子に乗るヤツもいるって前世で学んだし。前もやってくれたよね? って。

 

 

「だがな坊主。機体も武装も売買の名義はあくまでお前だ。そこは譲れねぇ。いいな?」

 

「……? それは、もちろん?」

 

「テメェでこんなこと言うのも忌々しいが、儂の名前で候補生にモノ作ってやるとすこぶるめんどくせぇんだよ」

 

「ディアさんのハンドガンは?」

 

「アレはどう勘違いされようと本人がギフテッドだからどうにでもなる。戦闘特化の属性使いでわかりやすいしな」

 

 

 やはりギフテッド。

 

 ギフテッドは全てを解決する。

 

 下宿を始めてから今日まで実感するタイミングは無かったが、やっぱりリットン親方の名前にはブランド力があるらしい。

 それを思うと、ご近所付き合いや商店街の人たちの反応が“ちょっと気難しい爺さん”でしかないのは逆に好かれてる説あるぞ。

 

 ふむ。

 

 ふむふむ。

 

 逆に考えよう。

 

 ネームバリューを持たない俺なら、ナージェンダ専用にいくらでもカスタムした機体と武装を渡せる……と。どうせ新入生の候補生の機体なんてまじまじと観察するヤツおらんやろ。

 そしてギフテッドであるディアさんになら、本人の希望次第でとことん尖った性能を突き詰めることも可能ってコト? ついにエチュードの装甲パーツの魔改造に手を出すときが来たか……ッ!? 

 

 いや、来てねぇから。

 

 先に基本だよ、基本。

 

 まずはディアさんに用意したように、真面目で真っ当な錬成でエチュードを用意するのが先だよ。

 ふぅ、危ない危ない。できることが増えると夢も広がるから気をつけないと。しばらくは自重するかぁ。

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