インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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汝はクロスボウなりや?

 クロスボウ作るぞー! おー! 

 

 スキルツリー、確認! 

 

 ある! 

 

 ほなら、まずはスキルで見本となるちゃんとしたクロスボウ作ったろ。いきなりオリジナリティを求めて失敗するのは誰もが1度は通る道、まずは基本に忠実に“普通”を当たり前のように作れるようになってから。

 

 見た目は……俺が知ってるクロスボウと大きな違いはな……くも、ないかな。そうか、武器の基本は魔力だから発射機構が全然違ってくるのか。

 構想としては近距離での支援武器、本来ならボルトを飛ばすための弓の部分がインセクトの攻撃から身を守るための盾になってるワケだ。ダーク魂やモンスター狩人で似たような武器あったなぁ。

 

 改造の余地、というか魔法文字を刻むためのスペースがしっかり確保できるのは好都合だ。いっそのことタワーシールドみたいにガッツリ大盾とセットで運用する方針でもいい。何処かの甘ちゃん隊長もシールドを地面に突き刺して、その上にキャノン乗せて撃ってたし。

 

 もう俺の知ってるクロスボウじゃないな、それ。

 

 ま、いいや。

 

 シールド部分の使い方はあとで考えよう。

 

 まずは実物をクラフトしてからだ。

 

 

 ▲▼▲▼

 

 

 うん。

 

 ちょっと思ってたんと違う。

 

 なんというか、ショットガンのスラッグ弾みたいな感じだわ。懐かしいな〜、ゾンビハザードの影響でショットガンは散弾を撃ち出すものと思っていたあの頃が。

 コレはこれでロマンというか、パイルバンカー系の武器を再現するときの参考にはなりそうだ。もちろん候補生を最前線に立たせるワケにはいかないので論外だけど。

 

 

 ふむ。

 

 弾丸ではなく、細長いボルトを撃ち出す。

 

 人間用の武器、つまりは少ない魔力で火力を確保するための武器。

 

 弾丸は全部金属だが、ボルトは先端だけ金属で足りる。

 

 なら、そこだけFメタルで加工したら? 

 

 複雑な形状にする必要はない。

 

 大型化するなら細かい加工も必要ない。

 

 いや、ダメだな。

 

 銅の消費が増えるのは困る。

 

 …………。

 

 そこまで難しく考えなくてもいいんじゃね? 

 

 小さい弾丸に火力を乗せようとするから、本体側に無理を押し付けることになる。

 だけど俺は槍を弾丸として発射させるつもりなんだから、槍の方に、つまりは弾丸のほうに無理を押し付けることができる。

 

 ただの土でも圧縮すれば鉄板のようにカチカチになるのは実家の穴掘りで実証済みだ。同じことを木材や石材、鉄素材で再現すればいいだけの話じゃないか。

 それに、この方法ならマガジンユニットを工夫する必要がない。だって人の手で直接リロードすればいいんだから。運用の想定がクロスボウというより大砲みたいだな。後ろをパカッと開けて詰め込むヤツ。

 

 だけど……うん、悪くない。

 

 前に出ないなら、後方支援だからこそ許される余裕は最大限に利用させてもらおう。

 

 

 となると、人間用のバズーカをベースに……ではデカすぎるな。

 

 しかし普通のバレルユニットじゃサイズが足りん。

 

 ここは手作業で────あ、そうか。スキルでクラフトしたバレルユニットを芯にして大口径のヤツをクラフトしてから、あとで芯の部分だけ分解するなりインベントリに収納すればいいのか。

 

 真っ直ぐなバレルさえ作れれば、繋ぎ目の調整は魔力の流れを見ながら作業するだけだから手間というほどでもない。

 

 最初の試作弾、いや試作槍は……普通に木材の先端に粗鉄くっつけたヤツで、まずは前にちゃんと飛ぶか確かめよう。

 

 方針決定、レッツ錬成! 

 

 …………。

 

 …………。

 

 …………。

 

 …………。

 

 試作1号、完成ッ! 

 

 デケェ。これを見てクロスボウとは誰も呼ばんだろ……。

 

 そもそもなにもクロスしてねーもん。

 

 

「これは、また……確かにムカデの外骨格を貫けそうな雰囲気はありますね」

 

「有効射程距離を伸ばすための工夫がいまから楽しみだよ。とりあえず試し撃ちだな」

 

 

 ムカデ素材はど〜こかな〜? 

 

 少しぐらいインベントリにキープしてもいいんだけど、ほかの素材と違って誤魔化すの大変そうだから集めてないんだよね〜。木材や鉄なんてなんぼでも言い訳ききますからね。

 ま、正式に行儀見習いという立場で錬金術士やるってんだから、ムカデ素材欲しいって言えば普通にもらえそうな気もするけど。ちゃんと新鮮なヤツを収納すれば鑑定されるだろうし。

 

 ……お、みっけ。

 

 コイツをまたヘルメットに……は、ダメだな。ヘルメット本体が質量で押されて吹っ飛ぶだけだ。ここは普通に板状に加工して、土ブロックを積み上げて壁にして……よし! 

 

 

「こんなもんかな。助手くん、よろしく頼んだよ?」

 

「了解しました。しかし、なんだか的までの距離が近いですね?」

 

「そもそもちゃんと前に飛んでくれるかもわからないから。それを確かめるための試作だから」

 

「あぁ、言われてみればそうですね。では、失礼して」

 

 

 自分の身長の倍近い長いエモノを抱える軍服武装少女。

 

 大変よろしい。

 

 露骨に露出の多いビキニアーマー系はなぁ……ギャグに振り切ってるならまだしも、あんな格好で真面目なセリフ喋ってても────おっと、この話題は危険だな。多様性を尊重してお互いを認め合う心が大事だ。

 

 

「3、2、1、発射。……届きは、しましたね」

 

「刺さりもしなかったけどね。だけどその場で下に落ちるようなことにならなくて安心したよ。お先真っ暗よりはやる気も出る」

 

 

 とりま、当面の小目標は近距離で外骨格に、いや土ブロックに刺さる程度の威力の獲得としよう。付き合わされる候補生の皆さんには退屈な時間が続くだろうが、そこは我慢してもらうしかない。

 

 さて、まずは……槍と本体と、どっちから改造しようかな……。

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