初めましての人もそうでない人もどうもどうもです!
最近、今更ですがリコリス・リコイルを見終えてその勢いで作品を作っちゃいました!
千束のキャラデザがめちゃくちゃ好みで見始めたのに、段々たきなが良くなってくる...。
マジで神作品でした。
2期を待ちながら少しずつ執筆して行きたいと思います。
初めての女主人公なので上手く書けるか多少不安はありますが、ゆったりまったり書いて行こうと思います!
暖かい目でご愛読いただければ幸いです。
では、本編です!!
季節は秋、真島による延空木事件から半年以上経ち、ハワイを満喫していた千束たちは帰国し喫茶リコリコの営業再開に向けて準備を進めていた。
「ちさとー!いつまでも余韻に浸ってないで窓ガラス拭いてくださーい!」
「少しくらい現実逃避したっていいじゃんかぁ...」
ハワイで購入したフラドールを眺めながら、千束はたきなに抗議する。
喫茶リコリコの営業再開に向けてミズキは不足備品の買い出しに出ており、ミカはキッチンの清掃、千束とたきなで店内の清掃をし、クルミは渡米中での日本のニュースなどに目を通していた。
新たな出会いを告げる黒電話の呼び出し音が店内に響く。
黒電話の近くにいたミカが受話器を持ち上げた。
「ハイ、喫茶リコリコ」
『楠木です。先生ですか?』
「あぁ、私だ」
電話の相手はDAの楠木であった。
受話器越しの楠木の声にミカは何か事情があって電話して来たのだと悟った。
「何かあったのか?」
「...実は先生にお願いがあり、お電話させていただきました」
「仕事の依頼か?」
「いえ、実は預かって欲しいリコリスがいるのですが...」
「お前が俺にリコリスを預けるのはたきな以来だな。何かやらかしたのか?」
「そういった訳ではありません。ただ...」
楠木が言葉を濁す。
「理由も話せないようなら他を当たってくれ」
ミカは敢えて厳しい言葉を口にする。
それは楠木の真意を探ると同時に楠木の気持ちを少しでも軽くする目的があった。
「...リハビリと配置転換によるリフレッシュを兼ねて先生にお預けしたいと思いました」
「リハビリとリフレッシュ?」
「はい。対象のリコリスは現在リハビリ期間でして」
「どこが怪我しているのか?」
「昨年の真島による延空木事件の際に、真島の部下による自爆に巻き込まれ負傷しました」
「延空木事件!?まだ傷が癒えていないのか?」
「ケガの方は既に完治しております」
「では何故?」
楠木は再び言葉を詰まらせた。
今度は正しく説明するために言葉を選んでいるようだった。
そのため、ミカは催促の言葉は発さず楠木が口を開くのを待った。
「ケガをした際に眼球も傷ついたため、利き目の視力が大幅に低下しております。それにより自身の存在価値を見失い、いつ自ら命を断ってもおかしくない状況です。不幸中の幸いではありますが、彼女は指令で無ければ動けません。なので私がこの場で自ら命を断つことを命令すれば、迷わず命を断つような子です」
「珍しいな、君がリコリス全員のためならともかく個人のリコリスのために私に頭を下げるなんて」
「あの日、彼女を延空木に配置した私のミスですから」
リコリスを道具として使い捨てしなくなったところに楠木の変化をミカは感じる。
しかしそれを本人に伝えたところで否定されるだけなのは分かっているので、ミカはそんな無粋なことは言わない。
「事情は分かった。なぜその子をウチに預けようと思った?」
「......千束とたきななら彼女を変えてくれると思ったからです。自分でも焼きが回ったなと思っています」
「それが歳を重ねると言うことだ。それで?リコリスの名前は?」
「彼女の名前は.......」
楠木から対象のリコリスの名前が告げられた。
翌日、喫茶リコリコの扉を1人の少女が開ける。
全員の視線が少女に集まる。
少女の容姿は深いコバルトブルーの髪と右目を完全に覆う白い眼帯が特徴的で、守ってあげたくなるようなあどけなさを残している。
鮮やかな深いコバルトブルーの髪は、肩に届かない無造作なショートボブで、前髪は左右非対称で、左目は見えるものの右目は前髪の一部と眼帯によって隠されている。
声はどこか浮世離れした透明感と、風が吹けば消えてしまいそうな儚さを孕んだ静かな声。
セカンドの制服を着用していることから彼女がセカンドのリコリスであることが証明される。
「本日付けでDA本部からこちらに所属することになりました、柊ひよりです」
ひよりと名乗る華奢なリコリスは深く頭を下げ挨拶をする。
「君が楠木が言っていたリコリスだね?」
「はい、ミカ様ですね?楠木司令より話は伺っております」
ひよりは再びミカに頭を下げると、カウンターに座っているミズキに正対した。
「錦木様ですよね?噂はかねがね伺っております。司令は最強のリコリスである錦木様にまなry...」
「ちげぇーーーわ!!」
ミズキは自らが千束で無いことを声を大きくして否定した。
ミズキの声量と迫力にひよりは少し怯えている。
「ラジアータには錦木千束って名前でアタシの顔写真が登録されてんのか?」
「???」
「こちらの話だ。気にしなくていい」
ミカはひよりの頭を撫でる。
「今は千束とたきなの2人は外出中だ。戻り次第改めて紹介する」
「中原ミズキよっ。改めてよろしくぅ」
ミズキは一升瓶から日本酒をコップに注いで呑み始める。
口には出さないが『この部署大丈夫かな』とひよりの胸に一抹の不安がよぎる。
「Freeze!」
喫茶リコリコの扉が勢い良く開くと、ミルクティーブロンドの髪色の少女が前髪をオールバックにセットし、小さな顔には不釣り合いの大きなサングラスをかけている。
口先で小さく『ダダン ダン ダダン』と口ずさんでいる。
その刹那、ひよりは畳の席の仕切りに身を隠しながらオールバックの少女に威嚇射撃をする。
射撃の的になった少女の目の前を弾丸が通過する。
「コレは威嚇射撃です。次は当てます」
「ちょーい!ちょい!!ストップっ!ストップっ!」
「敵ですか!?」
オールバックの少女に続き、漆黒の美しいロングヘアの少女が店内に飛び込み、カウンターの物陰からひよりに向かって銃を構える。
「ちょい待ち!ちょい待ちー!!2人とも銃を下ろしてー!!」
少女の悲痛な叫びに殺伐としていた空気が落ち着きを取り戻した。
「全く、千束が悪いんですよ?『今日の私はアーノルド・チサツェネッガーだぁ』とか言って悪ふざけするから」
「お前、昨日ターミネーター観たろ」
「ターミネーター2な?アレはマジで神。...って映画の話は置いといて?この可愛らしい女の子は?」
「昨日説明したろ...」
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。DA本部から配属になりました、柊ひよりと申します」
ひよりは丁寧に頭を下げる。
「初めまして、ひよりー!!私は錦木千束!ちさとでOKっ!リコリコによーこそっ!クヒヒッ」
「井ノ上たきなです。たきなで構いません」
「い、いえっ!そんな馴れ馴れしく呼ぶことなんてできません!錦木様と井ノ上様と呼ばせてください」
「ブーブー( ー̀εー́ )。錦木様なんてナンセンスな呼び方はノーグッド!しっかし...」
千束は舐め回すようにひよりの容姿を確認する。
整った顔立ちに華奢な体格とデフォの上目遣い。
「こりゃホールの顔面偏差値がまた上がってしまいますなぁ。そろそろミズキもお払い箱かもしれない」
「聞こえてんぞー」
「聞こえるように言ってるからな」
「なにをー!?」
「いやーん、おやめになってっー」
ひよりを中心にミズキと千束が鬼ごっこを始める。
そんな2人にたきなが小さくため息をつく。
「ところでひよりさんはおいくつですか?」
「ひよりで構いません。私は16歳です」
「今年17歳ですか?」
「はい、仰る通りです」
「グハッ!!」
ミズキが奇声を発すると大袈裟にその場に倒れ込んだ。
「つ、ついに恐れていたことが起きてしまった...」
「どうしました?」
たきなはミズキの発言の意図が理解できず、正しく理解した千束はミズキの肩を優しく叩いた。
「一回りも違えば、間違いなくおばさんだよ」
「ギャー!!」
「うるさーい!!」
再び店内に悲鳴が響き、合わせてミカの怒号が飛んだ。
「お2人が延空木事件を解決なさった伝説のリコリスなのですね」
「伝説のリコリスだってーイヒヒッ。ねぇたきな?聞いた?伝説だって!聞いた?」
「分かりやすく浮かれてますね」
ミカが淹れてくれたコーヒーを飲みながら3人で談笑をしている。
ひよりはとても美味しそうに丁寧に丁寧に飲んでいる。
たきなはひよりの眼帯に目を向ける。
「その眼帯は治療中ということですか?」
「治療自体は済んでいるのですが、ケガの影響でほとんど見えなくなってしまって...。視界がボヤけてしまうので敢えてつけています」
「せっかくの可愛いお顔が台無しだよぉ」
千束はひよりの頭を撫でる。
ひよりは照れる素振りは見せたが嫌がる素振りは見せず千束の行為を受け入れる。
「ひよりは本部に戻りたいのですか?」
「.......」
ひよりは言葉を詰まらせた。
「分かりません...」
更にひよりは表情を曇らせる。
「戻りたい・戻りたくないで言えば戻りたいのだと思います。しかし今の私にはその言葉が許されるほどの価値はありません」
ひよりは眼帯を押さえる。
この眼帯さえ無ければ、私は本部にいれたのにという思いが、ひよりが口にせずとも2人には痛いほど伝わる。
「私はどうすればいいのでしょうか...」
たきなにはひよりがリコリコに来た当初の自分と重なった。
そしてその時、千束から貰った大切な言葉を思い出していた。
たきなはひよりの肩を抱き寄せた。
「いっ、井ノ上様っ!?」
「大丈夫です」
「???」
「今はまだ出口の無いトンネルの中いるように感じていると思います。ですが、ひよりがどうするかの答えは私たちは持っていません。残酷かもしれませんがひより自身が見つけるしかありません」
ひよりの頭にたきなが優しく手を乗せる。
その手は大事なものを慈しむように丁寧で優しい強さだ。
「それでも失うことで得られるものもあると、私はここで学びましたから」
たきなは千束を見る。
千束は小さく微笑むと同意するように頷いた。
「ひよりにとって今は絶望の淵にいるのかもしれません。しかしまだ途中です。チャンスは再び必ずひよりのもとを訪れます。その時にしたいことを選べばいいんです」
「...私は指令以外では何も選べません。そんな私が選べるような人になれるでしょうか...」
「大丈夫です」
先程以上に強くたきながひよりを抱き寄せる。
「そのためにココがあり、私たちがいます。私たちを頼ってください」
数拍の間を置いて、ひよりは体をたきなに預けた。
ひよりにとって必要なのは、指令では無く向き合うための場所とタイミングだったのかもしれない。
「やるじゃん相棒」
「.......やったぜ」
千束とたきなが小さく拳を合わせた。
いかがでしょうか?
第1話なので文字数は自分としては比較的控えめです!
お気に入り登録や感想なんかいただけたら、とてもとても嬉しいです!
これからよろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ
ではまた次回に!!