オンライン対戦でバトった相手が「ハメちゃんはリアルファイトなら負けないんだよぉ!」とか言ってたので会いに行ってみた。尚、彼は全長221cmのムキムキ!マッチョ!マッスル!の人間である 作:SUN'S
『こんちゃーす、ハメちゃんねるだよ!』
・待ってた
・いつもの挨拶
・今日は何するの?
・雑談規模
コメント欄の書き込み速度に愉悦と承認欲求を満たしているハメ子の事を眺めつつ、オレは逆立ちし、両腕の筋肉と背筋の筋肉を鍛える。
ジムを休んでいるときは薪割りのアルバイトで広背筋を鍛えるが、仕合に向けてトレーニングを積み重ねる合間に聞くハメ子の声は安心できる。
「フッ、フッ、フッ…!」
『今日は雑談かなー、質問ある?』
・昼九とはどうなの?彼ピなん?
・ハメちゃんの彼ピになるんわ、俺や!
・出たな、ナオヤ
ピタリと逆立ちしたまま動きを止める。
オレとハメ子に対する質問だった。特に理由はないが、確かにオレみたいなリスナーがいれば、ニャンチューバーの彼女の近くに居るのを心配するだろう。
『ショーゴ君?ショーゴ君は、なんて言うんだろう。頭良いのにバカな友達かな?うーん、ハメちゃんの事を推しているのは分かるけど。女の子として好き、っていう風には感じないかな』
・いい人止まりってやつか?
・そうなんやろか
・そうなんだよ
・昼九、かわいそ
オレはかわいそうなのか?と手を離したまま逆立ちし、首をねじり、全身の体重を支える強靭な首を作る。ゴリゴリと筋肉の軋む音が脳内に響く。
・多分、無自覚だけど。恋してるよ、それ
やっぱり、オレも分からんな。
「好きではある。だが、これは恋なのか?」
『これは恋なのかなあ?』
そうオレは画面越しに見えるハメ子の言葉と重なるように同じ言葉を呟いていた。少し嬉しく思いながら、またオレは動きを変えて、今度は1分間のインターバルを挟み、全身の力を抜ききって身体を休める。
『まあ、ショーゴ君は友達だよ。ハメちゃんにスパチャ直で渡してくるのはどうかと思うし、無駄に筋肉あるし、でかいし、たまにアホになるけど』
「そんなこと思ってたのか」
地味にショックを受ける。
が、まあ、そういうこともあるのだろうと納得し、シャドーを始める。相手はオレより小柄だが、パワーファイトに定評のある選手だ。インファイトで競り負ける可能性を考えておくべしだ。
「シッ!」
『まあ、がむしゃらでひた向きなところは好きだよ』
・好きだよ?
・げんちとった。
・ざけんなや
・ナオヤもよう鳴いとるw
好きって言われたが、リスナーとしてだろう。
分かっているはずなのに嬉しくて笑いそうになる。いや、実際に嬉しくて笑っている。兎に角、煩悩を取り払うために、ひたすらトレーニングを重ねることだけをかんがえておけばいいんだ。
目覚めろ、ハメ子への愛。(成就祈願)