インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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労働後のメシは美味い?

 試作1号。

 

 とりあえず槍は前に飛んだ。

 

 企画倒れにならずに安心。

 

 

 試作2号。

 

 バレルユニットに刻んだ風の魔法文字を増やす。

 

 より遠くまで飛んだが、威力は増えず。

 

 予定変更、射程距離の改善のほうが簡単そうだ。

 

 

 試作3号。

 

 さらに風の魔法文字を追加。

 

 距離延長、威力据え置き。

 

 次はライフルみたいに回転させてみよう。

 

 

 試作4号。

 

 槍が失速して落下。

 

 回転のエネルギーも万能ではないらしい。

 

 

 試作5号。

 

 試作6号。

 

 試作7号。

 

 バレルユニットに魔力の流れの歪み発生。

 

 風の魔法文字を刻み過ぎたか? 

 

 ここからは槍側の改造を重ねていこう。

 

 

 試作8号。

 

 槍の棒の部分、呼び方をド忘れ。

 

 そこに風の魔力石をガッチャンコして装填&射出。

 

 ビックリするぐらい飛んだ。

 

 磁石と磁石で浮いてるような状態で、内部で摩擦とか抵抗とか無しに発射された……みたいなことだろうか?

 

 スティーリアさんも驚いていたが、このままだと狙ったところに当てるのが難しいらしい。

 

 カウンターウェイト的な意味でも前方に盾は必要かもしれない。

 

 

 試作9号。

 

 試作10号。

 

 試作11号。

 

 銃身が反動で跳ね上がる問題、パイロット側でなんか解決しそうな空気。

 

 パワーアシストしゅごい。

 

 但し、距離が延びたぶん槍の落下が気になるように。

 

 なんつったっけ? コリオリ力だっけ? 

 

 そこも考えておこう。

 

 

 試作12号。

 

 槍の穂先に貫通属性を付与してみる。

 

 先にそれに気づけと過去の俺に言いたい。

 

 実験は成功。

 

 ほんの数センチだが、先端が外骨格に刺さる。

 

 ついでに弾道も少しだけ改善したらしい。

 

 大気の壁を“貫通”した、ということだろうか? 

 

 

 試作13号。

 

 試作14号。

 

 試作15号。

 

 飛距離、威力、ともに順調に改良が進む。

 

 そのせいでゴミ山での実験ができなくなった。

 

 これが嬉しい悲鳴か。

 

 トラックスさんに相談しよう。

 

 

 試作→息抜き工作。

 

 ボルトアクションライフルを自作。

 

 この世界では絶対に誰も発明しないだろうな。

 

 それでもロマンは止まらんのだ。

 

 魔力を直接エネルギー弾として発射する構造で、薬莢の代わりに完全に魔力を失い灰になった魔力石が排出される。

 

 装填の手間も含めて女性陣には理解されないだろう……と思っていたら、候補生のひとりに刺さったらしい。

 

 実用化? 

 

 うーん、なにかアイディアがあればね。

 

 

 続・息抜き工作。

 

 手続きを待つ間に傭兵さんたちがやってきた。

 

 外で実験するときに同行する契約を結んだそうだ。

 

 で、噂のゴミ山の錬金術士が気になって様子見に来たと。

 

 いままでは興味はあっても遠慮していたらしい。

 

 工場と契約して働いているなら、横取りとか余計な誤解を与えないよう個人的な接触は控えよう……と。

 

 う〜ん、職業倫理! 

 

 そしてボルトアクションライフルを随分と気に入った様子。

 

 っつーか、使い方がエグいな? 

 

 魔力なら直接操作できるって……形状を変化させるのも凄いけど、弾道を曲げるってどういうこと? 

 

 なに? FA用の武装ほど弾丸に働く魔法文字の強制力が無いから楽に干渉できる? 訓練すれば遮蔽物の向こう側も撃てるかもしれない? 

 

 ちょっとなに言ってるかわからない。

 

 

 ▲▼▲▼

 

 

「傭兵さんとの会話は新しい発見があるなぁ……自由と独立と、生き残り続けた経験の裏打ち……か。本物ってスゲーや。……ん?」

 

「よッ。さっきぶりだね、錬金術士くん。夜ご飯は屋台かな?」

 

 

 おや、昼間の傭兵さんのひとりだ。

 

 

「どうも。そんなところです」

 

「行儀見習いって、キミ、貴族なんだろう? もっとまともな食事だってできるだろうに。ウチらみたいな根無し草とは違ってさ」

 

「性分です。それに、食事だけを指摘するのであれば、貴女の価値観では貴族がゴミ山で寝起きするのはアリなんですか?」

 

「おっと、それを持ち出されると反論できないねぇ。良かったら一緒にグリル飯でもどう? 優秀な錬金術士には媚びておいて損は無いからね。あのボルトアクションライフル? だっけ。あれ、ウチにも作って欲しいからさ」

 

「先行投資というのであれば喜んで」

 

「あはは。期待してるよ〜。っと、そうだ。先にコレ、飲んでおくといいよ」

 

「これは……なにかの薬、ですか?」

 

「ん。酔い止め。呑ん兵衛たちも多いお店だからさ。中がもう酒臭いワケ。一応ね、一応」

 

 

 う〜ん、親切心なんだろうけど……。

 

 魔力の利用は医学の分野でも使われているのは知っている。薬草学も少しは勉強した。残念ながらそちらにはスキルツリーが反応してくれなかったので、無限に薬草を増やすようなズルはできなかったが。

 だから、たぶんこの傭兵のお姉さんが差し出してくれた薬も変なモノではないはずだが……それでも、アレよ。顔見知りって言うほどでもない相手から差し出された薬を素直に飲めるかって言われると……前世で、市販のパッケージを出されたならともかくなぁ。

 

 

「そうですか。では、お言葉に甘えて」

 

 

 ぱっくんちょ。

 

 からのインベントリ収納。

 

 悪いね、お姉さん。インベントリ内部の鑑定で問題なければちゃんと感謝して使わせて────。

 

 

 

 

【虫毒抵抗薬】

 

 インセクト由来の毒物による魔力反応を予防するための錠剤。服用から数秒で全身に行き渡る即効性と、4時間前後という戦闘に充分耐えられる持続性を併せ持つ。通常の病毒やアルコール等による酩酊などには効果が無い。

 

 

 

 

 お姉さん。渡す薬、間違ってますよ? 

 

 ……念のため、飲んでおくか。

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