個人的にロングレンジでのガンファイトといえば実弾とエネルギーをわおわお〜んと切り替えられる白銀の堕天使の武器なのだが、そんなオーパーツみたいなキャノンをいまの俺がクラフトするなんて夢のまた夢。
なのでググッと実現可能な規模にスケールダウン。某恐竜クライシス2作目の男主人公ミスターバーバリアンが愛用していた対戦車ライフルをイメージして盛りに盛って長さ2メートルほどのハンティングライフルが完成した。もちろん原型などない。
「おや、おやおや……。まるでFA用の武装のようですね。スクラップからのリサイクルでこれほどの武器をクラフトできるとは、さすがはギフテッド、ということなのでしょう」
「どうかな? カッパーインクだけは少し工夫したけれど、それなりの設備と技術があれば誰でも再現できると思う。ま、せっかく助手として開発を手伝ってくれることになったんだ、遠慮なく評価してくれると助かるよ」
「フフフッ、少々……緊張しますが。では、失礼します」
すげぇ。
普通に立ったまま構えてんの普通にすげぇ。
パイロットスーツによる身体能力の底上げがあるとはいえ、どう見ても前のほうに重心が偏りまくってるだろうに。やはり筋力、筋力こそが全てを解決する。
「3、2、1、発射。────これはこれは。風を貫く、いや、巻き込んで? ヘルメットが見事に粉砕してしまいましたね」
「バレルユニットを延長して風の魔法文字を斜めに捻じるように刻み込んだ。コマ遊び、したことあるかい? 回転させれば弾丸もより真っすぐ飛ぶんじゃないかと思ってさ」
「なるほど。コレオ様が優れているのは観察力と、それをこうして実用化するための発想力でしたか」
違います。
前世の記憶によるカンニングです。
現地の不思議パワーでゴリ押しするのもいいけれど、転生者としては少しぐらい知識チートやってみたいじゃん。それに限られた資源と技術で威力の底上げするにはこうした工夫が必要だったのも事実だし。
そのせいでハンティングライフルとしての原型は残らなかったけどね。マガジンユニットも改造しなけりゃならなかったし、これなら内部機構がブッ壊れる前提のインスタントライフル量産してマンパワーで対抗するほうが楽だなとか思っちゃったもん。
「あくまでわたしの感想でしかありませんが……良いと、思います。早速わたしの上官に相談を」
「必要ない。たったいま到着した」
「どうも、マーテルさん。先日ぶりですね」
「うむ。まさか昨日の今日でもう改良して撃てるようになっているとは。大したものだな、少年」
「隊長、本日はお休みだったはずでは……?」
「む? だから私服を着ているだろう? 下がパイロットスーツなのは、私も少年がクラフトする武器に興味があったからだ」
なんでドヤ顔?
コレオ、わかっちゃった! この人、マーテルさんは有能だけど地味にポンコツで部下に慕われてるタイプの隊長さんだ!
なんか断片的に手に入る情報がちょっと不穏だったりするけど、人材の質はガチだよな。戦闘国家を名乗ってるのは伊達じゃないってコトか。
「貸してみろ。少年、マガジンの容量は?」
「残り79発です」
「そうか。では、FAのコア無しでどの程度の耐久力か、試させてもらうとしよう。壊してしまったらスマンな」
お?
おおッ!?
うーん、豪快! 空に向かってガンガン連射し始めた。耐久テストですねわかります。たったいまそう言ってたからね。
マーテルさんの魔力に反応して、パイロットスーツの表面に魔法文字が浮かんでる。
本気で戦闘を想定して撃ってくれてるのはありがたい。本体はスキルでクラフトしたから心配ないけど、改造のために盛ったパーツは俺の自作だからな。丁寧な仕事はしたつもりだが……どうなるかな?
▲▼▲▼
「うむ、悪くない。それに10メートル級の小型ムカデなら充分に牽制できる威力だ。少年、これを量産することは可能か?」
「わかりません。プロトタイプですから、慣れるまでは時間が必要です。素材だけは目の前に大量にあるので心配無用ですが」
「そうか。では急ぐ必要はないので25丁、よろしく頼む。弾薬は予備も含めてひとり800ほどでな。候補生たちに使わせる。後方支援としてどこまで動けるか様子を見たい」
「ご注文、ありがとうごさいます。それで、お支払いのほうはどのようにしていただけるので?」
「む? そうか、出稼ぎの修業に来ているのだったな」
その設定、どこまで広まってんのや……?
迂闊なこと口走ったら大変なことならねぇ?
「わかった。フラメル様に相談して、性能に見合うだけの報酬を用意すると約束しよう。安心しろ少年。これは私の勘だが、フラメル様は必ずお前のことを気に入るだろう」
「それは……まぁ……気に入る、でしょうね……報酬は確実に支払われると思います……間違いなく……」
「正直なところ、今回の試作ライフルは本命ではないので報酬にはそこまで興味ないんですけどね。むしろデータ収集にご協力いただき感謝しています」
「む。気にするな。お互い様、というヤツだ。候補生たちにも訓練の成果を発揮する機会を与えたいと思っていた。厳しさだけでは人は育たん」
「では、候補生たちの不満が爆発する前に、できるだけ急ぎましょう。スティーリアさん、品質確認のお手伝い、お願いできますか?」
「えぇ、もちろん。わたしでよければ喜んで」
ちょっと予定とは違う流れになったけど、インセクト相手に効果を確かめられるなら願ってもない。今回のテストが上手くいけば……上手くいけば……なんだっけ?
…………。
…………。
うん?
よく考えたら、もうこの時点で信用を得たいって目的、ほぼ達成してね? 人間用の武器も、過剰火力を持たせてパイロットに使わせてたって判明したし。
いや、まぁ……FAパーツ関連の、今後の参考のためにね? スキルのアンロックを目指すのも大事だけど、俺自身の理解力とかも鍛えないと宝の持ち腐れになっちゃうから。意味はあるから。