「父様、ただいま戻りました」
「うむ……。まぁ、座れ。公務の報告とはいえ、親子の会話でもある。少しは楽にしていい」
「はい、では失礼します」
「まぁ……なんだ。少し、顔つきが勇ましくなったんじゃないか?」
「そうですね。様々な貴重な経験をさせていただきましたので」
「ほぅ……貴重な経験をな……」
「領地対抗熱血尻文字選手権フラメル領代表決定戦の夜の慕情部門で準決勝まで勝ち残りましたからね。ホーエンハイム家の長男として恥ずかしくないよう最後まで奮闘してみせました」
「なんなの? その手のトンチキな催し物は世界規模で開催されてんの? 私が物知らずなだけでそれが常識なのか?」
「いえ、恐らく父様の反応が普通かと。カテリーナ様にご報告したときもナニそれ知らないって本気で困惑されていましたので」
「そうか、良かった、私がおかしいワケではないんだな。……はぁ。まったく、本当にお前は変わらないというか……。まぁ、なんだ。無事に帰ってきてくれて安心した」
「大変申し訳ありませんが父様、安心する前にこちらを受け取っていただきたい」
「ふむ。ただの土産ではなさそうだな? これは、銀の欠片……いや、違う。それに火の魔力が宿って……純度が……人の手によるモノではない、インセクト由来の素材か。確かに気を緩めるのは早かったようだ。よくぞ持ち帰ってくれた」
「命に対する唯一の戦果でしたからね。取り上げられてはたまらないので、カテリーナ様にも黙って持ち出しました」
「そうか……」
あんれまぁ〜、難しい顔しちゃってからに。
そりゃそうだ、俺を気遣って普段通りに振る舞ってくれているだけで思うところは多少どころじゃなくあるだろうし。
う〜む。
本当はやりたくないけど……仕方ない。
「
「…………。なんだ?」
「人にはそれぞれ、立場に応じた価値観が、責任が、損得勘定が、義務が、求められる判断があると。そうご子息に語って聞かせたのはほかでもない、ロジャー様です」
「こんなときに限って貴族らしいこと言う。気に入らんな」
「私だってイヤですよこんな役回り。なにが悲しくて自分のために怒ってくれている父親相手に説教まがいのことしなきゃならんのですかバカバカしい。ヨロイムカデとの邂逅さえなければテナクス相手にガッツリふんだくってくださいとお願いしていたところです」
「……はぁ。まったく、我が子が優秀だからこそ困るとは贅沢な悩みだ。気にしない、ならまだ良かった。だが気に入らないが飲み込むしかない、と態度に出されては、不本意だが私が折れるしかあるまい。非常に、この上なく、どうしようもないほど不本意だがな」
「父様はFAを展開したパイロットが立ったまま炭化する様子をみたことはありますか?」
「想像したくもない。あぁ、くそ。頭では理解している。だから余計な混乱を避けるために正式な行儀見習いとして処理した。全く気に入らん。なにもかも気に入らん。……お前から見て、カテリーナ・フラメル卿は信用できる人間だったか?」
「父様がご自身を納得させるための質問であるのなら回答は拒否させていただきます」
「そうか。お前がそう言うのであればそれでいい。息子を信じるのは父親の特権だ、まさか文句は言うまい?」
「では文句の代わりに感謝を。父様、ありがとうございます。私の知らないところで父様が守ってくれたおかげで……俺は無事に、帰ってこれたよ。ありがとう」
「……あぁ。お帰り、コレオ」
…………。
…………。
「自分から言い出しておいてなんですが、結構恥ずかしいですねコレ」
「言うな。私だって変な笑いが出そうなんだ」
「ところで、母様はどちらに? できれば早めに無事に帰ったと挨拶がしたいのですが」
「あー、うん、メルティナは……仕事、がな……」
「態度だけで厄介ごとだとわかるのは楽でいいですね」
「少し、前から異変が起きている。ギフテッドらしき才能を開花させる者が増えた。子どもでありながら大人並みに魔力を扱える者たちだ」
「もうその前フリだけでお腹いっぱいなんですけど」
「フフン、遠慮するな。それで、まぁ、当然ながらと言うか、飽きもせずというか、お前の話題が出るワケだ。ギフテッドの証明がどうのこうのという戯言が」
「あぁ〜、そういう……。事前調査、ですか?」
「領地の税金ではなく国の補助金で調査ができるのだから断る理由もない。傭兵たちにも特別ボーナスを気前よく支払える。しかし困ったことに親たちはともかく子のほうが乗り気でな? 事実として比較的安定してインセクトを狩れる巣穴は意図的に残してあるものだから厄介だ」
出会ったときのスティーリアさんが12歳で戦場に出ていたことを思えば別に、というのはテナクス戦闘国家の常識。
フォルティス王国では基本的に12歳から3年間の教育を受け、最低でも15歳になってからでなければインセクトとの交戦は認められていない……だったかな?
だが例外となる前例を作ってしまった存在がいる。
俺だ。
別に自分から試させろとか言った覚えはないんだけどなー。
「入学手続きまではまだまだ時間はありますが、私がピカピカの一年生としてデビューするころには学生生活も大変愉快な新ルールが追加されていそうですね」
「国家全体の戦闘力の底上げにはなるかもしれんが、お前のテナクス土産を見たあとでは不安しかない」
「いますか? フォルティスにも」
「いる。と……いうよりも、だ。いる前提で警戒するべきだと、私はたったいま考えを改めた」
「ではせめて、学生より先に戦闘のプロたちが発見することを祈りましょう。まぁフラメル領地下の戦闘では第一王子の親衛隊である騎士が一方的に壊滅させられたんですけどね」
「コレオ。そのあたりの話は後日また詳しく頼む。ヴィッシュを呼び付けて同席させよう」
「了解です。それで、父様。実はお願いしたいことがありまして」
「なんだ? 少しぐらい怠惰に過ごしたいというのなら、2日ぐらい自由に休んでいて構わんぞ?」
「いえ、フラメル領での行儀見習い中にFメタルの錬成とそれを使用したFA用武装などをハンドクラフトできるようになったので、いまの私がどの程度の危険人物として認定されるか見てほしいんです」
「お前に教えを説かねばならん教師たちがいまから不憫でしかないんだが?」
次に登場するヒロインをどうしようかな……?
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パワー系お嬢様で撃つのを迷わない女の子
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清楚系お嬢様で撃つのを迷わない女の子