リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる? 作:はめるん用
自我を取り戻してから改めて歩く屋敷の中、やはり3歳児の視点だとなにもかもがデカくてそれだけでも面白い。
そして錬金術の存在、そしてフォースアーマーという未来的な要素。そういうモノがあるならば……と期待していた通り、衛生管理の部分は令和の日本と比べても劣るような部分は無いのは本当に助かる。
パタパタと埃をはたき落としたところを吸い込んでいく掃除機。しかも電気駆動ではなく魔力駆動なので音も静か。そしてなによりも────方向性が違っていても文明レベルが似通っているということは風呂やトイレも同じレベルで清潔ってことさ! ありがてぇ……ありがてぇ……ッ!
しかし、なんつーか……なんだ。
いちいちお辞儀されんの恥ずいなコレ。
あくまで立場が偉いのであって俺自身はなにも貴族としての責任を果たせていないのに、当たり前のように執事やメイドが頭を下げてくるの普通に気まずいんですけど? うーん、我ながら生まれ変わっても小市民な根性は据え置きなのね。
これも頑張って慣れないとなぁ。この先どうなるかはわからないけれど、いまは領主の長男である事実はそうなのだ。俺のちょっとした言動で誰かの生活がガラッと変わるかもしれないからね、威張り散らかすのは論外としても堂々と歩くぐらいはしないとね。
で。
お庭に出たんだけれど。
「コレオ坊ちゃま、少しだけお待ちくださいね。どれ……ふむ、このあたりが坊ちゃまの手には丁度いいか……」
ロープで束ねられた枝の塊をわざわざバラしてくれるサムソン爺さんの姿を見て思ったよ。そりゃ庭師なんだから庭にゴミが落ちてりゃ拾って集めて片付けるわな。だってそれが仕事なんだもん。つまり俺はサムソン爺さんの仕事の邪魔をしたってコト。いや、ゴメン。そこまで気ぃ回らなかったわ……。
ちょっと予定変更しないとダメか? 小枝や小石なんていくらでも拾えるし、初期のスキルなんて簡単にアンロックできるだろうとか簡単に考えていたけれど、まさかここで貴族スタートが足枷になるとは。つーかよく見たら小石も一斗缶みたいなヤツに集められてんじゃん。なんで? いや、錬金術の素材になるのか。
……いや、諦めるのはまだ早い。勝手に邪魔をするのがダメなのであって、勝手なことさえしなければ許される。なぜなら俺は3歳児、ひと言「ちょーだい」って言えばいい。
FAで運用する武装を触らせてくれ、なんて要求なら断られても仕方ないが、小枝や小石なら簡単に許してくれるハズ。だからサムソン爺さんもわざわざ束ねた枝を解いてくれてるんだし。
「さぁ、コレオ坊ちゃま。こちらをどうぞ。お好きなものを、お好きなだけお使いください」
「ん。ありがと」
ドサクサに紛れて何本かインベントリに収納するとして、錬成陣という名のお絵かきはしっかり楽しむことにしよう。感覚は前世の大人のままだけど、現実に動かせるのは3歳児の身体能力。食事もフォークをグッと握り締めて食べなきゃならんレベルだし、早めに指の使い方だけでも改善したいところだ。
取り敢えず、なに描こう?
ここは素直に簡単なヤツを……。
「おや、これは」
「かあさま」
「おやおや、サーベルを掲げる勇ましい姿がよく描けておりますなぁ」
「ふぇんさー」
「えぇ、そうですよ。メルティナ奥様が扱うFAはフェンサーフレームと言って接近戦が得意な機体です。コレオ坊ちゃまは物覚えがよろしくて優秀で御座いますなぁ」
サムソン爺さんは褒めて伸ばすタイプかな? だったら見習いのアラン君にも少しは手心ってヤツを考えてもいいと思うんだけど。貴族の、それも領主の屋敷で庭師やるなら厳しく接しないとダメなのかもしれんけどさぁ……記憶の中にある情報だと、怒鳴りはしなくても拳骨が飛んでくるのはぇーんだよなぁこの爺さん。
しかし出来上がった絵のなんの簡単なことよ。一応、できる範囲で努力はしたが……髪の毛でどうにか女性を表現した棒人間に、細やかな創意工夫として刀身の幅広さを表現した簡素なサーベル。絵心が無いのは別にいいとして、こんな絵を描くだけでもちょっと大変だった。やっぱりステータスツリーも少しは鍛えたほうがいいか? 悩ましいところだな。
ま、そこは追々ね、考えよう。まずは自我と身体を馴染ませること、そのためのお絵描きだからね。ついでに小石も何個か貰っておこうかな。父親の真似をして錬金術の練習するって言えばたぶん大丈夫だろ。まだまだゴッコ遊びのレベル、危険は無いって知ってるだろうし。