インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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貴族と王族の危険な雑談とそれに巻き込まれる一般人。

 っぱ日本人の癒しといえば温泉よ。

 

 火山が無くても地中深くに火属性が宿る巨大な魔力石があれば温泉を楽しめるご都合主義異世界バンザイ!

 しかし天然資源が人間の都合にだけ合わせてくれるはずもなく、魔力のバランスが悪い土地は作物が育たないどころか人間が立ち入ることができないレベルで危険だったりもするのだとか。

 

 順番として正しくは、人間の生活圏に都合の良い資源があるのではない。資源の豊富な土地を求め、先人たちが諦めずに開拓を続けてくれたからこそいまがある。

 

 

「でも意外でした。首都なら蒸し風呂だって普通にあるものだとばかり」

 

「いや〜、あるにはあ〜るんじゃない? ただホラ、空間が限定的だ〜とね、護衛のお姉さん方々がた〜いへんなワケよ〜」

 

「そうでしたか。王族って想像より不便な上に想像通り迷惑な存在なんですね」

 

「だっはっは! コレオちゃんってば、言ってく〜れるじゃな〜いの〜! ホラ、せっかく知らんぷりしてくれてたほ〜かのお客さんたち、ギョッとした顔でコレオちゃんのこと見〜ちゃってるぜ?」

 

「コレオ・ホーエンハイムの評価と監視がお仕事なんでしょう? なら普段の私だけでなく、普段の俺のことも見てもらわないと」

 

 

 いや、常連さんたちには本当に済まないと思ってるんだって。本当だよ? いつも通り日々の疲れを癒しにきたはずが、何故か領主の息子がやんごとなき御身分のオッサンを連れてきたんだからそら驚くよね。わかっててやってるんだけど。

 

 

「こ〜の感じだと、領地の民衆は……コレオちゃんがギフテッドだ〜ってこと、結構素直に受け入れちゃってるみ〜たいな?」

 

「錬金術の訓練のため、許された範囲で色々やってますからね。正体を隠してボランティアのゴミ拾いに参加したりとか」

 

「ゴミ拾い? な〜るほど、領地貴族の息子として、領民たちの生活を」

 

「いえ。タダで使えるクラフト素材になるので」

 

「お、おぅ……? え? ホーエンハイム領って別に、財政難とかじゃな〜いよね?」

 

「自力で集められる素材は自分で集めてみようかと思いまして。だから、適当なアリの巣に鉄鉱石を探しに行く予定だったんですがね」

 

「ふ〜ん? そういう……いや、まだ理由としては弱いか……」

 

 

 もしも〜し? 飄々とした演技、忘れてますよ〜? 

 

 だろうな、とは思っていたが、本来は真面目な性格の持ち主なのだろう。それはそれとして演技も楽しんでいるのだろうが、王族として国益のためになる選択を考えることが最優先になっちゃうの、カワイイね♪ 

 

 

「それはギフテッド判定のために巣の調査が採用されたことについて、の話でしょうか?」

 

「そうそう、そ〜れよ〜。普通に考えてよ〜? あ〜りえないワケよ〜。そりゃ、防衛都市の外側じゃな〜いから少しは安全だ〜としてもよ〜? 地下深くにゃ別のインセクトが住み着いちゃ〜ってるかもしれないって〜のにさ?」

 

「むしろ、そのほうが俺としては好都合です」

 

「へぇ……。そりゃまた、な〜んで?」

 

「逃げる口実になるので。調査として情報を持ち帰ればフォルティス王国の利益になりますし、その上で敗走すれば当面は嫌がらせも起きないと期待できます」

 

「け〜どよ? それだとコレオちゃんの評判、ガッツリ下がっちゃうぜ〜? そ〜こは気にしなくてい〜のかよ」

 

「インセクトに対して俺はギフテッドだぞお辞儀をしろと宣言すれば逃げ帰ってくれるなら、いまの俺にも名誉は価値があるのかもしれませんね」

 

「ハハッ! いいね〜、その考え。オレ様も嫌いじゃな〜いぜ〜。そっかそっか、コレオちゃんがそ〜いう考えなら……最悪の流れだけは防げるか〜もな〜」

 

「その最悪の流れとは、自称ギフテッドが、自分たちも巣の調査を……いえ、巣の攻略をさせろと言い出して、静かにしていたインセクトまで刺激して国内に引き込む、みたいなシナリオとかですか?」

 

 

 アシナガバチが偵察にきたとき、トルメンタさんは味方を殺すことになっても手を出すなと言っていた。たぶんアレは比喩表現ではなく本気でそう言っていたと思う。

 双眼鏡越しに目が合っただけの俺でもそう感じたぐらいだ、実際にインセクトと交戦したことのあるパイロットにしてみれば……興奮状態にないインセクトまで叩き起こすような藪蛇なんて冗談じゃないだろう。

 

 だから、俺は失敗しておく必要があったんですね。もちろん巣に侵入して調査したという事実は事実なので、自分なら成功できます! って立候補してくるアホが出てくるのは防げない。

 それでも成功して戦果を上げてしまったときよりは対抗心も抑えられるはず。イチかゼロだけで考える必要はない、ゼロに近づけることができるなら意味はある。人類側が勝手に内側だから安全だと思っていたところでインセクト側には関係ない。

 

 

「もうコレオちゃんはギフテッド! 決定! い〜まからおじさんはお仕事がは〜じまるまで観光に切り替えま〜す! オレ様もうホーエンハイム領に寝床移しちゃおうっかな〜? ロジャーに頼めばワンチャン……」

 

「王族が常に近くにいるとかクッソ迷惑なんで止めてください」

 

「な〜んだよ〜、オレ様とコレオちゃんは友だちじゃな〜いの〜。それに……今度の、任務。調査隊の隊長って、だ〜れになると思う〜? 法務貴族たちにしてみればよ? 外交を担当する立場にしてみりゃホレ、我が国では子どもを旗頭にインセクトと戦闘したりしちゃってま〜す、な〜んて言えねぇ〜よな〜?」

 

「それは……言えないでしょうね、そりゃあ……」

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