―GENESIS―
そのロゴとともに、壮大な音楽が流れ、CMが始まる。
そして画面に映し出されるのは、白を基調とした清潔で巨大な本社ビル。最先端の医療を受けて笑顔を浮かべる人々や、最先端のテクノロジーと握手を交わすビジネスマンたちの姿。
〔世界に広がる、大いなる自然の恵み。私たちはその力をテクノロジーと融合させ、さらなる高みへと導きます。豊かな未来、確かな安心。すべては皆様の笑顔のために――〕
その台詞とともに、一人の男が現れる。
彼こそがこの巨大企業、"ジェネシス・コーポレーション"の社長、"
〔―ジェネシス・コーポレーションは、これからも皆様とともに歩み続けます。〕
天昇が一礼し、CMは終了する。
◇
―ここは都市部からは少し離れた町、"
先ほどのCMを映した街頭テレビを背に、一人の青年が町を歩く。
彼の名は町の民間警備局"
その人当たりのいい性格から町の人々にも慕われている。
そんな彼は日課のパトロールを終えて帰る途中、顔なじみのおばちゃんに声を掛けられた。
「秀二ちゃん、いつもお疲れ様。よかったらこれどうぞ。」
おばちゃんはそう言うと、袋いっぱいに入ったリンゴを秀二に渡す。
「おばちゃん!こんな美味しそうなリンゴ…、ありがとう!」
秀二が嬉しそうにそれを受け取ると、向こうから見覚えのある男性が歩いてくるのが見えた。
「おや、松城さん。お疲れ様です。」
それは都市部で働く警察官、"
普段の制服ではなく私服で秀二に近づく。
「水田さん、どうしてここに?」
話してみると、どうやら水田は今日は非番で、近くの温泉につかりに来たとのことだ。
秀二のほうも、パトロールを終えたところで、タイミングよく水田と出くわしたのだ。
「ははっ、相変わらず働き者ですね。」
「いえいえ、今はオレがこの町を守んないとですから。」
秀二の働きっぷりに感心する水田。
一方、秀二のほうは、この町では民間の警備組織のメンバーである彼がほぼ警察と同じような働きぶりで町の治安を守っていることもあり、その言動は責任感にあふれていた。
水田も普段からそんな秀二を気遣っており、たまにサポートもしている。
「松城さんもやる気があるのはいいですが、適度に休ませないと、ここぞという時に足を踏み外しますよ。」
「はい、ありがとうございます!」
そのような会話をして、二人はその場を離れた。
◇
秀二が向かったのは、町の住宅街の中にぽつりと構える1つの建物。
それこそが秀二が所属するSHIELDの本部である。
「光、ただいまー。」
「ああ、秀二さん。お帰りなさい。」
帰宅した秀二を出迎えたのは、若くしてSHIELDのメンバーとして働く少女、"
彼女は虚弱体質ゆえ、秀二のようにパトロールをしたり用件があれば現場に向かったりはできないものの、その頭脳は天才というほかなく、その技術力をフル活用してサポートに徹している。
SHIELDの実働メンバーが事実上秀二一人で事足りているのも、光あってのものだ。
「見ろよ光、リンゴがこんなに貰えちゃったぜ。」
「おや、では今日はリンゴカレーですかね?」
「あはは、まあ頑張ってみるよ。」
いつも通りの談笑をする2人。
そんな中、突如として光のパソコンから警報が鳴る。
「ッ!?秀二さん、この反応…インベスです!」
光の言ったその言葉に秀二は驚愕の表情を見せる。
「インベス!?なんでここに…。」
「わかりません、でもまだ反応はそこの裏山です。町にたどり着くまでは時間があります!」
それを聞いた秀二は表情を強張らせ、ロッカーへ駆け寄ると、厳重に保管されていた“あるもの”を掴み取った。
そのまま大急ぎで玄関まで向かう。
「…オレが行ってくる。」
「秀二さん!?でもあなたは…。」
「わかってるさ、でもこの町は、オレが守らなくちゃいけないんだ!」
外に出た秀二はポケットから錠前の形をした特殊なマシン、"ロックビークル"を取り出して起動。
それは巨大化し、バイク型のマシン、"サクラハリケーン"となった。
秀二はそれに乗り、裏山に向かう。
◇
裏山に着くと、サクラハリケーンをもとの錠前の状態に戻し、近くを散策する。
するとそこには、鳥を模した姿をした"スザクインベス"がいた。
自分のほうに顔を向けるスザクインベスに、秀二は一瞬たじろぐ。
秀二は過去のあるトラウマを、いまだぬぐえないでいたのだ。
「…インベス、オレが相手だ!」
しかしそれでも心の中で自分を鼓舞し、ポケットから"戦極ドライバー"を取り出し、それを自らの腰に巻く。
そしてそれに対応するアイテム"ロックシード"のうちの一つ、"マツボックリロックシード"を取り出して起動する。
『マツボックリ!』
すると秀二の頭上に"クラック"と呼ばれるゲートが開き、そこからマツボックリの形をしたアーマーが出現する。
そして、これを言うのはいつぶりだろうか。秀二は"その言葉"を叫ぶ。
「変身!」
『ロックオン!』
ロックシードをセットすると、和風な音楽が流れる。
そして秀二は、戦極ドライバーにつけられた刀状のパーツ、"カッティングブレード"に手をかけた。
『ソイヤッ!』
『マツボックリアームズ!一撃インザシャドウ!』
カッティングブレードを倒すと頭部にアーマーが合体。
それと同時に秀二の体は黒色のライドウェアで覆われ、アーマーが展開。
秀二は"アーマードライダー黒影 マツボックリアームズ"に変身した。
"アーマードライダー"
それは、戦極ドライバーとロックシードと呼ばれる2つのアイテムを使って変身する戦士の名。
秀二はその力を使って、インベスと戦うことができるのだ。
「うぉぉぉっ!」
黒影は専用の長槍"影松"を構えてスザクインベスに突進する。
しかしスザクインベスはそれを後ろに飛んでかわし、火球を放って反撃する。
「うわぁっ!」
黒影はそれを防ごうとするが反応が遅れ、まともに食らってしまう。
それでも立ち上がろうとするが、思うように力が入らない。
黒影の足は震えており、無意識に目の前のインベス、いや、
それらの根源に対する恐れが出ていた。
「クソっ…なんでオレはこんな時に…!」
そんな黒影にも、スザクインベスは足を止めることはない。
トラウマが残る中、黒影は絶体絶命のピンチに陥る。
◇
そんな中、木陰から黒影とスザクインベスの戦いを見物している謎の青年がいた。
彼の手には戦極ドライバーと2つのロックシードが握られている。
彼は秀二が変身するのを見て、それらの道具の使い方を覚えたのだ。
そして戦極ドライバーを腰に巻くと、未認証だったライダーインジケータに、新たな戦士の顔が映し出される。
『リンゴ!』
青年は自身が持っているロックシードの1つ、"リンゴロックシード"を起動すると、頭上にクラックが開き、そこからリンゴの形をしたアーマーが現れる。
そして彼は、先ほど秀二がやっていたようにつぶやく。
「変…身…」
『ロックオン!』
ロックシードをセットすると、黒影のものとはまた違う、ダークなファンファーレが流れる。
『ハッ!』
『リンゴアームズ!
カッティングブレードを倒すと、青年の頭部にアーマーが合体し、彼の体は黄色のライドウェアで覆われる。
そしてアーマーが展開し、ここに新たなアーマードライダーが生まれた。
「…悪くない。」
そうつぶやくと、彼は戦場のほうに目を向け、歩き出す。
◇
スザクインベスに追いつめられた黒影。
追撃を仕掛けられると思ったその時、突如スザクインベスに切りかかる謎のアーマードライダーが現れた。
「ッ、誰だ?お前…。」
黒影がそうつぶやくと、アーマードライダーは静かに答える。
「名前…この姿の、名前か…"ボロス"とでも呼べ。」
"ボロス"
そう名乗ったアーマードライダーは自身のアームズウェポン、"ソードブリンガー"と"アップルリフレクター"を構え、スザクインベスと相まみえる。
スザクインベスは果敢にボロスに突撃するが、ボロスはそれを容易くアップルリフレクターで受け止め、ソードブリンガーですぐさま反撃する。
慌てて上空に飛び、スザクインベスはボロスに向かって口から火球を放つ。
しかしそれすら難なく捌かれ、スザクインベスは明らかな動揺を見せる。
「…すげぇ。」
その姿に、黒影はただ息を飲むのみ。
不利を悟ったスザクインベスは背を向けるが、ボロスはそれを見逃さない。
『ハッ!』
『リンゴスカッシュ!』
赤いエネルギーをまとった必殺の斬撃"フォビドゥンエンド"が放たれ、逃げようとしたスザクインベスは一刀両断され、爆散した。
◇
静寂が戻った裏山。
ボロスは静かに変身を解除し、元の青年の姿へと戻った。
彼は黒影に視線を向けることもなく、ただ佇んでいる。
その得体のしれない人物に警戒を抱きつつも、秀二も変身を解き、彼へと歩み寄った。
「あんた一体、誰なんだ?」
秀二がそう聞くと、青年は少しの沈黙の後、答える。
「…凛、
◇
突如現れたインベスと、謎のアーマードライダー・ボロスの戦い。それを目撃したものがいた。
彼の名は"
彼は遊びで召喚したスザクインベスが誤ってコントロールを外れてしまい、それをここまで追っていたのだ。
「チッ、ボロスだぁ?わけわかんないのが出てきやがって…。」
目の前の光景に驚いていると、一宮の携帯に着信が入る。
それは一宮のボスからだった。
「もしもし、ボス?ああ、インベスは俺じゃなくて別のやつが倒して…いや、そいつとはまた違うやつがいたんだよ。え、とりあえず帰ってこい?…OK。」
その連絡を終えると、一宮はアジトのほうに帰っていった。
次回、仮面ライダーボロス
??「そのボロスという奴、勧誘してこい。」
光「秀二さん、やっぱこの人信用できないですよ!」
一宮「弱虫くんに用はねぇよ!」
凛「その力、なんのために使う。」
第2話 襲撃!バッドライダーズ!