リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる? 作:はめるん用
脚立は便利でした。
現場からは以上です。
ブロックを積み上げたりスロープを盛ってみたり、そちらは安全に作業できるという点では利用価値が高い。だけど利便性はほぼほぼ皆無だと言わざるを得ない。移動するたびにゼロから錬成し直さなければならないのだから当たり前の話だ。
その点、脚立は実に使い勝手がいい。持ち運びが簡単なのもそうだけど、大工さんの真似をして脚立同士を板状の土ブロックで橋渡しすることで作業効率がそれはもうすごくすごい。足場を組む仕事がそれだけで商売として成立する理由がよくわかる。
そして枝打ちのほうは……やはり我が弟は天才だった。ハンドクラフト、というかハンドカッターとでも呼ぼうか。最初こそ細い枝すら満足に切れなかったが、少しだけ魔力の流れをフォローして教えてあげたら即座にラーニングとはな。お兄ちゃんは嬉しいぞ! でも巣が見えてるからいつもの兄弟のコミュニケーションは今日は無しだ!
で。
本命の伐採作業を安全に行う方法もアッサリ解決しました。てっぺんまで枝打ち作業が終わってメインの幹だけになったのを見て、足場を組めるなら上から順番に切り離せばいいだけだと気付いたからだ。
下のほうで切り離すから重量による怪我が心配なのであって、片手で倒れる、というか落下する方向をコントロールできるなら安全に切り離せる。ノコギリなどの道具を使う作業と違って体重をかける必要もなく、指先で軽く押してやるだけでいいのでバランスも崩れない。
「思ったんだけど、これ、ロープとかで上のほう結んで引っ張りながら伐採すれば、倒れる方向もコントロールできるんじゃないか?」
「ですが兄上、結局は手頃なサイズに切り分けて運ぶんですから、わざわざ1本丸ごと伐採する理由も無いのでは?」
「それもそうか。建築材にするにしても、専門の錬金術士と専用の錬成台あるもんな」
「ところで坊っちゃん」
「なんですか?」
「頑なにノコギリなんかを使わない理由は、なにかあったりするんですかね?」
「自力でクラフトできないからです。どうにか砂鉄を含む岩を掘り起こすことには成功しましたが、クラフトの素材として使える量を確保するのがなかなか手間でして」
魔力石の粉末を集めたときに比べれば、錬金術を学んだおかげで気分はかなり楽だけど……砂鉄だよ? また粉だよ? ノコギリどころかフォーク1本クラフトできる量を集めるだけでも何日かかるやら。
「そうかそうか、小僧は鉄が欲しいんだな?」
「え、えぇ……。将来的にはFA用の装備を作れるようにならなければいけませんし、鉄や銅といった金属の扱いには早めに慣れたいとは思ってますが……」
「ところで小僧。そういった金属は、どういった場所から掘り起こすのが手っ取り早いと思う?」
「それは……やっぱり、山とか、谷底とか、土よりも岩の塊がたくさんある土地のほうがありそうだな〜、ぐらいには」
「なるほどなるほど。つーか、そういうアテも考えてんのに自分の家の庭で鉄探しやってたのかよ」
「やってみなければわからないこともあります。砂鉄が手に入ったのはただの結果ですが、行動しなければそれも見つけられなかったでしょう?」
「そいつは立派な考え方だな。うんうん、立派立派。やっぱり欲しいモンは自分で掴み取ってナンボってこったよな? いやぁ〜、さすがは領主サマのご子息だ! いやホント立派な考えしてんぜ」
「あ、すみません。続きはまた今度お伺いして────うわッ?!」
しまった! 逃げられない!
「小僧。さっき言ったことを覚えてるか? 傭兵の小遣い稼ぎ。アリの巣に入って魔力石の結晶と、ついでに外骨格なんかの素材を集めるって話をよ?」
「覚えてますからそれは帰り道の話題に取っておきましょう」
「どうしても鉄が欲しい駆け出し錬金術士のコレオ・ホーエンハイムくん。彼は山の中に鉄鉱石があると知っていましたが、まだまだ子どもの彼には山を掘り進むことができません。そんなある日のこと、なんと彼は偶然にも山に大きな大きな洞窟があるのを見つけることができました!」
「やっぱりそういう流れになるのか……」
「いまならブラッドハウンド隊って傭兵がお買い得だぜ? 小僧の錬金術士としての流儀に理解のある強くて優しい美人のお姉さんまでセットでついてくるスペシャル価格だ。支払いは小僧、お前の将来性を見込んで出世払いでいいって隊長がたったいま決めてやったぞ? どうだ〜? 涙が出るほど嬉しいだろ〜?」
「一応、危険には近寄らないって約束があるんですが」
「別に無理やり連れ出そうって話じゃねぇよ。言ったろ? 小僧の流儀は理解してるってな。コッチは選択肢を与えてやっただけ、領主サマとどんな交渉をするのかまでは知らねぇな」
「……武器の、錬成について、今度教えてもらう約束をしていますので。それが終わってから考えてもいいですか?」
「んん〜、護衛する側としてはヘタに武器なんか持たれるほうがよっぽどメンドクセェんだが……小僧なら大丈夫か? わかった、それでいい」
「ありがとうございます。……今度は、直接、インセクトと対面するかもしれない、と」
普通に怖いけど、自力で素材を集めるやり方は俺が始めた物語だからな〜。まずは父ロジャーに相談して、止められたらそこで終わり。渋るようなら交渉しよう。
どうやらシェーネスさんは俺が父ロジャーを説得できると信じてくれているみたいだし、やっぱり男なら美人のお姉さんの期待には応えられないと面目が立たないぜ! でもやっぱり怖ェよぉ……ッ!