リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる? 作:はめるん用
「……魔法文字に傷がついた瞬間に錬成陣から収納した素材が溢れてくるんですか?」
「そうだ。だから対物理クリアプレートと対魔法クリアプレートを交互に幾重にも重ねて作業台としている。私も教本で学んだ知識でしかないが、収納の魔法文字を使い大量に商品を輸送しようとした商人が、扱いを間違えて大量の物資に押し潰されて……という事故もあったそうだ」
「ちなみに、魔力の操作に失敗した場合はどうなるのでしょう?」
「錬成されたモノが歪むぐらいで危険は無い。それに、複数の素材を使ったクラフトならともかく、木材だけで練習するのであれば錬成陣に戻してやれば素材も無駄にはならん」
「わかりました。それでは早速試してみます。失敗する前から反省なんてできませんからね」
「ふーん。確かに、パイロット視点でも魔法文字の反応はそこそこ綺麗だったな」
「アルケミスト視点でも、初めてのテーブルクラフトにしては落ち着いているので安心して見ていられますね」
錬金術の練習は想像と違い、手順だけなら簡単そうに聞こえた。予め錬成陣が刻まれたテーブルの上でアイテムのクラフトを繰り返し、魔力による干渉で素材を分解・再構築する感覚を掴むだけ。
しかも基本的に錬成台を使わないハンドクラフトは出番が無いらしい。何故なら品質が安定しないから。部隊運用のひとつとして、錬成台の用意が難しい現地での応急修理が必要になるときもあるかも? ぐらいなんだとか。
それでも父ロジャーが砂を握り込んで見事な猫のガラス細工を見せてくれたものだから、俺としては目指したいでしょハンドクラフトの技術向上。スキルツリーは便利だが、どこまで自由が保障されているかわからない。ならば自前の技術も磨いておかないといつか後悔する日がくるかもしれないだろう?
さて、まずは立方体を錬成するところから始めよう。えーと、錬成陣の中に魔力を流し込んで、素材となる木材を……バラバラの、砂や水を、指先で、掬い上げるような……イメージで────。
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「……これは、まだ、ゲームには使えませんね」
「出目が整っているだけサイコロとしては上出来だが、丸みがまだまだ大き過ぎる。まぁ、1時間でハンドクラフトのコツを掴んで錬成したと思えば、父親としての贔屓目を抜きにしても悪くはない……と、思うのだが」
「ご安心くださいロジャー様。親バカではなく実際に大したものですよ、コレオ様の上達ぶりは。魔力操作はまだまだ未熟ですが、それを補うほど頭の中で完成品を描く能力に優れているのでしょう」
人生2回目っていうアドバンテージの賜物だな。もしかしたらトレーニングを繰り返せばプラモデルやフィギュアも再現できるかもしれない。資金稼ぎに利用するには面倒が多そうだが、武装のイメージを固めるときなんかは役立つんじゃないかな?
ちなみにスキルツリー側に変化とかは……お、あるある。ステータス強化の項目に【魔力容量】【魔力回復力】【クラフト速度】【クラフト精度】が追加されてるわ。俺知ってるんだ、これで魔力に強化ポイント注ぎ込むと学園編でクッソややこしいことになるや〜つ。
ゲームなら高性能の機体に弱い新人ネームドパイロットを搭乗させてパワーレベリングなんて手段もあるけれど、ステータスの暴力で生産無双した結果本来なら前提条件として知っていて当たり前の知識が欠落したまま人前に出たら……少なくとも俺なら信用しない。ゴーストライターならぬゴーストクラフターを疑うだろう。
ま、なんにせよこれで錬成の練習をする口実は得られた。口実っつーか事実だけど。
日頃の行いの積み重ねもある、気になったことはなんでもかんでも試行錯誤してみましたって言えば大抵のことは許されるはず。ついうっかり武器とかの危険物だけクラフトしないよう気をつけよう。
いや、いっそのことクラフトは控えて先に母メルティナと話をするのもいいのでは? 戦場では【
おっと、イカンイカン。いまは目の前の訓練に集中しないと。リットンさんだって仕事を中断して俺のために時間を使ってくれてるんだ。コレオくん、錬金術は遊びじゃないんだよ?
さ、集中集中……っと。
「……ん? 失礼、巡回任務中の同業者からラブコールだ。ハロー、どうした? 急にアタシの声が聞きたくなるほど甘えん坊じゃないだろうに────数は? 方向は? うん、そう……興奮状態じゃないんだな? わかった、あぁ、丁度目の前にいる。そっちもバカが先走ろうとしたら脳天ブチ抜いてブチ殺してでも止めろ。オーケイ、気をつけてな」
わぁい。
年上のお姉さんが急にドキドキさせるから集中できないやぁ。