リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる? 作:はめるん用
スキルツリーの1歩目。
それは全体から見ればとても小さな小さな1歩目だが、プレイヤーにとっては大きく、そして、豊かな歓びに満ちた1歩目である。
選ぶのは、枝のインベントリ容量増加。いまはレベル0で所持上限は5本までだが、これを最大のレベル5まで強化することで10本まで収納して持ち歩けるようになる。
たった10本。だけど、ここから全てが始まる。えっちらおっちら両手で枝を抱えて歩いている姿をメイドたちに微笑ましい視線で見守られていた恥ずかしさも、スキル解放の必要経費としては安いものだ。
枝、ひとつ。
レベル1、インベントリ容量は“6”に。
枝、ひとつ。
レベル2、インベントリ容量は“7”に。
枝、ふたつ。
レベル3、インベントリ容量は“8”に。
枝、ふたつ。
レベル4、インベントリ容量は“9”に。
最後、枝みっつ。
レベルは最大の5、容量が“10”へ。
そして。
「……ひろがった」
この手のスキルツリーはインターフェイスにある程度のパターンがある。
前提スキルを獲得するまで先がわからないパターン。
詳細は不明だがアイコンだけは見えているパターン。
スキル名だけは確認することができるパターン。
最初から細かな解放条件も含めて確認可能なパターン。
俺が使えるスキルツリーは3つ目のパターン。初めから全体を見渡すことができていた。だから、最初からアンロックされていた枝のインベントリ容量から派生しているスキルのことも知っていた。
【簡素な木の棒】
【粗末な繊維】
【丸太用インベントリ:容量5】
【枝用インベントリ拡張】
まだまだ呼称がわかりやすく、名前から効果は想像できるスキルたち。しかし、この手のシステムで遊んだことがあるゲーマーならば先が見えないままだったとしても察するだろう。初期のクラフト素材として簡素な木の棒があるのなら、
そもそも最初から見えてるしな、全部。前提条件となるスキルはもちろん集めなきゃいけないだろうけど、そこに“ある”ことを知っているというのもまたモチベーションに繋がるものだ。
この素材は開発ツリーにあったアレに使うのかな? なんて想像するだけでもワクワクが止まらねぇ! それはそれとして【聖エルモの灯火】とか名前見ても効果はもちろん前提条件すらサッパリ想像できんヤツとかも男の子は好きなんだけどね! マジでなにこれ? 名前の雰囲気からしてアンデッド特攻とか?
とにかく、だ。
スキルの広がりを、いま、俺は身体の内側で感じている。中心となるスキルから、まるでランタンに火を灯したかのように明るいエリアが広がって、アイコンと名前しか見えなかったスキルたちの詳細を知る権利を得て────獲得する権利を、手に入れた。
…………ふふ。
ははは。
あはははは。
あは、あははッ!
だぁ〜っはっはっはっはッ!!!!
やべぇ、こりゃサムソン爺さんの前でスキル取らなくて正解だったわ。画面の前でどこから手を付けようかってニヤニヤしてんのとはワケが違う、自分自身の可能性の広がりを直に感じてんのにポーカーフェイスなんて出来るワケないだろこんなもんはよォッ!
あぁ、でも。この手のヤツの定番というか宿命というか、一生懸命この辺のスキル育てても開発系の技術レベルが高まるにつれて出番は無くなっていくんだろうなぁ。そんで資材が余ってるからって雑な理由で適当にレベルアップして、結局後から要求されて集めなおすやぁ〜つ♪
悲しくも文明の発展は諸行無常なり。弓矢からクロスボウにランクアップして大喜びしてもハンドガンが作れるようになれば御蔵入りは免れない。
もっとも、ここはファンタジーも溢れている世界。クロスボウにも魔法的な効果を付与することで銃器にも負けない活躍をさせられるかもしれないけど。それもまたロマンよなぁ……。
つーか、アレだな。棒と繊維がクラフトできるようになって、改めてスキルを眺めてみて思ったけど……スキルツリーと呼んではいたが、これはどっちかって言うとスキルツリーという大枠の中にある資材カテゴリーとか素材ロードマップって呼ぶほうが正しいかもしれん。
いやロードマップは違うか。決められたゴールに向かうまでの道筋をわかりやすくしたヤツだし、スキルツリーとは意味合いが違うもんな。つまり今日からコレは素材ツリー。はい決定! うんうん、やはりテンションおかしいな俺。今日はもう大人しく寝て、素材の錬成は明日また気分が落ち着いてから試すことにしよう。