6月9日の夜、私には双子の妹と幼馴染の男の子がいた。その幼馴染の誕生日である今日、魔法少女として忙しかった今日共に私達双子と悪の組織と戦ったヒーローの竹田さんと少し遠いデパートへと向かったその帰りだった。
魔法少女とはいえ年齢はまだ15に行かない少女であった私達では異性の誕生日プレゼント選ぶのに一苦労だった。そこで大人であり男性の竹田さんならと誘って正解だった。
「ケーキも買って準備万端かな?」
残りは幼馴染の家に向かうだけの2人。竹田さんは任務が終わったとヒーロー仲間達に連絡を取りながら私達に歩幅を合わせている。
「今日はありがとうござ―――」
十字路に着き、幼馴染の家に向かうべく竹田さんにお礼をして別れる予定だった。竹田さんも小さく手を振って別れようとしていた。
でもそれを妨げる者が現れた。魔法陣のような丸い紋様が何もない空間に出現する。そこからぬいぐるみのように小さい雛のような生き物が飛び出てくる。
「ピッツ?」
ピッツと呼ばれたその雛は私達双子に魔法少女の力を与え、悪の組織と戦う使命を与えた存在。その雛は魔法生物と呼ばれ魔力を感知したり多少制御できたりする。
『悪の組織フリームが出たッツ!』
それだけなら今まで通りだなといつも通りの反応をしているとピッツは私達双子がその自分の耳を疑う事を言った。
『場所は2人の幼馴染の彼の家ッツ!』
ピッツの言葉が理解できなかった。なぜ彼の家何だと、私達が魔法少女だとバレ、人質を取られるのではないかと思った。しかしピッツとはまた違う別のところからも情報が入った。
「なんだって!?」
竹田さんだ。彼ら組織は悪者が街を襲撃したり、困った人など助けがいる人達に手を差し伸べる。しかし今回のは違った。彼は焦りか緊急事態なのかすぐにヒーロースーツを身に纏う。
これ以上何がと言いたい2人だったがマスク越しでもわかる竹田さんの焦りが今回はただ事ではないと言っていた。
「2人とも!すぐに変身してくれ!」
竹田さんに言われすぐに変身する。変身完了後すぐに竹田さんの組織の車が降ってくる。それに乗り、少し荒い運転をする彼はすぐに情報を提供してくれた。
「今回出現したのはフリームの親玉、魔王ユメナシだ!!」
私は今開開いた口が塞がらなかった。それだけではなかった。今彼の家は火事になっているという。私達は車のドアを開けて飛び出し、家々の屋根を飛びながら彼の家へと向かう。彼は無事だろうか、それしか頭になかった。
高く飛んだ時、暗い夜の世界に似合わない明るい場所を見つける。光と共に黒い煙が立ち上っている。アレだ、あそこだ、彼の家だ。
現場にはすぐに消防車や警察などが着ていた。救急車は見当たらず、少なくともまだ怪我人はいないのではないかと思えた。
だが火の勢いは思っていた以上に酷く消火が間に合っていなかった。
「私、下見るから上お願い!」
家の前に着いてすぐに私達は二手に分かれる。燃える家に入って気付いたことがあった。この炎がただの炎ではないということだ。私達が纏うこの魔法少女の服はこちらの世界、魔力がない世界の現象には絶対的な耐性を持つ。しかしこの炎は違った。熱を感じる、服の端が焦げる。それだけじゃない、棚や机などの家具が燃え落ちているなら疑わなかっただろう。
だって燃えて灰になっているのは写真や本などの物ばかり。彼の思い出の品だけが燃えていた。まるで彼という存在を忘却するように。
『あちっ』
追いかけてきたピッツが炎に襲われながら部屋中を飛び回る。本来なら人に見られてはいけない存在がこの中に関係者以外いないと入ってきたのだろう。
『だめッツ!やっぱりこの炎、魔王ユメナシの魔法ッツ!』
ピッツのおかげで認めたくない仮説が確信になる。この炎は魔王ユメナシの炎でどういうわけか彼の家を燃やしている。もしかしたら彼を死亡扱いにし、何かの悪巧みに使うつもりなのかもしれない。
遅れて竹田さん達も入ってきた。そこまで大きくないよく知る家をくまなく探すが、結局彼は見つからなかった。家は全焼し全てが燃え落ちた。
この火災での死者はゼロ、ただし彼は行方不明として処理された。
彼を失ってすぐに敵組織は変わり始めた。今まで量産された怪人や戦闘員、人工怪獣を使って街に襲撃をしていたのに、今日は全く新しい未知の怪人を作り出していた。それだけじゃない。なんと怪人を巨大化させた。ヒートグリフォは倒れた怪人に飴のような物を食べさせていた。
いったいどうして?今までそんなことなかったため、フリームを追い返してすぐにニュースやSNSに載せられた。
悪の組織が生まれ変わった、悪の組織らしくブラックだったのが変わった。憶測が飛び交っていた。
「なぜ急に…」
竹田さん達ヒーロー部隊の本拠地、飛空艇「ヘロ」の休息室にて瓶に入った甘いフルーツ牛乳を飲みながら前回の戦いについて振り返っていた。
どうして急に戦闘方法を変えたのか、何故新しい怪人を今出したのか。あの時ヒートグリフォに彼のことを聞いたが特に知らない様子だった。他幹部ならまだしも彼は嘘が苦手という噂だったが事実だと信じよう。ヒートグリフォは彼について知らない。
「あ、明日学校どうしよ…」
飲み切った牛乳瓶を机に起き、明日以降のことについて考える。正直学校へ向かうべきだろうけどそんな気は起きないし、彼を見つけるのが先だと言う自分がいる。
ただ明日になれば気分も変わる可能性だってある。
「今日はゆっくり寝よう…」
その後フリームによる街の襲撃も事件も起きず平和な1日が過ぎた。
その頃、月の城にてフリームの新人であるハルはドクターサウイ含む幹部が集まる会議にて前回、ハルが人間の負の感情を糧に生み出した怪人があまりにもインパクトの無さに遺憾の意を示され、グチグチと詰められていたのだった。