さて、最初から説明しよう。俺の名前は……まぁそれはいいや、とにかく目が覚めたら知らない天井が目に飛び込んできて、声も顔も変わっていた。病室……というより保健室っぽい?
おかしな話だろ? 正直夢だと思いたい。しかも財布の学生証を見たらなんと驚き、ピーター・ベンジャミン・パーカーって書いてあった!
……まじ? そりゃあスパイダーマンもマーベルも好きでヒーローに憧れてきたけどさ、ホントになれるとは思わないじゃん? まあ、責任とか色々あって本気でなりたいって思ったことはないけどさ。
蜘蛛のパワーがないって可能性も考えたけど、ジャンプして天井に手をくっつけたら離れなくなった。ちなみに今も宙ぶらりん。
鏡で見た顔は、まあイケメン寄り? 平凡って感じもするし至って普通の男子高校生だな、映画でもアニメでも見たことない顔だけど。
さぁてどうしようか……いや待てよ、この学生証……『ミレニアムサイエンススクール』って書いてないか?
いやいやいや、ミレニアムってブルアカの学校だろ? ピーター・パーカーはマーベルのキャラクターだし、そもそもブルアカに男子生徒なんて一人もいないはず……。一応ブルアカは最終章までやったけど、接点なんてひとつもないよな?
まさか、ここがキヴォトスなんて言わないよね? ニューヨークの500倍治安が悪いトコなんだけど!?
「うっ……!?」
ピリッ、と脳裏を針でつつかれたような感覚と同時に天井から手が離れた。ドタン、と尻もちをついて身体を起こすと、目の前には……ああ、嘘だろ?
白石 ウタハが居た。
「ウタハ……?」
「……ピート、まだ安静にしておいた方がいいよ。上手く立てなかったんだろう?」
差し出された手を無意識に掴み、起こしてもらって肩を借りる形になる。別に気分は悪くないし普通に歩けるけど、色々と情報が追いつかなくて、頭がこんがらがる。
俺が目を覚ましたベッドに腰掛け、ウタハはベッドの横に備え付けてあった椅子に座った。
「あぁ、えっと、ありがとう」
「もしかして、発表に出れなかったことを気にしているのかい? 心配しなくても、発表は無事に終えられたよ。寧ろ、君が倒れたって連絡を受けた時が1番心配したよ」
ピーターらしいジョーク!
「ははっ、あ〜……ちょっと空飛ぶ緑の妖精に殴られちゃって……」
「……私は本気で君を心配しているんだよピーター・パーカー……君は無茶してるときほど笑ってるからね」
ここじゃなかった?ジョークってタイミングがちょっと難しいな……。
「ああそうだ、君の友達はもう帰ったよ。なんでもまとめなきゃいけない資料が沢山あるらしい、とても忙しそうだったよ」
友達……そうか、ピーターに親友はつきものだよな。あんまり良い展開にはならないけど。
「とにかく、安静に。私はそろそろ部室に戻るよ、お大事にピート」
「ありがとう……ウタハ」
部屋を出ていくウタハを見送りながら、俺の頭の中はあることで埋め尽くされた。
『この世界のピーター・パーカーには彼の人生があった』
俺……いや、一人称がややこしくなるから『僕』が今ここでポッと出現した訳じゃない。彼はウタハと面識があり、ミレニアムに所属し、友達が居て、キヴォトスで自分の人生を生きてきた。
つまり、僕はそのピーター・パーカーの人格と記憶を乗っ取ってしまった、ということだ。なぜ病室にいるのかも分からないし、スマホのパスワードも分からない……あ、顔認証で開いた。
モモトークを見ると、僕……いや、ピーターを心配するメッセージが何件か届いていた。カヤってあのクーデターの……?
こっちはヒビキ、あとマキ……ほぼミレニアムだな。コナツって人は知らないけど。
あとは企業のアカウントかあまり会話していないアカウント……まぁ、交友関係はこんなもんだろう。寧ろ、男だけでこれだけ仲良くなれたのは凄いよピーター。
……だから、返さなきゃならない。ピーター・パーカーに、この人生を。
そりゃあ、ピーターになってスパイダーマンの力を使えるのはすごく嬉しい、けど他人の人生を奪ってまで得ようとは思わない。
仮にピーターに身体を返して僕が消えることになっても……それはそれで構わない。だって、大好きなスパイダーマンの役に立てたんだから。
大いなる力には大いなる責任が伴う……か、もうベンおじさんには言われたのかな。
つまるところ、これが僕の責任だ。
スパイダーセンスが反応したのは、正体がバレたら危険!って無意識に判断したからです。ウタハが危険って訳じゃないです! とってもいい子です!
ピーターの見た目は茶髪で顔と髪型はマーベルライバルズのピーターに似てる感じです。普通にイケメンですよ、羨ましい!