インクリメンタル☆アルケミスト   作:はめるん用

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ウワサは所詮ウワサであってほしい時の確率は如何に。

 防壁から離れてゴミ山の我が家に帰還。

 

 いまも戦闘は続いているが、体調はすっかり落ち着いている。

 

 が、スキルツリーの中に撃破カウントが加算されている感覚? みたいなのは続いている。

 

 と、いうことは頭痛の原因はあくまで戦場の空気の問題か。そもそもクラフトした武器が引き金になってるならスティーリアさんに渡したダブルライフルの時点で発動してなきゃ理屈に合わないもんな。

 あるいはもっと単純な話で、アホ王子に一服盛られたことも含めてストレスが溜まり過ぎたことによるイライラだったりするのかも。頭では冷静なつもりでも、心のほうがブチ切れていたなんてこともあり得る。

 

 いかんなぁ。

 

 平常心、平常心。

 

 心が乱れれば錬金術にも影響が出る。時と場合を考えて、気持ちをしっかり切り替えよう。

 

 

「それじゃ、お勉強タイムといこう。スティーリア先生、お願いしま〜す」

 

「はい、承りました。ちなみにですが、コレオ様はヨロイムカデの抜け穴については?」

 

「フラメル領が管理を任されていて、中央都市の地下まで続いているって話は聞いた」

 

「半分は事実です。しかし真実は違います。ヨロイムカデの抜け穴は大森林壁側の防衛都市それぞれの管理下に入り口が存在します。それを領主貴族を代表してフラメル領で管理しているという建前でカモフラージュしているに過ぎません」

 

「カモフラージュ? なんのために……いや、中央都市の地下まで続く抜け穴の入り口なんて隠して当たり前か。誰が悪用するとも限らないんだから」

 

「はい。その通りです。傭兵の皆さんはもちろん、正規の守備兵であってもそれぞれの都市が管理している入り口はそれぞれが独立したインセクトの巣穴だと信じていることでしょう」

 

「それはそれとして銅は取れるからヨシ?」

 

「採掘できるのでよし、です。しかし、FAの武装や装甲のクラフトに必須の素材ですから、浅い領域で掘り尽くせば巣穴の奥に向かわなければなりませんよね?」

 

「銅を求めて奥に進むほど報酬と危険と犠牲者が増える。洞窟の中……地下での戦闘……人間が地面に立っているのに対して、インセクトなら壁も天井も関係ない……戦力の展開が単純に4倍差になる……守るにしろ退くにしろ、判断の遅れは地上とは全然違うな、致命的とかいうレベルじゃなくて」

 

「単純に地下迷宮として広大なので難易度が桁違いというのもありますね。レーダーの索敵範囲を広げれば反応を拾い過ぎる、だからといって範囲を絞れば奇襲に備えられない。難しいところです。ちなみに、地下深くには炎の海……火山などから流れ出る溶岩の源泉があるのだとか」

 

 

 へぇ〜、マグマに突き当たるほど地下深くにまで巣穴が。

 

 そりゃスゲェや、だって直下掘りで簡単にダイブしちゃうゲームと違ってマグマってのは地下数キロどころか数十キロとか数百キロとかの地下にあるんでしょ本来は。

 そんな深くまで人間が探索したことも凄いしそんな地下深くまで巣穴を掘れる個体ってどんだけ巨大っつーか下手すりゃマグマに耐えられるような個体がヨロイムカデって種族になるワケでそんな防御力の化け物に人間が勝てる道理なくない? 高難易度の寄生虫MODでも入ってんの? マグマで燃えない虫に有効な攻撃ってなんだよ。

 

 

「そんな大規模な巣を作るとなると、ヨロイムカデってインセクトそうとうヤバいのでは?」

 

「そうですね。標準サイズのムカデが体長50メートル前後ですから、ヨロイムカデが実(・)在(・)す(・)る(・)の(・)で(・)あ(・)れ(・)ば(・)かなりの巨体であるのかもしれません」

 

「実在、するなら?」

 

「稀に外骨格が変質して防御力に優れた個体との戦闘記録はあるようですが、標準サイズから大きく逸脱するようなムカデと遭遇したという情報はありません。もちろんそれは発見できていないというだけで、巨大地下迷宮を作り上げた何者かのインセクトが存在するのは事実です。少なくとも領主の皆様はそういう認識で慎重な管理を続けておられます」

 

 

 おぉ〜。なんて冷静で的確な判断。

 

 見つからないから安全だろ、と安易に考えるのではない。見つからないからこそ万が一に備えて慎重に行動する。多くの人々の安全を任されている領主という立場の人たちがなんて頼もしいこと。

 なるほど、逆にね? だからこそヨロイムカデの抜け穴を探索するなら、安全管理に気を遣っているから大丈夫的な意味で俺は招待されそうになってるのかもしれない。たぶんだけど、慎重に探索を繰り返したことで、浅い領域は本当に安全が確保できているのだろう。

 

 

「もしかしてだけど、俺が行儀見習いとして勉強してきましたよ〜って証明は、別に奥深くまで探索するワケじゃないので……って意味であってるのかな? 人類側の支配地域でお勉強のための採掘して終わり! みたいな」

 

「抜け穴の内部にも複数の防衛拠点があります。失礼を承知で申し上げますが、いくらコレオ様が錬金術士として優秀だとしても所詮は個人ですから、なにかを期待して最前線に連れ出すようなことは無いと思います。なによりも部外者を守りながら戦う余裕など無いでしょう」

 

 

 勝った! 

 

 テナクス編、完! 

 

 ……とはならないんだろうな〜。メタ推理しなくてもあのアホ王子がなにかやらかす予感しかしねぇもん。状況からして、船長が手段を選ばず俺を連れ出した理由なんてほかに思いつかないもん。

 

 仕方ない。備えあれば嬉しいな、俺自身の安全と無事の帰宅のためにもなにができるか考えよう。と、いってもチートスキル込みでも戦闘力は無いからクラフト関係で知恵を絞るしかないんだが。

 カティさんにでも相談してみようかな? スティーリアさんに作ったみたいに武器欲しいって言ってたし、Fメタルも時間をかけてゆっくり加工すれば負担にはならんだろ。さて、前世の知識の中に洞窟の中で使えそうなアイディアあったかな〜?

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