インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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ホーエンハイム家の日常・修行編。

 大喜びでルカニがギフテッド(ガチ)である可能性を両親に一生懸命伝えたところ、母メルティナはいつも通りニコニコ笑顔で聞いてくれたが父ロジャーは豆が鳩鉄砲を食らったような顔をしていた。何故だ? 

 父親なら我が子の可能性を喜んでくれよッ! と考えるのは素人。いくつものゲーム、マンガ、ラノベを乗り越えてきた俺は知っている。父親だからこそ、我が子が可愛いからこそ、自惚れからの破滅ルートに入らないよう厳しい態度を見せているのはバレバレだ! 

 

 これが、ノブリス・オブリージュ。貴族としての義務、領主としての責任。錬金術という便利な技術があるからこそ、それを取り締まるべき立場として甘えは許されない。わかってるよ父様、その精神性こそ俺たち兄弟が学ばなければならない最も大切なことだって言いたいんだよな! 

 

 

「……と、いうワケだルカニ。父様には領主としての立場があるから、俺たちに厳しい態度をとる必要があるんだ。だけどそれは俺たちを愛していないということじゃない。俺たちのことを大切に想ってくれているからこそなんだ」

 

「大丈夫です、兄上。父上が僕たちのことを愛してくれていることぐらいわかってます。それに、普段はともかく夕食のときは普通にお話ができますからね。ホーエンハイム家の錬金術士として、みっともなく甘えるような真似はしません」

 

「そうか、さすがだなルカニ。だからこそ」

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

「────俺がたくさん褒めてやるぞルカニぃぃぃぃッ!!」

 

「兄上ッ?!」

 

 

 

 

 

 

「ありがとうルカニ! 俺のワガママに付き合ってくれて、砂鉄探しを手伝ってくれて本当にありがとォォォォッ! お前は最高の弟だ! 穴掘り始めて2年間、大変だったけどルカニがいてくれたおかげで無事に掘り抜くことができたぞぉッ!! 本当に、本当に! 俺の弟でいてくれてありがとぉぉぉぉッ!!!!」

 

「そんな……僕のほうこそありがとうございます兄上! まだテーブルクラフトも知らない、魔力の使い方なんてゼンゼンわからない僕に優しく根気強く丁寧にハンドクラフトを教えてくれてありがとうございましたァァァァッ! 兄上はフォルティスで、いや大陸で! いいえ、世界で一番最高の兄上でぇぇぇぇすッ!!!!」

 

「ルカニ!」

 

「兄上!」

 

「ルカニッ!!」

 

「兄上ッ!!」

 

「ルカニぃぃぃぃッ!!!!」

 

「兄上ぇぇぇぇッ!!!!」

 

「それじゃあクラフトが上手くできなかった原因について一緒に考えようか。俺の部屋で練習したときは普通に錬成できていたんだし、必ず理由があるはずだ」

 

「そうですね。単純に技術力不足ならそもそも土ブロックそのものを錬成できなくてもおかしくありません。目的のモノは作れているのですから、解けない謎ではないと思います」

 

 

「センパイ、いまのコレオ様とルカニ様のやり取りも記録するんですか?」

 

「兄弟ともに通常営業、本日も異常無しと記録しておいて」

 

「りょーかいッス」

 

 

「しかし、なにから手を付けたもんかな。穴の中だとクラフトが急に難しくなる、ってことは」

 

「地面の下になにかそういう……兄上、2年前にここを掘るために父上にも相談したんですよね?」

 

「まぁな。鉄か、それに近いなにかを見つけるまで掘り続けるつもりだったし、勝手に庭園を穴ポコだらけにもできないし」

 

「そのときに、なにか、言われたりしていないのでしょうか? これだけ勝手に掘り返しても怒られないんですから、僕たちが好きにしても許される理由があるんじゃないかな? って」

 

「理由、理由ねぇ……? そんなもの…………あったわ」

 

「あるんですか?!」

 

「ここ、昔、実験に失敗したからって……魔力元素が不安定だって……向こうのテントで監視役してくれてる人に教えてもらってたわ……」

 

「なるほど……土や石そのものにハンドクラフトを邪魔する条件があったワケですね」

 

「……ぐ、うぅ」

 

「兄上?」

 

 

 

 

 

 

「────ごめんよルカニぃぃぃぃッ!!!!」

 

「兄上ッ?!」

 

 

 

 

 

 

「俺は……俺はッ! 答えは初めから俺の中にあったのに! 大事な弟に余計な苦労をさせて……たかが鉄を欲しがる俺を気遣って、あんなに毎日毎日汗と泥で汚れながらも嫌な顔ひとつしないで手伝ってくれたのに……ッ!! 俺は兄貴失格だぁぁぁぁッ!!!!」

 

「そんなことはないです兄上ッ! 僕、本当は気づいていたんです! 兄上ひとりなら、もっと簡単に砂鉄が取れる岩の層まで辿り着けたはずだって。なのに兄上のほうこそ僕のワガママを笑って受け入れてくれたことが嬉しくて……ッ!! 僕の兄上は兄上だけでぇぇぇぇすッ!!!!」

 

「ルカニ!」

 

「兄上!」

 

「ルカニッ!!」

 

「兄上ッ!!」

 

「ルカニぃぃぃぃッ!!!!」

 

「兄上ぇぇぇぇッ!!!!」

 

「それじゃあこの区画の素材はトレーニング用に確保しておこうか。俺たちは領主貴族の錬金術士、いつかはインセクト相手に戦場でクラフトしなきゃいけない。これも良い経験になるはずだ」

 

「そうですね。決まった産地の素材でなければ錬成できないなんて言い訳、インセクト相手に通用するはずがありません。如何なる環境であってもパイロットたちをサポートできるよう備えるべきだと思います」

 

 

「センパイ、ギフテッドってこれが普通なんですか?」

 

「詳しくは知らないけどコレオ様とルカニ様を基準にするのだけは止めたほうがいいわよ」

 

「りょーかいッス」

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