インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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作る喜びを知りやがって……! となった当日の話。

 グッドモーニング世界! 

 

 クラフトスキルを手に入れたチート転生3歳児、コレオ・ホーエンハイムとは俺のことだ! 今日は集めた木の枝を簡素な木の棒に勝手に改造しちゃうよ。俺は天才じゃないけどチート転生者だからね。

 ちなみにテンションを誤魔化すことが難しいことは自覚していたので、冷静で的確な判断ができる俺は両親には正直に「木の枝と石で錬金術の練習をする」って宣言しておいた。それを聞いて母親のメルティナは弟のルカニを抱いたままニコニコしていたし、父親のロジャーは「そうか」とひと言クールに呟くだけでした。

 

 これも日頃の行いの賜物ってヤツよ。自我を取り戻したのが最近ってのもあるけれど、チートのお披露目を自重していたおかげでゴッコ遊びであることを疑われずに済んでるってスンポーだぜ。

 

 

 そんなワケで今日もサムソン爺さんに素材を分けてもらい、悪気は無いのだろうけど若干イラッとくる薄笑いのアラン君に見送られて部屋まで戻ってきたのだ! 

 

 

 まずはインベントリに木の枝を10本収納して。

 

 素材ツリーから簡素な木の棒を選択してアンロック。

 

 

 ほんで。

 

 

「きのえだ、にほん。ぼう、ひとつ。へんかん、れんせい……」

 

 

 チュートリアルは無いけれど、チートの恩恵かクラフトのやり方は感覚的に理解できている。大事なのは自分が“何を求めているのか”を明確にすること。こういうことが出来るようになる、こういうアイテムが欲しいと念じることだ。

 そして慎重な俺はクラフトの成功率を上げるため、もう一度スキルを確認するワケさ! え〜と、簡素な木の棒……もっとも初歩的な錬金素材のひとつ。使い捨てを前提とした道具の作成するには充分な強度はある、と。うん、いかにも木の棒って感じの木の棒の説明だな。

 

 ま、いいや。

 

 勿体ぶるようなモンでもないし、パパっと錬成しよう。

 

 記憶の中から映像を探し出せば父ロジャーが錬成する姿もそこにある。素材に手をかざせば魔法陣のようなモノが出現し、分解された素材が目的のアイテムに組み替えられていく様子がハッキリと思い出せる。

 なにが素晴らしいって、俺がチートスキルで錬成しても同じようなメカニズムでアイテムが生成されるので変な疑いを持たれないことなんだよね〜。よくある「えぇッ!? 詠唱無しで魔法をッ!?」みたいな展開は心配しなくていいってことさ〜。

 

 それはそれとして錬金術はまだ基礎の基礎すら学んでいないので執事さんやメイドさんの乱入には気をつけないとな。ノックも無しにいきなり部屋に入ってくることはないだろうけど、夢中になってノックに気づかなかったら意味がないし。

 

 

 ドア確認。

 

 テーブルを確認。

 

 もう一度、ドア確認。

 

 ヨシッ! 

 

 

「くらふと! ……おぉ〜」

 

 

 できた。

 

 本当に、ただの木の棒だけど……表面は目の細かいペーパーで処理したかのようにスベスベで、工業製品みたいに真っ直ぐで綺麗な木の棒が簡単にできた。

 

 良い。

 

 実に、良い。

 

 ファンタジー世界に生まれ変わったことを、今日この瞬間ほど強く実感したことはないな。きっと、いや、確実に。この感動もこれから簡単に上書きされていくのかもしれない。それでも、初めて不思議な力を自分で使ったという事実はいまだけのモノだ。大切に噛み締めようじゃないか。

 

 せっかくだからニオイも嗅いでおこう。

 

 スンスン……うん、ホームセンターのニオイだな! コイツは上等な簡素な木の棒だぜ!

 

 それで、だ。開発ツリーのほうに変化を感じたので確認してみたところ、スキルをアンロックするために必要なポイントが加算されているじゃありませんか。コレあれか、初めて錬成したことによる実績ボーナスみたいなヤツか。なんとなくそんな気がする。

 それじゃあ、さっそく【基本的な木製道具】をアンロックするとしよう。これでコップ、お皿、スプーンやフォークといった日用品がクラフトできるようになる。貴族スタートの俺には必要無いものばかりだけれど、開発ポイントを獲得するために何度も錬成と分解を繰り返すことになるだろう。

 

 

 …………。

 

 粗末な繊維もアンロックすれば【基本的な木製武器】の条件を満たせるっぽいな…………。

 

 

 いや、

 

 うん……。

 

 いや、

 

 う〜ん……。

 

 

 ないな、うん。

 

 

 インベントリに収納しておけば見つかる心配はないが、人間とは手に入れた力を試さずにはいられない生き物だと歴史が証明している。だから俺も父ロジャーから錬金術の手ほどきを受けるまで我慢できずにチートスキルでクラフトを始めているじゃないか。

 それに武器をクラフトしたところで3歳児の身体じゃまず間違いなく扱えないだろうし。こん棒ひとつ満足に振り回せない身体能力じゃ宝の持ち腐れもいいところだ。まずは素材ツリーの解放に集中することにしよう。石材系のほうも試してみたいしね!

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