リソース管理や稼ぎプレイが嫌いなゲーマーいる? 作:はめるん用
グッドアフタヌーン世界……。
クラフトスキル以外は年相応の能力しか持たないチート転生3歳児、コレオ・ホーエンハイムとは俺のことだぁ……。粗末な繊維を紐の代わりに使おうとしたら、ぜんぜん力が入らなくて結べなかったよ……俺はチート転生者だけど3歳児だからね……。
誘惑がエグい。ステータス伸ばしてぇ。アンロックするための能力ポイントの獲得方法をいますぐにでも探しに行きたい。蝶々結びすら満足にできない身体だってことを改めて突き付けられたんだぜ? 誰だってそーなるに決まってる。
もちろん、俺は子どもだからやらないけどね。ステータスツリーにポイント割り振って身体能力ブーストしました、お陰様で大人も顔負けの動きができるようになりました、だけど肉体のほうは別にチートでもなんでもないので負荷に耐えられずボロボロになりました……なんてことになったら困るじゃん?
だから、今日は大人しくアリバイ工作のための木材工作をする必要があったんですね。
粗末な繊維の説明を確認したところ、細長い植物などを叩いて柔らかくしたものという普通のことしか書かれていなかったワケで。
それはつまり、錬金術とは関係なく誰でもクラフトできる代物ってコトなワケで。
それはつまり、部屋のテーブルの上に置きっぱなしにしても問題ないってワケで。
父親の真似をして錬金術の練習をする、と宣言したところで実際に部屋でなにをしているのかわからなければ心配するのが普通の反応。それが領主の長男であり跡取り候補のひとりならば尚のこと。
どうせどっかでガバやらかして大変なことになるのかもしれんけど、こうやって小細工できるところは積極的にやっていかないとね。いつか失敗することもあるだろう……は、いま頭を使うことをサボっても良い言い訳にはならんのだ。
▲▼▲▼
……よし。
グルグル巻きの上から縛れば案外ちゃんと────。
「コレオ様、ただいまよろしいでしょうか?」
おや、この声は侍従長か。
こりゃまた良いタイミングで来たもんだ。
「いいよー」
「失礼します。紅茶とクッキーのご用意が整いましたのでお呼びに参りました」
「シーマ、ありがとう」
「お褒めに預かり恐縮です。それではご案内いたし……あら? それは」
「さーべる」
「サーベル、でございますか?」
「とうさま、さーべるつくる。かあさま、さーべるつかう。れんきんじつ、さーべるつくった。とうさまといっしょ」
「……! なるほど、コレオ様は旦那様のお手伝いをして下さったのですね」
「みんな、まもる」
「えぇ、えぇ! ご立派なお心掛けでございます。きっと旦那様もお喜びに────コレオ様、そのサーベル、このシーマにお貸しいただけませんでしょうか?」
「……? いいよー」
「では、失礼して……ふむ……」
次にお前は「このサーベルを貰ってもいいか?」と言う。よくある親戚のおばちゃんとかがちっちゃい子の頑張りを褒めるためにクシャクシャの折り紙とかちょっと大げさに喜びながら貰うアレだろ? 領主の息子で雇い主の息子だもんな、そういう気遣いも必要になっちゃうよな〜。フフフ、大人になるってことは心が汚れていることを自覚することでもあるのさ。寂しい……。
「コレオ様。このサーベル、このシーマがお預かりしてもよろしいでしょうか?」
はいキター!
やっぱりね☆
いいだろう、そっちがその気なら遠慮しないぜ! くらえ、俺の気遣い返しをッ!
「いいよ。でも、やくそくする」
「約束、でございますか?」
「さーべる、つかいおわったら、にわにかえす」
「庭に……?」
「さーべる、れんせーした。でも、えだ、サムソンからもらった。サムソン、えだ、にわであつめた。だから、つかったら、にわにかえす。ちゃんと、にわ、ありがとうする」
「……なるほど。畏まりました。必ずやコレオ様の仰せの通り、このサーベルは庭に返却するとお約束します」
「ん!」
指切りの習慣があるのかわからないので、精一杯背伸びして手の平を差し出す。侍従長ほどの気遣いのベテランなら……!
「はい」
言質の代わりにハイタッチ〜。
これで気兼ねなくサーベル(仮)を処分できるだろう。いや、これだけ子どもの遊びに真面目に付き合ってくれるぐらいだからな……適当にポイ捨てするんじゃなくて、ちゃんと穴を掘って埋めるとか、そうじゃなきゃサムソン爺さんのところに持って行って丁寧にバラして再利用できるようにとかしてくれるかも?
がんばれサーベル(仮)、ありがとうサーベル(仮)。お前はクラフトして早々に俺のアリバイ工作という大役を果たしてくれた。どうか産まれた土に還り安らかに眠ってくれ。じゃ、今度こそ石材系のスキルツリーを弄るとしよっかな〜♪