洞窟内部での戦闘についての有識者が頼もしい感想欄に感謝。
それはそれとしてストームチームからも本作を読んでくださってる方が多数いらっしゃるようで。その方々の中にも作者のように頼りにならない薄っぺらなアーマーとマガジンを撃ち尽くしてもアリ一匹倒せない貧相な武器でインフェルノに挑むのを楽しむ同志がいるかもしれないと思うと筆が進みますね!
「と、いうことで。お客様のリクエストにお応えして散弾を発射する武器を作りたいと思います」
「いえ〜い!」
「あ、作るのはショットガンじゃないから。クレイモアを作ります。FAのショルダーパーツに装備する後退支援武装になるのかな?」
「まぁクレイモアならそういう使い方をいや待って。ショルダーパーツに装備?」
「遠慮なく近距離戦闘でブッ放してください」
「…………。面白そうだからオッケーとします」
はい受注完了。
俺にとっては初の地下戦闘だけど、防衛拠点を設営するぐらい戦い慣れているところに変な武装を持ち込んでも現場が混乱するだけ。もしかしたら臨機応変に対応してくれるかもしれないが、最初からパイロット側に余計な負担を押し付けるのは違うだろう。
その点、後退支援のサブウェポンなら邪魔になることもない。戦闘では前に進むより後ろに下がるほうが難しいっていうし、後退するときに使える手札なんていくらあっても困らないはずだ。もちろん突撃するときに使ってもいいし、そこはカティさんのセンスに任せるとしよう。
「ちょっと試してみたい属性付与がありまして。氷属性を応用してムカデを丸ごと凍らせる方向でクラフトしてみようと思うんです」
「あぁ、あのアイスジャベリンのことかな? いやぁ〜、FAの展開無しでインセクトを倒せる武器を開発するなんてビックリだね! 私の見たところ有効弾は3割ちょいだったけど、候補生が戦力として数えられる時点で上出来も上出来だよ」
はい、おかげさまで応用属性【氷結】を無事アンロックすることができました。相変わらず氷属性となにが違うのよ? と思わなくもないが、たぶんインセクトを凍らせる力がパワーアップしてるのは間違いあるめぇ。
それに新世紀で活躍する汎用人型決戦ジャイアントストロングエントリーさんもマグマを泳ぐ相手を冷して倒している。熱膨張がどうとかいうロジカルな仕組みはサッパリわからんが、燃やせないなら凍らせろってのはつまり“押してダメなら引いてみろ”ってコトでしょ? ならイケるイケる!
「ちなみに発射する弾丸は一発一発特注のFメタル弾になります」
「は?」
「発射する弾丸は全部Fメタルでクラフトします」
「いやいやいやいや待って、落ち着いて、冷静になろう? クレイモアなんだよね? 使い捨てる前提の弾薬にFメタル? ちょ、それは、さすがにコストパフォーマンスを無視し過ぎじゃ」
「カティさんはヨロイムカデを見たことがありますか?」
「…………誰も確認したことがないなら、実在する可能性はゼロにならないって話の続き?」
「少なくとも地名として残されているのであれば、遠い昔の誰かがそれと遭遇してヨロイムカデと名付けたのでしょう。空振りで終わるならそれはそれでいいじゃないですか。緊急時の備えなんて出番が無いほうが喜ばしいことなんですから」
「……データは」
「はい?」
「データは、あるんだ。閲覧制限があって一般には……スティも含めて、ほとんどの人が知らないだけで」
あるのかよッ!?
じゃあ実在するじゃんッ!!
「だったら尚更のこと」
「そういえばコレオくんにはヨロイムカデの抜け穴のことなにも話してなかったね。あそこね、入り口のサイズが防壁より高いんだよ」
「は?」
「大型トラックが余裕で通行できる、なんてレベルじゃないんだ。防衛拠点も普通に砦が建設されている感じ。相手は天井も我が物顔で歩いてくるからあまり意味はないけれど、一ヶ月ぐらいは籠城戦もできる備蓄がある」
あれれ〜?
地下の空洞でその規模のサイズ感、どうしてか記憶の中から簡単に映像化できちゃうぞ〜?
「で、そんな大空洞を通り道にするようなムカデだからさ。それなりに大きかったりするワケ。広々ぉ〜とした空間でのびのび〜と育つんだろうねぇ? 数百メートルはあるかもしれないから戦っちゃダメだぞ☆ っていう先人たちのありがたぁ〜いお言葉があるワケさ」
「すうひゃ」
大きいということは強いこと。
生命力はもちろん、パワーも頑丈さもサイズに比例するのが自然界の原則だろう。
いやムリじゃね? 俺の想定って50メートル級のヤツが頑丈な装甲を纏ってるぐらいのイメージだったんですけど?
「だからコレオくん。────是非とも作ろうッ!!」
「そうですね、資源のムダに……へ?」
「作ろうッ! 特注Fメタルクレイモアッ! ご先祖様が尻尾を巻いて逃げるしかなかったインセクトでも、当時はコレオくんみたいな頭のおかしい錬金術士がいなかっただけかもしれない。だったら試す価値はあるでしょ? コレオくんもたったいま言ったじゃないか。緊急時の備えなんて使う使わないに関係なくしてたほうがいいって」
「そこは手出しするなって俺を諌めたりしないんですね」
「向こうがこちらの都合を汲み取ってくれるならそれでもいいさ。今日は王子様がいらっしゃるので、いつも通り姿を見せずに洞窟の奥底で安らかにお休みくださいって」
うん、なるワケねぇわ。
難聴系主人公や鈍感系主人公じゃあるまいに、俺というイレギュラーの存在がトラブルの引き金になってんのは明白なんだ。
いるかどうかわからない、ならスルーできる可能性もあった。でも実在してる証拠があるなら遭遇するフラグはもう整ってる。
「わかりました。ではご注文の最終確認を。記録上にだけ存在する秘匿されたインセクト・ヨロイムカデの討伐を前提とした武装の開発。これでよろしいですか?」
「錬金術士コレオ・ホーエンハイムに対し、領主カテリーナ・フラメルが正式に依頼しよう。我が祖国の未来のため、よろしく頼む。いやぁ〜、どんな武器になるか楽しみだね! もちろん喜んで協力するから試作品もどんどんクラフトしちゃっていいからね!」
…………。
アンタが領主だったのかよ……。