リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる?   作:はめるん用

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続・ホーエンハイム家の(以下略)

 じいさんも言っていた……。

 

 本物の仙人なら世捨て人になって山籠りなんてしなくても、俗世の中で悟りを開けるってなぁ! 

 

 

 別にいきなり魂の解放を目指すとかスピリチュアルなことを始めるつもりではない。

 魔力操作の精度をトレーニングするとして、最適な環境をどうやって用意するべきか考えているときに気が付いたのだ。

 

 戦いとは不都合で不条理なモノなのだから、如何なる状況でも錬金術を行使できなければならない……と。

 

 いや、実際のところ環境を整えるのって大事よ? やる気を引き出す一番手っ取り早い方法はそれだからね。テスト勉強の前にやたらと部屋の掃除が捗るとかそーゆー話とは別に、モチベーションを高めるために形から入るって手法はバカにできない効果がある。

 

 

「と、いうことで養鶏施設にご協力をお願いしてトレーニングの許可をいただけました。いつも美味しい鶏肉とタマゴをホーエンハイム領に供給していただき、誠にありがとうございます。ちなみに私はオムレツ大好きです!」

 

「ありがとうございます! ちなみに僕はプディングとタルトが大好きです!」

 

「いえいえ、こちらこそロジャー様には常日頃からお世話になっておりますから。しかし……話には聞いておりましたが、コレオ様もルカニ様も面白いことを思いつくものですなぁ」

 

 

 鶏たちのコーラスが鳴り響く中でのハンドクラフト、こいつは集中力を要求されること間違いなし! しかも音だけじゃなく臭いによる妨害というオマケまでついてきてお得! ついでに畜産業界で働く人々への感謝の気持ちも高まって一石三鳥だね! 鶏だけに! 

 

 

「こちとら闘争のニオイが染み付いてるし、なるべく動物にゃ近寄らないように気を付けてたんだが……悪いな所長さん、もし鶏たちのストレスになりそうなら遠慮なく言ってくれ」

 

「んー、正直に申しますと……手前には、その闘争のニオイというものがわからないのでなんとも。ですがお気遣いには感謝します。我々職員のほうでも、異変があればすぐにお知らせいたします」

 

 

 護衛としてトルメンタさんまで巻き込むことになっちゃうのは想定外だったよ……。

 

 相変わらずラフな格好で背中に拳銃を突き刺した身軽なスタイルだけど、今回は場所が場所なだけに服装とは真逆の肩身の狭い思いをさせてしまっている。

 安全だから許可が出たのではなく、安全を確保する手段があるから許可がでた、ってコト? それでも“インセクトの襲撃”に備えるなら個人レベルの護衛なんて意味が無いと思うんだけど。イヤな想像しちゃうねぇ? 

 

 俺はただ、養鶏場で働く人たちの邪魔にならない程度に隅っこのほうでチマチマ錬金術のトレーニングができればそれで良かったのに。工房に連れて行ってもらったときも護衛が3人もいたんだ、それを知りながら目先の欲を優先してこの状況を想像できなかった。100対0で俺が悪い。反省せねば。

 

 

 人類共通の天敵としてインセクトがいるのに権力争いの余力で戦争をやってる可能性についてはひとまず忘れることにして、段取りを整えてもらったのにやっぱり帰りますなんて言えねぇ。せめて少しでも実りのあるトレーニングにしよう。

 

 

「離れていても賑やかですね、兄上」

 

「だな。それでも所詮はインセクトの脅威が及ばない安全な場所でしかないんだ。これぐらいで集中力を乱すようじゃ、命懸けで戦ってくれている傭兵たちに顔向けできん」

 

「別にボウヤたちの歳でそこまで気にすることでもないと思うけどねぇ。戦闘の音が煩くて昼寝ができないぞ! な〜んて当たり散らかす連中よりは100万倍マシだけど」

 

「やっぱりいるんだ……そういうヤツ……」

「そんなことを言う人が?!」

 

「おや? ふふ……あぁ、少数だけどいるよ。お前たちパイロットは錬金術士がいるからこそ戦えるんだって、恩着せがましくこき使ってくれるヤツらがね。ま、アタシら傭兵は報酬に頭下げてるようなもんだし、いちいち噛み付いてもいられないから慣れたもんさ」

 

 

 断言しよう。

 

 絶対に揉める。

 

 何故なら俺の価値観とは絶望的に噛み合わないからだ! しかも平民スタートではなく貴族スタートなので関わらないように動くことも不可能だからトラブルを避ける手段が無い。そのうち貴族教育の一環として腹芸も教えてもらえたりするのだろうか? 期待しないで待つとしよう。

 

 

「なるほど……兄上が魔力操作のトレーニングにあえて不向きな場所を選んだのはそういうことだったのですね!」

 

「え、どういうこと?」

 

「兄上が言っていた、僕たち貴族に求められるという高貴なる者の義務……上に立つ者として、領民を護るためインセクトと戦う錬金術士として、常に心はパイロットと一緒に戦場に立つつもりであるべきだと! 今日のトレーニングはそのための第一歩だと!」

 

「違うよ? 今日はあくまでもトレーニング強度を高めるためだよ?」

 

「大丈夫です兄上! 僕もホーエンハイム家の錬金術士として、兄上の背中をどこまでも追いかけ続けてみせます!」

 

「トルメンタさぁん」

 

「なに情けない声出してんのさ。兄貴想いのイイ弟じゃないか、えぇ?」

 

 

 楽しそうだなチクショウ。

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