リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる? 作:はめるん用
「初めましてコレオ様。ブラヴァツキー家……いえ、失礼しました。ブラヴァツキー領より、本日からホーエンハイム家で働かせていただくことになりましたリリーと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「マリーネだ! よろしく! コレオッ! ────あだッ?!」
「貴女だけ、いますぐ、帰りますか?」
「ご、ごめんリリー。つい……んんッ、失礼しました。マリーネと申します。えーと、今日からよろしくお願いします!」
「ハハ……コレオ・ホーエンハイムです。よろしくね」
すげー、本物の双子だ。
よく似てる、ぐらいの兄弟とかは見たことあるけど、髪型以外コピペ並みに同じ顔してるレベルの双子とか生まれて初めて見たわ。マンガなら「どっちが妹かわかりませんね」「トーンが貼ってあるほうが妹でしょ」みたいな会話されるぐらいそっくりさん。
俺もついに専属メイドのいる生活が! 貴族最高! ……なんて、テンション上げて喜べるヤツって余程の器の持ち主か余程の楽天家のどっちかなんじゃなかろうか。
常に周囲で世話をされるほうが鬱陶しく思ってることを察してくれている屋敷の人たちはともかく、初対面の双子ちゃんは彼女たちなりにマナーとか常識に則って行動せにゃならんワケで。
「コレオ様。今後、なにかご用命の際には、まずはこのふたりにお申し付けください」
「わかったよシーマ。それじゃあ早速で悪いんだけど、お茶の用意をお願いしようかな。菓子類は無ければ無いでいいから」
「かしこまりました」
「かしこまりました!」
「……第一印象としては仕方なく仕事してる、って雰囲気じゃなかったね。緊張はしているみたいだったけれど」
「コレオ様が確認したいのは別のことでは?」
「さすがはシーマ、お見通しだね。確認というか……私、もうすぐ8歳になるじゃないですか」
「そうですね。月日が経つのは早いものです」
「で、あの子たち……リリーと、マリーネ。彼女たちも同世代で。だけど2年の行儀見習いが終わったら、あのふたりは本格的に戦闘訓練が始まるんだな〜、なんて思って」
「訓練の前に実戦の空気に触れさせることを、コレオ様はあまり好ましく思ってはいらっしゃらないのですか?」
「それもある。少しね。私が口出しすることじゃないけど」
「なるほど。では気になることは別にある、と」
「常識外れの私の感覚からすると、錬金術士に比べてパイロットの扱いが低いように感じる。男が貴重なワケでも、錬金術士が貴重なワケでもないのに。役割分担といえばそれまでだけど、今日まで平和に過ごしていたから……インセクトの脅威を、正しく知らないからなんだろうけれど」
「理由はいろいろあります。例えば、慣れないうちはFAは展開しているだけでも魔力を消費し続けますので、なるべく早い時期から身体を馴染ませておかなければ訓練そのものが遅れてしまいます」
必要だからやる。
理屈はわかる。
俺だって錬金術士として必要になるから、と大義名分を引っ提げて好き勝手やっている。なら国家のため、人々をインセクトから護るために必要だから、パイロット適性のある女の子は子どものうちからFAの扱いに慣れさせましょうって考え方を否定してはいけない。
だけど人間なんて自分勝手なもので、大人の傭兵たちが戦うことには心配なんて欠片も感じていなかったのに、目の前で子どもが戦うための準備期間に入ったと教えられるとこう……なんだろうな? 違和感でもなければ不快感っていうほど善人のフリがしたいって話でもないんだけれど。
「それで宜しいかと」
「え?」
「コレオ様はコレオ様の感性を大切になさってください。フォルティス王国だけでも錬金術士は大勢います。全員が同じ価値観である必要はないかと存じます」
「そんなものかな?」
「はい。だからこそランスロット様も今回の決定をなさったのですから」
「ありがとうシーマ。ところで……俺って、そんなにわかりやすい?」
「いいえ? ただ、コレオ様はご自分の価値観が独特であることを自覚なさっておられますから。なので、あぁ、また常識と知識と価値観の擦り合せで考えごとしているな〜ぐらいには察せます」
「ならシーマ。次に俺は」
「あのふたりの前では気をつけたほうが良いのか、とおっしゃいます。はい、いいえコレオ様。貴方様は通常通りで問題ありません。メイドは仕えるべき主人に合わせて働くものです。主人に気遣わせたのでは従者として失格としか」
「それもそうか。わかった、俺としても、私としても、いつも通りに生活するとしよう。でもなにかあったらフォローはよろしくね?」
「仰せのままに」
ようやくヒロイン候補になりそうな女の子の登場です。素材集めや稼ぎプレイが楽しくてヒロインとの触れ合いが後回しになる、これも人のサガか……。