リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる?   作:はめるん用

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作って学ぼ!

 スキルの名前が見えても使えるワケじゃない、この仕様に対してガチめに感謝する日が来るとは思わなかった……。

 アンロックの条件すら不明だが、名前からして物騒なスキルは後回しでいいだろう。いざというときに備えて前提条件と強化ポイントはどうにかしておきたいとは思うが。

 

 

 ここは切り札になりそうなスキルも存在する、という安心感だけありがたく頂戴しておこう。いまは雲を掴むような話を追い掛けるより泥を掴んで堅実に歩みを進めるべきだ。具体的には換気装置を作って砂鉄集めを安定させよう。

 属性という概念があることは知っているが、属性の扱い方はまだ教わっていないので、今回は物理的に問題を解決する必要がある。なんて言うと大変そうに聞こえるかもしれないが、板を繋いでダクトを作り、出口側に扇風機のようなプロペラを設置すれば大丈夫だろう。

 

 

「実のところ、ロジャー様からは酸欠のリスクも含めて監視を命じられていたのですが……我々が注意するまでもなく、コレオ様は小まめに地上に戻っていましたので。なにか気付く切っ掛けがあったのでしょうか?」

 

「え〜と、その。なんと言うべきか……ま、魔力の流れ? が不自然というか、なんとなく空気が澱んでいるような気がしなくもないかな〜ぐらいの違和感が、ちょっと」

 

「作業中にそんなことまで……さすがです兄上! 僕では空気の流れや魔力の変化にはぜんぜん気づけませんでした!」

 

「あはは……」

 

 

 前世の知識で俺ツエーできる人って、実はすげぇタフネスハートの持ち主なのでは? 錬金術というファンタジー学問だからと油断していると誤魔化せなくて追い詰められそうになるんだが? どこまでギフテッドを言い訳にできるかな……切り札を見せるなら奥の手を用意しろって、それ一番言われてるから。

 

 

「それじゃあルカニ、プロペラのクラフトを任せるよ。いろいろ試してみて、一番使いやすそうな形を探るところから始めよう」

 

「はい!」

 

「それじゃあ俺は軸と……魔力駆動はまだ教えてもらってないから、手回しで動かすための機構を考える必要があるな……」

 

 

 小学生のころにストローを使った工作で回転の向きを変えるヤツは作ったことはあるが……蛇腹で柔らかい筒を作るって、さすがに難易度高いよな? やっぱりギアのようなヤツを組み合わせて動かす仕組みを考えるほうが現実的か。

 軸受けになる……シャフト? いや、ミニ四駆知識的にシャフトは棒の方だわ。なんだっけ、ベアリングだっけ? とにかく軸の動きを安定させるための輪っかも滑らかに仕上げないと動きが悪くなる。いまの俺に使える技法だと……あ、弾丸のアレでいいじゃん。

 

 泥団子だって丁寧にこねればツルツルとピカピカになる。皿や器の焼き物だって原材料は土なんだ、魔力石の粉末と一緒にガッチガチに圧縮して……イメージするのは鏡面仕上げ。思い出せ、俺! なんか学校とかに置いてある、なんか文字が掘られたテカテカの石碑みたいなヤツを! 

 

 

「……意外と、やればできるもんだな。あとはコイツを小型化できれば、いや、少しぐらい太めに作ったほうが安定感があるか? パーツが小さいとメンテナンスも細かくて大変になるかもしれないし」

 

「ならプロペラも大きく作らないとダメですね! あ、でもそうするとダクトも大きく組み立てないといけないし……ただでさえ作業をするスペースが小さいのに」

 

「そこはいくらでも工夫できるから心配いらないよ。プロペラが小さくても縦に何個も並べれば風は動くし、スペースだって横に掘り進めればいいだけだし。もちろん土や石が崩れてこないように補強する必要があるけどね」

 

「木材もたくさん取ってきたから材料には困りませんね!」

 

「ダメだよルカニ。木材は育つまで時間がかかるんだから、なるべく土ブロックや石の板で節約しないと。忘れるな、俺たち錬金術士は自然の恵みが無ければ戦えない。人間が自然を従えてる、なんて思わないように気をつけないと」

 

「……ッ!! はいッ! 兄上のお言葉、深く胸に刻み込んで生涯忘れないようにしますッ! 僕たちは自然に生かされている……いろんなモノを、自由にクラフトできるからこそ自惚れてはいけない……考えてみれば当たり前のことなのに、考えようともしませんでした。さすが兄上、これが本物のギフテッド……ッ!!」

 

 

 いえ、ただのカンニング野郎です。

 

 ルカニの俺に対する評価バグってない? 正しい価値観を持ってるのはどちらかと言えばルカニのほうだし、理想としてはルカニがホーエンハイム家の当主を受け継いで俺がサポートに回るほうがいいと思うんだけど。

 いっそのこと後継者のことも父ロジャーに相談してみようか? 俺の価値観や考え方が一般常識から離れていることは知っているんだから、下手な建前を並べて誤解を与えるようなことさえしなければ話ぐらいは聞いてもらえるんじゃなかろうか?

 

 

「そこまで深刻に考えなくても大丈夫だって。さぁ、また試行錯誤を楽しもう。壁の途中にダクトを固定する方法も考えないといけないからな、場合によっては足場の組み直しも必要だぞ?」

 

「望むところです! 2年かけてここまで掘ったんですから、それぐらいの作業なんてなんとでもなりますよ!」

 

 

 う〜ん、頼もしい! 

 

 もしかしてルカニも価値観バグり始めてないよね? いや、これは弟から見たら兄貴がやたら大きく見えるとかそういう錯覚的な話に違いない。大丈夫、天使様がいる世界なんだから信じるものは救われるって!

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