インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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だって労働後のメシは美味いから。

 仕事の基本は整理整頓だ。

 

 まずは目で見て判別できる範囲でスクラップを仕分けるところから。大げさな作業は要らない、ただアレはこっち、コレはそっち、手の届く範囲でひとまとめにする程度の大雑把な仕分け方で足りる。

 

 木材が多く含まれているモノを集める。

 

 鉄が多く含まれていそうなモノを集める。

 

 魔力を通して鉄以外の金属素材の割合が多いモノは少し離したところに積んでおく。

 

 それ以外にも銃器などの武器も分類しておこう。男でも使える普通の武器とFA用の武装のスクラップは中身を解析して俺自身の経験値にしたいところだ。知識は正しく学ぶほうが無駄がないけど、無駄な遠回りでも手探りで進んだ道に意味を持たせることはできる。

 

 っと、考え事してると延々と分別だけで時間が過ぎるな。日用品っぽい物はともかくFAの武装や装甲パーツは拾って眺めてなんだコレの時間が発生するからこのままだと日が暮れるどころじゃないぞ。優先順位、優先順位。  

 

 

 それじゃあ作るか。運搬用の道具。

 

 これは工事現場のアイドルでお馴染み一輪車をクラフトすることにしよう。

 

 開発ツリーからパーツ類のバンドル検索してる時間を怪しまれても困るし、銃身をクラフトしたときの応用でシャフトも軸受けも問題なく作れるのでサクッと自作しちゃおう。

 車輪はそのへんにひとつぐらい落ちてるだろうし、なければ鍋の蓋でもなんでも丸い円盤を改造すればいいだけ。本当はハンドクラフトで真円を作れればいいんだけど、それは当面の課題として後回しだ。

 

 

 それじゃあさっそく、レッツ貢献!

 

 ……じゃなかった。レッツ錬成! 

 

 

 シャフト、よし。軸受け、よし。足回り、よし。車輪よし。荷台、よし。停止するときの足、よし。持ち手、よし。鉄が剥き出しだと手の平が痛いので繊維マキマキ、よし! 

 

 こいつにスクラップを積んで……うん? もしかして、さきに素材にしたほうが片付けも楽なのでは? とりまリサイクル用に抽出するだけなら少しぐらい歪でも素材としては問題ないワケだし。簡単な分解と再構築なら魔力を浸透させるだけだからスキルに頼らなくていいし。

 イメージは……持ち運びとか考えると角材? 10センチ、いや結構デカいぞ10だと。どうせ錬成でネリネリできるし扱いやすさを考えるなら5センチぐらいにしよう。まずは木材からだな。金属はよくあるインゴット型であとからイメージを作り直すか。銅や銀も探してみたいし。

 

 スクラップの山全体に、霧吹きで馴染ませるような感覚で魔力を浸透させて……木材の反応だけを引き上げて……中間素材としてのクラフトだから、魔力を控え目にして密度を抑えて……。 

 

 

「うん、なかなか。土ブロックみたいに綺麗な四角形まであと一歩ってところか。それで? 香りのほうは……」

 

 

 スンスン。    

 

 う〜ん、ホームセンターはホームセンターでも金具とか工具の置いてるブースの匂いがする。やはりスキルで錬成した木材系のアイテムには精度で勝てないか。

 でもステータス強化は魔力回復力を優先して鍛えたいんだよな〜。素材の自動生成も強化されるし、早めに育てるほど恩恵がな〜。石材から鉄鉱石に行けるようになったからなおさらな〜。

 

 ま、そのへんは後回しでいいや。

 

 木材をピコペコ量産して〜、一輪車の荷台に重ねて〜、冷静に考えたら木材だけ抽出するならスクラップの山を分ける必要なかったことに気づいて〜。それぞれから木材だけ再錬成するならタダの二度手間じゃんアホか俺は。

 つまり魔力が馴染みにくい、木材と鉄材の含有量が少なめのスクラップだけ仕分けるようにすれば効率が良くなるな! じゃあもう最初からゴミ山を木材と鉄材だけ引っこ抜くようにして端っこからじっくり崩していけばいいだろ余計なこと考えなくても。

 

 最初に中間素材をクラフトして運んで、残ったやつを邪魔にならないよう別の場所に逃がす。これだな。

 

 

「土の地面にベタ置きは嫌だな……土ブロックの上に鉄板でもクラフトするか。それでも隙間がないと湿気とか吸いそうだし、溝も入れておこう。細かくイメージするの面倒だし、敷いてから爪で切り込みでも入れときゃいいだろ」

 

 

 ▲▼▲▼   

 

 

 ふむ。

 

 インベントリに物資を貯め込むのも気持ちいいが、こうして実物を目の前に積み上げるのも悪くない気分だ。

 特に粗鉄インゴット。1度インベントリを経由してスキルを使ってクラフトしたから仕上がりも上等。それが山積み……と呼ぶにはまだまだ慎ましいが、鉄は鉄である。

 

 むふー。

 

 さて、次は……。

 

 

「コレオ様。そろそろ昼食になさってはいかがでしょうか?」

 

「お昼? もうそんな時間か……って、サンドイッチ? わざわざ用意してくれたのか」

 

「このような場所で、とは思いましたが……この短時間でコレオ様に常識は通用しない、いえ、必要ないと理解しました。中身はムカデ肉のパティに酢漬けトマトと焼きリンゴを挟んだものです」

 

「おぉ、これが噂のムカデ肉か。実は気になっていたんだよね」

 

「はい。コレオ様ならそう仰るだろうなと思いました。本来であれば、外国からのお客様には決してお出ししないのですが。本来であれば、普通は良い顔をされないので」

 

「文化の理解は食事からだよ。一応名目としては行儀見習いだからね、テナクス戦闘国家の人々の暮らしに順応することも大事だろう? ……また警鐘か。本当に頻繁に来るんだな」

 

「防衛都市とはそういうモノだと思っていましたが、どうやらホーエンハイム領は違うようで」

 

「排煙に含まれた魔力に誘われて、も……たぶん理由のひとつだとは思うんだけど。あ、ピリ辛で美味いなコレ。スパイス……え? カレー粉?」

 

「おや? おやおや……フォルティス王国にカレーの文化は無いと聞いていましたが。知識として知っているだけでなく、味までご存知とは。本当に、コレオ様には常識が通用しないのですね」

 

 

 あ、やっべ。

 

 だってしょうがないじゃん。10年ぶりのカレー味なんだもん、反応するなってほうがムリだって。食べ物に罠を仕込むほうが卑怯だろ。

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