5時に間に合わなかったので初投稿です。
第二章 第十一話
新型
さて、ほとんどなにも知らないまま騎士団……銀鳳騎士団に所属したわけだが、早速というか当然の疑問が団員から上がってきた。
――
というわけで、早速説明会である。
「
「そうだね。だが全ての
ディートリヒ先輩が疑問を挟んでくる。それに同意するかのように、何人もの団員が首を縦に振る。
「この
「ふむ……?」
「簡単に言えば、特定の人……この場合は、無線機を持つ人にしか聞こえない音声通信術式で会話する装備を作っています。今は、簡単な文章を符号で送れるようになったところです」
その言葉で理解できたのか、ディートリヒ先輩が恐る恐る聞いてきた。
「つまり、その無線機があればもっと複雑な命令を送ったり、
「そうなります。元々は、偵察隊に持たせて外部の眼とするための装備ですから、ディートリヒ先輩の運用は考慮の内です」
私の回答に、理解できた団員たちがどよめく。どう考えたって技術革新だからだろう。
「ただ現状の問題点として、確実に通信可能な安定距離が二百五十メートル。これは消費魔力量を九倍にすることで延伸が可能でしたが、コストが重すぎるとして棄却されています。別種の延伸手段として、送信された信号を受信、再発信することで通信可能距離を伸ばす中継機の開発に成功したものの、中継機を二台以上組み合わせた運用で、致命的な問題が発生しています」
「二台以上で問題が起きたとは、なにがあった?」
「中継機同士が延々と叫び合っていました」
「……は?」
質問してきたエドガー先輩が固まる。気持ちはすごく分かる。
「魔導具は人間ほど融通が利かないので、中継機同士で送られた信号を、律儀に延々と送り返し続けていたんです」
「絵面は面白いけど、一言送ったらもう終わりになっちゃったのね」
「そういうことです」
ヘルヴィ先輩が雑にまとめてくれる。とてもありがたい。
「中継機の改良ができなければ、延伸は難しいですね」
とりあえずの説明はこんなところだろうか。
「……とりあえず、今の説明で完成すれば、全
「ご理解いただきありがとうございます」
そう、今の段階では成果は出ているものの、採用するには到らない代物なのだ。特に距離の問題は大きい。通信途絶を許容すれば多少伸びるとはいえ、再送の手間を考えるとなんともといったところだ。
「まあリヴァも重要人物であると分かったところで、次の
「えっ???」
エルの言葉に騎士団員たちが、特に
あの、テレスターレ開発したばかりですよね? なにを言っているのだろうか? そうは思ったが、理由自体は極めてまともだった。
「カザドシュ事件で、僕たちはセキュリティ……強奪に対する意識の不足と機動力の不足を実感しました。なのでテレスターレを土台として、足の速い
こうして、テレスターレを土台にした新型機が二種類、建造されることになったのである。一方は機動力を重視した新型機。もう一方は、問題点の多かったテレスターレを改良した制式提出用とのことだった。
――――――
私自身は、自衛能力を持たせるためとして上等部の生徒たちの訓練に放り込まれ、
人間の視野角は意外と広い。横に伸ばした手をどこまで認識できるかには、多少個人差があるが大体、真横より少し前方に伸ばした手の辺りまでは見ることができる。集中すると意識している範囲は九十度前後に狭まるが、その分、動くものを捉えやすくなる。
さて、
そうなっているなら、下手に装甲の隙間を開けて視界を拡げるのも難しそうだ。
そうして時は経ち、上等部に揉まれて多少鍛えられた頃。工房で
開発者であるエルに聞いたところ、あれはモートリフトという小型
実際に提案するには、いささか時期が悪い。なにせ近日中には、王都で新型機御披露目を兼ねた模擬訓練があるからだ。