インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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水を得た魚の如く。

 さて、ゴミ山という名の宝物庫を任されたワケだが。自前の技術的にもチート能力のスキルツリー的にもいきなり最強兵器を量産して無双できるような状況ではない。冷静に優先順位を振り分ける必要がある。

 

 まず確認。

 

 

「私の……あぁ、いや。俺の寝床は用意されているのか?」

 

「おや。はい、コレオ様。もちろんご用意しています」

 

「ちなみに、ここから遠い?」

 

「は? え、えぇ……領主様のお屋敷にお部屋を用意していますので、輸送車ではありますが移動も」

 

「それ、キャンセルできる?」

 

「キャン……はい?」

 

「いやね? まずはゴミを分解して錬成素材として再度クラフトするところから始めないとダメなんだよ。となると、いちいち移動するのも面倒だからさ。許可さえ出るならここにもう小屋でも建てて住み込みで働こうかなって」

 

「え、あ、その……わたしの判断では、それに、領主様も1度、食事でもしながら顔合わせをと……」

 

「挨拶は俺の能力を示してからでもいいでしょ。せっかく時間を使って顔見せしたのに、タダの期待外れの子どもだったら申し訳ないと思うよね当然。な!」

 

「え、いや、あの、ですから……わたしにはその判断をですね……」

 

「オーケイ、わかった。じゃあひとつだけ教えて。ここに小屋建てたら怒られる可能性ってある?」

 

「それは……おそらくは、問題ない、とは思います。書類上は領主様の管理下にありますが、廃棄場ですから……えぇと、まぁ、市民も自由に出入りしていますので……邪魔にならない位置取り、なら……たぶん」

 

「つまり、自己責任ってコト?」

 

「自己せ……え、えぇ。はい……そう、なり……ます……?」

 

「よっしゃ遠慮なく豆腐建築やったろ。どうせなら入り口の近くに作ったほうが搬入される資源をそのまま受け取れるな……人がここにいて作業しているって、わかりやすく見せるのは安全管理の点でも必要なことだし……あ、属性付与で作業灯も作れんじゃね? 工場の影響かなんとなく薄暗いし、赤とかオレンジなら全然目立つから警告として機能するだろ。いや、火属性は引火の可能性があるからダメだな……雷、も静電気があるからダメ。となると光あるか? 砂からガラス素材をクラフトすればそれっぽいのは作れるだろ。うんうん、まずは仕事場の環境を整えるのがモチベーションに繋がるってそれ一番言われてるから。そういえばここは廃棄場ってことは処理は別枠なんだろうし圧縮した塊とかもあるの?」

 

「…………。……え? あ、も、申し訳ありません! なにか、ご質問でしたか?」

 

「ゴミの処理。埋め立て? 焼却?」

 

「申し訳ありません。わたしはあくまでパイロットとしての任務がメインですので、詳しくは」

 

「ん、それもそうか。変なこと聞いて悪かったね」

 

「はぁ……。あ、いえ、大丈夫です」

 

 

 ゴミの行き先は不明、ということは俺の知らない間に資源がリアルタイムで消失するかもしれないというワケだ。ふざけやがって、ゴミを頼りに錬金術士やってる人間だっているんですよ! 

 だが焦ってはいけない。まずは基本、あらゆる武器や防具の礎となる鉄の時代を開拓しなければならないのだ。鉄素材を分解しても鉄鉱石には戻せないよな……いや、石材から鉄鉱石に直通のルートが開放されてたか。

 

 と、なるとインゴット系にクラフトしてインベントリ容量とクラフト効率の強化を進めてしまうのがいいな。武器系のバンドルを進めれば防衛戦に使えるような武器も作れるだろう。設置型のトーチカ? あれって塹壕とかって壁の名称だっけ? どっちでもいいか。

 

 よし。

 

 それじゃあさっそく……まずはいつものように土ブロックで土台を固めるか。まさかインベントリからいきなり木材を取り出すワケにもいかんし。

 枝の自動生成スキルをアンロックしておいた甲斐があるってもんだ。丸太への直通ルートから板をクラフトできるし、開発ツリーのバンドルには家具もあったからちょうどいい。

 

 圧縮されて地面が下がるからそれも考慮して、いや、雨避けの溝を作りながら土を集めて固めればいいんじゃね? なんならどさくさに紛れて石材で腰の高さぐらいまで壁にしちゃうか。木材に拘って寝床の確保が遅れるほうが作業効率も落ちるし。

 

 

 錬成陣、展開。

 

 クラフト、開始。

 

 

「…………。は? え、土……え? いや……は?」

 

 

 やはりホーエンハイム領とは土の質感が違う。工場の中でどんな作業が行われているのかはわからないが、排煙に含まれた魔力の影響は少なくないようだ。微量でも常に外部からの魔力干渉を受けていたからだろう、俺の錬成陣による魔力干渉に反発するような手応えがある。

 もしも俺が普通の錬金術士なら土ブロックひとつクラフトするのにも手こずっていたかもしれない。だが残念だったな、我は土木の錬金術士ぞ? 実験事故で汚染された土を何年も掘り返して鍛え上げた魔力と魔術を舐めてもらっては困る。この程度の変質に対応するなんて鼻毛を毟るよりも楽勝だぜ! 

 

 そう考えると実験事故ってそうとうアレなやらかしだったのでは? なんかFAで空飛ぶためのコアだかなんかをクラフトしようとしたんだっけ。そういえば錬金術の存在もあって文明レベル高いのに飛行船とか見たことないな。今度調べてみよう。

 

 

 などと雑念まみれでもハイ! 飾り気も工夫もない、かなり簡単なデザインだけど小屋のド・ダイ完成だ。

 テーブルクラフト用の錬成台は……いるか? いるか。これからやるクラフトは趣味じゃなくて仕事なんだし。開発ツリーのバンドル確認して基本的なヤツないか探そう。

 

 次は、壁を作るためにカモフラージュ用の素材を拾って、いや素材運びを楽にするリアカーみたいなのをクラフトするのが先か。

 車輪にシャフトに軸受けに、あ! ゴム素材とかあるかな? ないなら適当な素材を繊維状に分解して編み込んでタイヤにしないと。

 

 やることが……やることが多い……ッ!! 

 

 こりゃ開発ポイントもステ強化ポイントもどんどん経験値貯まっちゃうな〜大変だこりゃ! グヘヘヘ。

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