リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる?   作:はめるん用

19 / 20
汝、足りぬことの喜びを知る者なり。

「草1本すら生えていない不毛の大地、って感じですね。父様が遊び場として使わせてくれるのも納得です」

 

「データによれば200年ほど前にFAのフライトフレーム用に高出力コアの試作をしているときに事故があったそうです。多少は改善していますが、現在も魔力元素が不安定ですね。こちらが比較データです」

 

「こういう図形を考えた人って凄いですよね。専門知識が足りていない私でもあぁ、よくわかんないけど普通じゃないなって一目でわかるんですから」

 

「手書きから端末に進化しても、優れた手法はちゃんと受け継がれるということですね」

 

 

 担当者の人が見せてくれたタブレット端末の画面にはふたつの折れ線グラフ、というか波形図? なんかウニウニ動いているアレ。片方は穏やかな波だけど、もう片方はちょっと不規則にビクンビクンしている。これが魔力元素とやらが不安定なことを示している、と。

 

 

「逆に、ここで錬金術のトレーニングをして、安定して錬成できるようになればハンドクラフトの技術も向上する……と、いいんですけど」

 

「コレオ様がギフテッドだと言われても納得できますが、実際のところどうなのか自分にはわかりませんのでお答えできません」

 

「ハッキリと言いますね。私は好きですよ、そういうの」

 

「それはどうも。気休めにしかなりませんが、錬金術に頼らず魔力石の粉末を取り出してみせたコレオ様なら大丈夫ですよ。鉄鉱石や銅鉱石のひとつでも埋まっていることを信じましょう」

 

「やってみるか……。ところで」

 

「どうなさいました?」

 

「いまの段階で監視は必要ないのでは……?」

 

「コレオ様なら危険なことはしないだろう、という信頼と、ロジャー様の部下として事実をまとめて報告する義務は別問題ですから」

 

「そうですか。お手数をおかけします」

 

 

 組み立て式のテントみたいなヤツ、この世界にもあるんだな。運動会や町内会のイベントでお馴染みの白い屋根だけど、周囲を布かなにかをぶら下げて囲めば仮設の拠点としては充分に機能するかも? 必要で便利なモノは自然と発明されるってことか。

 ほかにも仕事があるだろうに、こんなしょーもない作業を記録させるために人員を動かさなくてもいいと思うんだけどなぁ。こっちとしては監視してくれるほうが気楽に作業できていいけど。なにかあったときにすぐに相談できるし。

 

 で、早速穴掘りを始めるワケだが。まずは掘削予定の範囲を大まかに決めるとしよう。石のハンマーで木の杭を地面に打ち込み、適当な長さのロープで距離を決めて正方形を作る。どうせ掘り進めていくうちに歪むだろうが、基準があるかないかで作業のしやすさは変わるからな。

 で、この四角い枠に沿わせるように螺旋階段を作って掘り進めるというプランで作業開始だ。膝ぐらいの深さまで石の剣先スコップで掘って、その土を錬金術でレンガのように固めて重ねて階段に。それを繰り返すこと腰の深さまで到達したら、今度は枠に沿って前に掘り進め、土の板をクラフトして、それで壁が崩れてこないよう保護するために錬金術で貼り付けて。

 

 こういう地味な作業って、好き嫌いメッチャわかれるよね。特に効率重視でブランチマイニングをやる人にしてみれば、力任せの露天掘りなんて見ててイライラするんじゃなかろうか? 

 

 

 黙々と作業を進めることしばらく、疲れで腕が鈍ってきたので今日の作業はこれで終了だな。ゲームみたいに自動でスタミナは回復しないから仕方ないね。

 もちろん穴掘りを終わるというだけで作業そのものは続ける。ハンドクラフトでは土ブロックも土プレートも形が不揃いなので、掘削が進めば進むほど歪みが大きくなり安全性の面で不具合が出るかもしれない。

 

 品質、というか寸法の誤差を減らすための工夫が必要で……それも枠作ればいいじゃん。昔テレビで見た、乾燥させるタイプのレンガ作りがそんな感じだったはず。

 スキルでクラフトする木の棒なら長さも一定だし、それを並べて板にすれば綺麗な長方形も作れる。あくまでスキルで板が作れないだけで、自前で用意するなら問題ない。

 

 よし。

 

 さすがに人目があるのに手元で完結させるワケにはいかないので、予め用意しておいた木の枝を持ってきて……と。

 

 棒をクラフト。

 

 並べて板に。

 

 繋げて長方形の枠を作る。

 

 そのまま底板も貼り付けて。

 

 土を入れる。

 

 魔力を通して圧縮して固めて。

 

 縮んだぶんの土を足して。

 

 カチカチになるまで繰り返す。

 

 

 完成ッ!! 

 

 取り出せないッ!! 

 

 

 ……底板は添えるだけにして再チャレンジ。

 

 

 完成ッ!! 

 

 あとはコイツをハンマーで叩いて取り出すだけッ! 

 

 

 割れるか? 

 

 割れるかも……。

 

 

 いや、まて。

 

 そんなんで壊れるようでは足場にならぬぞ? 

 

 

 いくぜッ! 

 

 南無三ッ! 

 

 

 うん、普通に取れたわ。しかも枠無しでハンドクラフトしたときよりも頑丈な気がする。重ねるように圧縮して固めたから強度が増したとかそういうことだろうか? 

 

 よしよし、希望は見えたぞ。まずは腰の深さまで、枠の中をくり抜きつつブロックとプレートを量産するまでを目標としよう。

 肉体労働だからステータスの強化ポイントも得られるだろうし、クラフト精度と速度、ついでに持久力に振り分ければ効率も上がる。まずは1か月、頑張ってみんべ!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。