受注から3日ほど。
「邪魔するぞ少年。少し手が空いたので様子見にきた。これは差し入れだ、疲れたときこそパンと肉を食え」
「どうも、ごちそうさまです」
「うむ。遠慮なく食べるといい。それで、作業のほうは順調に進みそうか?」
「いまのところは。とりあえず半分の12丁は完成して、スティーリアさんの試し撃ちで動作確認も終えています」
「そうか、半分の12丁が……12丁?」
「はい」
「それはつまり、1日あたり4丁作れるということか?」
「ええ」
「そうか……4丁か……」
微妙そうな顔してら。
ま、当然だな。
俺の試作ライフルは1マガジン80発。インスタントライフルが一丁20発なので、ここの数字だけで比較すれば4倍撃てる。
だがそこに生産性という考え方が加わるとどうだ? 俺が試作ライフルを一丁完成させている間に、インスタントライフルが4丁生産されたら時間あたりの成果は同じになってしまう。
相変わらず工場地帯からは魔力を含んだ排煙がモクモクと立ち上っている。アレの全てが武器工場ではないとはいえ、まさかインスタントライフルの生産が1日あたり16丁しかないってことは無いだろう。
そもそも俺の試作ライフルじゃ牽制にしかならないって言われてるから戦力としてカウントされないんだよね。
タワーディフェンスで足止め系の攻撃が有効なのは知っているけど、火力不足で数を減らせないと結局防衛ラインを突破されてゲームオーバーだ。
うん、これ候補生たち不満ホントに解消される?
指導をしている隊長さんが大丈夫だって言うなら大丈夫なんだろうけど、逆に言えば指導役の隊長さんにコレを使えと言われたら文句なんて言えるワケないのでして。
いや、逆に考えるだ。
文句を言われちゃってもいいさ、と。
使用感についての意見はガチで価値ある金言だ。なんせ自分では抱えることすら難しくて試し撃ちすらできない。パイロットの協力無くして良い武器は作れないんだ、むしろ歓迎するぐらいの気構えでどーんといこうや!
「予定変更だ、少年。完成している12丁を先に欲しい。候補生たちに実際に触らせてみたい」
「構いませんよ。できれば感想など返してもらえると嬉しいですね」
「む。わかった、使えそうな記録は全て残す。で、だ。訓練は使い回せば足りる。ペースは落として構わない、休息の時間だけは必ず確保しろ。いいな?」
「……? はぁ、それはもちろん。寝不足では良い仕事はできませんので」
急かされるどころか心配されてしまった。
子どもの特権だな。期間限定のサービスだ、ありがたく甘えておこう。
▲▼▲▼
と、いうワケで。
お言葉に甘えて休息を優先してスキルツリーを確認するぞー! おー!
とりま気になってたけど放置しっぱなしだったガラス系をイジってみよう。石材から魔力石にスキップできるようになってオートクラフトをガンガン回していたら、いつの間にか無色の砂がたんまり貯まっていた。こいつで属性ガラス繊維とやを作ってみようじゃないか!
属性で、ガラスで、繊維。これは使い道かなりあるんじゃないか? カッパーインクをアンロックしたことで簡単に属性付与ができるようになったいまだからこそ、この属性ガラス繊維で追い打ちをかけるのだ! ぶっちゃけイマイチ想像できないが、ひとつ作ってしまえばテキスト確認できるから指標にはなるでしょ。
さぁ、ネリネリすっぞ〜♪
休息? ちゃんと横になってるよ。インベントリ内部でクラフトするぶんには魔力も体力も消費しないんだから労働にはカウントされねぇンだわ。
材料は、無色の砂に、火属性魔力石に、変換石。……変換石? あ、なるほど。属性だからね。ふむふむ、使用する変換石でガラス繊維のレアリティも変化するのか。
ほなら最初は基礎変換石でクラフトすんべ。どうせいきなり高レアの素材作ったところで使いこなせないでしょ。新しいクラフトスキルを取ろうにも、開発ツリーのアンロックは必要素材を全部揃えろって言われるし。
さぁて、クラフト開始〜。
【☆1属性ガラス繊維】
生産性と耐久性に優れた基本的な魔力伝達素材。水道管や蛍光灯など人々の生活を支える道具の素材として世界中で重宝されている。☆1パイロットスーツのほか【火炎放射器】や【レーザーライフル】など属性武器のバレルユニットのクラフト素材としても利用可能。
火炎放射器にレーザーライフル?
火炎放射器にレーザーライフル……。
────ッ!
火炎放射器にッ!!
レーザーライフルッ!!
ありがとうマーテル隊長……本当に……。
本当に、ありがとう……。
それしか言う言葉が見つからない……。
こんなロマン要素を見逃すとか転生者として恥ずかしくないの? 俺は恥ずかしいです。ヤバかった、これ納品まで放置するとか1日遅れただけでもメッチャ後悔するヤツ〜ッ!
ゲームでもたまにやらかしてたんだよな、先にスキル確認しておけばよかったって流れ。特に経験値ボーナスとか資金ボーナスあたりを見逃したときの喪失感たるや筆舌に尽くし難し。
しかし、そうか。
レーザーライフル作れるんか……。
実弾とエネルギーを自由自在に切り替えるのが難しかったとしても、実弾とエネルギーを“同時に”発射させるぐらいは俺にもできそうじゃない? ひとつの引き金でふたつのマガジンユニットが起動するよう魔力の流れを作ればいいんだから。
フフフ……スティーリアさんにプレゼントする武器の第一候補が決まったな。合言葉は「ライフル、ダブルファイアッ!」だッ!
先に言っておきます。
じっとり展開はありません。
ネタ考えるのめんどくさいので。