ユニバース戦士補ジュウ計画 EXTRA-ROUND 作:地水
この度『ユニバース戦士補ジュウ計画』の三次創作としてこの話を送らせていただきます。
どうかご覧ください。
今回お送りするするのは、二人の熱き戦士の話。
ユニバース
それは、伝説のヒーローチーム『スーパー戦隊』の力を宿った不思議な指輪・センタイリングの呼び名であり、それを有した戦士達はすべて『ユニバース戦士』と呼ばれていた。
元々は大いなる巨神・テガソードが生み出した力の一端なのだが、その指輪をすべて集めればどんな願いが一つ叶えられるという。
その唯一の報酬のために戦士として選ばれた者達は日夜おのれの想いを胸に戦っていた。
今回、お送りするのは二人の赤き戦士の話。
一人は電撃を纏った赤き竜の戦士。
一人は爆発力を秘めた科学の戦士。
姿形や力の源も異なる二人は、その強い願いによってぶつかり合う。
その思いにあるのは何一つ違わない同じ願い。
どうしても叶えたい願いを持った二人の戦士がぶつかる先にあるのは、一体なにか?
~~~~
某所。
そこには銀色のベルのような金属質を纏った頭部を持った怪人・アーイーに取り囲まれた一人の男がいた。
普通なら絶体絶命のような状況なのだが、男は特に慌てる様子もなくぽつりと呟く。
「また狙いに来たのか? 全く忙しいことだな」
『お前の指輪をよこしなさい! さもなくばこのワタシ、テン・カセイがお前を倒すことだろう』
戦闘員のアーイーをかき分けて、現れたのは金色のベルの頭部を持ったアーイー。
隊長格であるこのアーイー"テン・カセイ"はバット型の武器を構え、目の前の男へと向ける。
その様子に男——
「いいぜ。だけど俺の投球、打てるモンなら打ってみろよ」
挑発じみた言葉と共に彼が取り出したのは、金色の縁に鮮やかな模様が描かれた1つの指輪。
爆発と名乗りを上げる戦士の姿が描かれたその指輪……ユニバースリングのひとつである『ダイナマンリング』の縁を回し、そして高らかにその言葉を名乗り上げる。
「エンゲージ!」
【SENTAI-RING!】
刀二の右手に装着されていた銀色の装飾が施された手型武器『銀のテガソード』へダイナマンリングを装填し、両手を叩く。
軽快な音楽と共に拍手の音が鳴り響き、続けて一拍子・二拍子とタイミングよく叩く。
そして最後の音色と共に手を叩くと、その場で鳴り響いたのは……けたたましいほどの大爆発だった。
『『『アーイー!?』』』
爆発の余波で巻き込まれてしまう悲惨なアーイー達の声を他所に、爆炎の中から一人の戦士が姿を現す。
白い下半身と赤い上半身で分けられた野球選手のユニフォームを思わせるその赤い戦士の姿は、テガソードから鳴り響いた名と共に高らかに名乗り上げた。
【DYNAMAN!】
「ダイナレッド、登板……ってな」
指輪の戦士・ダイナレッド。
これが刀二自身が変身するユニバース戦士としての名であり、かの『科学戦隊の赤き戦士』と瓜二つの姿をしている。変身を遂げたダイナレッドはド派手に登場すると、吹き飛ばされたアーイー達を見やる。
「さぁ、かかってこい。俺の魔球を捉えられる馬鹿はいるか?」
『なにを! だったらオレがいってやる!』
ダイナレッドの言葉に対して一体の銀色のアーイーが名乗り上げて、武器を振り上げる。
その姿を見て、ダイナレッドはすかさず投球フォームの姿をとって構えをとる。
もう何百回もして慣れているかのような無駄のないその動きはまさに野球選手のようであった。……事実、この駆動刀二は野球を生業としている【現役野球選手】である。
「おっらあああああ!」
ダイナレッドが勢いよく投げたその球——本家ダイナマンの"とある大技"を光の玉として応用した技——は目にも止まらないほどの投球速度でアーイーに迫り、そして持っていた武器を粉砕しながら進んでいき、そして背後で爆発。
物の見事に得物ごと自身を失ったアーイーは爆風にかっさらわれて退場……圧倒的な戦力差を見て、その様子に他のアーイー達やテン・カセイは驚く。
『なっ、なんだあのボールは!?』
「スーパーダイナマイトボール……驚くにはまだまだ序の口だ」
そう言いながら、次の投球フォームに入るダイナレッド。
その様子に他のアーイー達は恐れ戦き、テン・カセイは見開く。
どうやらこちらの実力に驚いているようでダイナレッドはさらに付け加える。
「現役野球選手のスタミナと張り合うってならどこまでも付き合うぞ」
「もっとも、俺は今の所属球団一粘り強いぞ?」
マスクの下で不敵に笑っているであろうダイナレッド。
無敵とも言うべき程強さを誇る彼に対し、テン・カセイはたじろぎながら命令を下す。
『撤退だ! 撤退! ……くぅ、覚えていろよー!!』
銀色のアーイー達と共にテン・カセイらブライダンは撤退。
一先ず脅威を退けたダイナレッドは変身を解き、刀二は逃げていくブライダンを静観する。
「とりあえず、邪魔な奴らを追い払ったのはいいが……はぁ、また振り出しかなこりゃ」
そう言いながら、刀二はその場から去っていく。
後に残されていたのは、最小限に留められた戦いの後と……。
――その戦いの一部始終を遠くから目撃していた、一人の赤い人影だった。
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――テガソードの里
元々は"半世紀"という名前で喫茶店をしていた所なのだが、とあるきっかけによりかの指輪の戦いを持ちかけた神の名を冠する店名となった。
そのきっかけは言うまでもない……ここには指輪持ちの戦士が何人もいるからだ。
現在店内にいるのは三人の指輪持ちの戦士だ。
「……匂うな。焦げ臭い匂いがする」
一人は目つきと雰囲気が悪そうな若い青年・遠野吠。
指輪の戦士の一人であり、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』の赤き戦士・ゴジュウウルフに変身する。
彼が身に着けた指輪の力である鋭い嗅覚で何かを感じ取っていた。
「おい遠野、聞き捨てならんぞその言葉。私のテガソード様のために作ったオムライスはどこも焦げてないぞ」
鼻をひくつかせている吠に対し、反論を口にするのは眼鏡をかけたいかにも真面目そうな男・暴神竜儀。
彼も同じく指輪の戦士であり、ゴジュウジャーの黄色の戦士・ゴジュウティラノそのひと。
テガソードを信奉し、彼の意匠と愛を込めたテガソード型のオムライスを指さしながら抗議していた。
「まぁまぁまぁ。竜てゃの料理がそんな焦がすこともないだろうし、ほら、おいしそうにできているではないか」
そう言いながらテガソードのオムライスを受け取って食べ始めるのは高校生くらいの見た目の少年・猛原 禽次郎。
彼は指輪の力で若返った高齢の老人であり、同じくゴジュウジャーの緑の戦士・ゴジュウイーグルに変身する。
二度目の青春を謳歌している彼は、今日も若返りの源である卵をつかったオムライスを食べ始める。
「ちげぇよ、焦げ臭いって言っても、火薬の匂いが漂ってんだよ」
「火薬だと? まあ季節的にはそろそろ夏祭りの季節なのだが……」
「どこかで先に花火パーリィーしている子がいるんじゃないのかな? 僕たちもしたいなぁ」
火薬の匂いと指摘する吠、カレンダーを見て夏と感じる竜儀、そして何処かの誰かがやっているであろうパーティーに思いをはせる禽次郎。
……と、本来なら青い戦士と黒い戦士がいるのだが、彼らは都合が悪くここテガソードの里にはいない。
代わりにやってきたのは、一人の男だった。
「ここか、テガソードの里は」
西部劇で見そうな半扉をあけてやってきたのは、一人の男——駆動 刀二。
その姿を見てまず反応したのは、吠だった。
「お前か、火薬臭さが鼻につくヤツは」
「火薬……?」
突っかかってくる吠の言葉に眉を潜める刀二。
2人は睨みあい、さっそく一触即発な雰囲気になりかけるが、その空気を換えるように叫んだのは竜儀と禽次郎だった。
「「駆動刀二選手!?」」
眼を見開いて驚く竜儀と、まるで大スターを見るような憧憬の視線を送る禽次郎。
2人の姿を見て少し困惑した吠は刀二を指さしながら訊ねた。
「コイツ、有名人なのか?」
「コイツって失礼な! 遠野、その指を下げなさい!」
「そうだよ吠っち! 駆動選手のこと知らないとは!!」
この場に現れた刀二を知らない事に、同業である2人から責めたてられる吠。
特に野球好きでもある禽次郎はまるで彼を知ってるかのように熱弁しはじめた。
「この人は雷鳴ファイヤーズの現役選手である駆動刀二! 彼がファイヤーズに入って戦ってきた名試合は数知れず! 生み出した魔球は誰にも打たれたことがないっていう凄い投手なんだぞ!」
「おう……熱く語るな、お前」
「当然だ。僕も妻も彼の大ファンなんだ。今も大ファンだけど」
そう言いながら禽次郎は吠に刀二がどれだけ凄い野球選手なのか語っていく。
まるで自分の如く自慢げに語る彼を見て、ひとまず止めたのは刀二本人だった。
「オレのこと知ってもらえてるのは光栄だけど……今のオレは野球選手として来ていない」
そう言いながら刀二が他の三人に見せるように取り出したのは、ダイナマンのユニバースリング。
それは指輪の戦士の証明ということもあり、同じ戦士である吠達は目を見開いた。
「それは、ユニバースリング!?」
「まさか、駆動選手が指輪の戦士だなんて!?」
いきなり出された指輪に驚く竜儀、憧れの選手が争いあう戦士だったことにショックを受ける禽次郎。
2人が驚愕している最中に吠はまるで獲物へ食らいつく狼のようにぎろりと視線を刀二へ向けた。
「なんだ……道理で火薬の匂いがすると思ったら、その指輪のせいか」
「いかにも、指輪の戦士ダイナレッドだ。科学戦隊ダイナマン、らしいから火薬の匂いとやらがするかもな」
「だったら話は早い。指輪の力をかけて勝負しようってか?」
すぐに交戦態勢をとるように自身の指にはめた赤い指輪・ゴジュウウルフリングを取ろうとする吠。
だが、すぐに返ってきた答えに吠達ゴジュウジャーは呆気にとられるのであった。
「違うぞ」
「はっ、違う……違う!?」
「オレが求めるのは指輪じゃない。お前達が知っているであろう情報だ」
指輪が狙いだと思っていた吠は眉をひそめながら驚き、刀二は自分がここにやってきた目的を告げる。
呆気にとられている吠を後にして、刀二はカウンター席に座ると、早速三人に要件を話す。
「先ほども言った通り、オレが欲しいのは情報……それも、指輪の戦士の情報だ」
「指輪の戦士の情報か。確かに我々は指輪の戦士の中でもそこそこ交戦経歴が多い気しますが」
刀二が口にした『指輪持ちの情報』を口にして、竜儀は含みのある言い方をしながら今まで出会ってきたユニバース戦士の姿を思い返す。
まず印象深いのは総理大臣という異様な経歴を有する熱海常夏/ドンモモタロウ。
戦隊考古学を先行している大学教授・往歳巡/ティラノレンジャー。
自称野獣使いな元自然保護官・等々力凱亜/ガオレッド。
竜儀の実家の家政婦さんである家守召子/レッドレーサー。
ギャルマインドな若者・一河緒乙/シンケンレッド。
……なお、後程『竜の戦士に転身する第二の若返り老人』や『最強すぎる
そんな出会いがあることは露知らず、確かにユニバース戦士とは何かと縁があるゴジュウジャー達だが、そこで禽次郎が代表して疑問を口にする。
「気になっているんだが、駆動選手が求めている指輪持ちってどんなのだろうか?」
禽次郎の質問を聞いて、刀二は少し間をおいて話し出す。
そして意を決して、吠達三人に打ち明ける。
「俺の魔球を打った赤い戦士探してるんだ。ソイツは恐らく……オレの知ってるやつだ」
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某所。
そこで戦っているのは、真っ赤な姿の戦士。
また別のユニバース戦士であるそれは、目の前に倒れるブライダンのアーイーを見やった後、背を向けた。
「まだだ、まだ戦わねえと……ブランクは取り戻せない」
そう言いながら、赤い戦士はその場から去った。
竜の意匠が入ったその戦士の名は、『チェンジドラゴン』。
電撃戦隊チェンジマンの力を継いだ赤き戦士である。