インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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少なくとも心が込められているのは事実。

 ヒーロー戦隊……。

 

 彼らは何故、色鮮やかなスーツで戦うのか……。

 

 言わずもがな“視聴者”のため……ッ! 

 

 

 この作品を楽しんで貰いたい。

 

 そう思ってロボットは巨大化し、

 

 勇者は伝説の剣を手に入れる。

 

 

 派手な必殺技。

 

 宇宙戦艦。

 

 奇跡と魔法。

 

 不思議生物。

 

 唯一無二の主人公。

 

 

 全ては、作品に触れた人々に楽しんでもらうために考え出された……ッ! 

 

 

 最高のエンターテインメントを届けたいという恐るべき矜持ッ! 

 

 そこから生み出される、素晴らしき様々なアイディアッ! 

 

 

 それに比べれば、既存の設定の後追いなどなんと慎ましく……なんと気楽なものか……ッ! 

 

 

 できる……ッ!! 

 

 

 魔力エネルギーの弾丸と、鋼の弾丸。ふたつの属性を同時に発射する最大の利点は“着弾までの誤差”にある。

 

 欠点じゃない、それを利点にするのだ。

 

 射出されるレーザーショットに【衝撃】の属性を纏わせることで、着弾時にインセクトの動きを一瞬だけ止める。一瞬でいい。次の実弾が命中するまでの僅かな時間が作れれば、それで。

 

 そして本命の金属弾には【貫通】と【火】の属性を纏わせることで、外骨格の内側からインセクトを焼き尽くす。酸素の供給は考える必要はない。連中の体液が魔法の炎を燃え上がらせるための魔力を運んでくれるから。

 

 必要になるだろう素材は揃えた。

 

 属性の魔力石も含めて。

 

 ここから先はイメージの、つまりは俺が俺自身をどれだけ信じることができるかの勝負。スキルツリーに存在しない武器を、本当にクラフトできるのか……可能性を、どれだけ信じられるか。

 

 

 イメージしろ。

 

 完成したライフルを構えるスティーリアさんの姿を。

 

 迫るムカデ。

 

 襲い来る鋭い顎。

 

 それを鮮やかに避けて────いや。

 

 避ける必要すらない。

 

 向こうからわざわざ当たりに来てくれているのだ。  

 

 

 一撃必中にして二撃必殺。

 

 身体の内側から焼き尽くされ息絶えるムカデの姿を思い描け。

 

 何事もなく勝利を当然のことと受け入れるスティーリアさんを思い描け。

 

 

 そのイメージを、クラフトしろ……ッ!! 

 

 

「ぐぅ……きた、な……ッ!! だろう、な……スキルツリーに、存在しない、クラフトだから……魔力を、根こそぎ……上等だァ……ッ!!」

 

 

 ステータス強化。

 

 魔力回復力、クラフト精度。

 

 

 もっと……もっとだッ! 

 

 錬成台に頼らない、スキルによるクラフトの感覚を、自らの手に掴み取り再現しろッ!! 

 

 娯楽分野で常に世界を魁る変態国家日本に産まれ日本で育った誇りをいまこそ示すときッ!! 

 

 日本男児の生き様は夢とロマンのセンシティブッ!! 

 

 時代遅れと言われどもッ! 

 

 ジェンダー精神に反すると言われどもッ! 

 

 女のために見栄を張り意地を張り命を張るのが本にて候ッ!! 

 

 

 唸れッ! 俺のスピリアッ! 

 

 たぁぁぁぁますぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!!! 

 

 

 ▲▼▲▼

 

 

「……それで、ハンドクラフトでFA用の武器を完成させたのは良いものの、その反動で両腕がまともに動かせなくなってしまった……と。コレオ様、無礼を承知の上で言わせていただきますね? バカなんですか?」

 

「ついでに魔力欠乏症で今日はなんの作業もできないぜ!」

 

「失礼しました。バカなんですね」

 

「オーケイ、俺が悪かった。だからその振り上げたハンドブレイドを下げてくれ。パイロットスーツのパワーアシスト込みでそれは俺に効く」

 

「まぁ……わたしのために武器をクラフトしていただけたことは素直に嬉しいですが。ロマンを求めることそのものは否定しません。我々パイロットも、まぁ、それなりに……そういう、部分はあるので」

 

 

 良かった。社交辞令ではなくちゃんと喜んでもらえているようだ。スキルを併用したとはいえ試し撃ちもなにもしないまま完成させた武器を押し付ける形になってしまったからな。お気持ちだけの受け取りになったら次に活かそうぐらいに思っていたのだが。

 

 

「とりあえず何発か試しに撃ってもらえれば、微調整とかしたいし」

 

「その腕で、ですか?」

 

「明日の昼、もう一度ここに来てください。本物の武器をお見せしますよ」

 

「フフフ……間に合っています。コレオ様であればご存知のこととは思いますが、アルケミストが素材の価値を手に取るだけで理解できるように、パイロットは武器の状態を手に取っただけで理解できますので」

 

「そーなの? そんな話、聞いたことないんだが」

 

「おや? おやおや……実用レベルの武器をクラフトできるのにご存知ではないとは。あぁ、なるほど。FA用装備をテーブルクラフトやラインクラフトではなく、個人の魔力でハンドクラフトしてしまうバカを想定した教育など誰も考えませんからね。それでは仕方ありません」

 

「不可能を可能にする男と呼んでくれ」

 

「非常識で常識を上書きする男性なのは知っています」

 

 

 この短時間で繰り返しバカ扱いされたことは解せぬが、どうやらパイロット的に装備することで武器の性能を把握することができるようだ。細かく説明しなくても感覚で伝わるってのは楽でいいな。

 つまりビックリでドッキリなメカも実用性さえあればドンドン作って大丈夫ってことだな! いやぁ〜、やっぱり使用例を異世界の人が理解できるよう噛み砕く作業が一番の懸念点だったからさぁ〜。そこが解決できるってのは大きいぞ! 

 

 

「ところで……このライフルに名前はあるのですか?」

 

「そこはスティーリアさんの好きに名付けてもろて」

 

「そうですか。では、ありがたく酷使させていただきますね」

 

「それはよかった。大切にする、なんて言われたら遠回しに受け取り拒否されてるのかと落ち込むところだった」

 

「まさか。武器は単なる見栄えを整えるためのアクセサリーではありません。中央で警備任務に励む騎士たちならともかく……ね」

 

 

 いや、王族とか偉い人の護衛を務める騎士には見た目も大事だと思うんだけど。外交というか、交渉ってそういうモノだし。

 だから現場主義の人とすれ違いからの衝突が起きてしまうのが辛いところだな。ホント、営業職の人には頭が上がらねぇぜ! 

 

 やたらバカ扱いされたことはともかく、スティーリアさんの言葉を信じて初のFA武装のクラフトは成功したことにしよう。あとは実際に使ってみた感想を聞きたいところだが……さっき警鐘カンカン鳴ってたし、3時間もすれば次のウェーブ始まるな。どうせ仕事はできないんだ、大人しく楽しみに待っていることにしよう。

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