ナイツ&シグナル   作:伊倉軍貫

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書く速度に陰りが出てきました。


第十二話 開通

第十二話 開通

 

 高機動型幻晶騎士(シルエットナイト)である人馬型幻晶騎士(シルエットナイト)、正式名ツェンドルグの試作機が出来上がったものの、魔力不足で歩行困難に陥った。そのため、魔力炉心(エーテルリアクタ)を二つ積む双発式という苦肉の策で再設計を開始した。

 その頃、工房内に小型魔導演算機(マギウスエンジン)で操作性抜群のモートリフトが普及し、魔力式無線通信機(マギシグナルコード)の開発に大きな進展があった。

 

 まず、念願であった音声通信に成功した。これにはエルの協力が大きく、小型魔導演算機(マギウスエンジン)を介して音声を細かな魔力波に変換、受信側で魔力波を音声に復元することで、音質に問題があるものの『声』を送る機構の基礎が完成したというわけだ。

 そしてなによりも小型魔導演算機(マギウスエンジン)での制御で、中継機のループ処理が暫定的に解消されたのだ。ひとまず前回送信した魔力波を一件分の履歴として残し、同じ内容を受信すれば再送を拒否する処理を噛ませる。違う魔力波を受信すれば再送し、前回の履歴を上書きする魔法術式(スクリプト)を組み込むことで一方ずつしか喋れないものの、距離を大きく離しての会話が可能となった。

 

 当然ながら問題点も多い。試運転した際、常に全体通知になるので誰に向けた命令かをはっきりさせないといけなかった。そして、音質が相当に悪く聞き間違いが多発、音質改善を優先事項とした。

 そしてなにより、小型とはいえ魔導演算機(マギウスエンジン)なので、値段が跳ね上がった。幻晶騎士(シルエットナイト)に積む場合は、本体に積んでいる魔導演算機(マギウスエンジン)の一角で処理を行う事も考えたが、まだまだ改善点が多い代物であるため、魔力式無線通信機(マギシグナルコード)完成までは、整備性を考えるとその案は無しとなった。

 

 そういったことをまとめていたら、エルと私の警護を担当している藍鷹騎士団から指摘が入った。曰く、現在の無線機が常に全体通知というのは、この先を考えると非常にまずく早急に個別通信が可能な機構が必要で、更に言えば騎士団用と今後あるかもしれない民間用で、傍受しても内容を聞き取れない設計が必要、あとついでに藍鷹騎士団用の専用無線機も欲しいとのことだ。

 確かに、前世の知識としても防諜対策は入れておきたい分野ではある。カザドシュ事件でピリついているのもあってか、これは強く念押しされた。

 

 そうしてエルに説明してみれば、三日で全ての対策を完了させてしまった。曰く――

 

「周波数という概念はまだありません。ですが魔導演算機(マギウスエンジン)を噛ませるなら、発する魔力波パターン(言語)音声復元機(翻訳機)を使い分けてしまえばいいんです」

 

 とのことで、銀鳳騎士団用には全体、エドガー隊長率いる第一中隊、ディートリヒ隊長率いる第二中隊、ヘルヴィ隊長率いる第三中隊、そして団長個別チャンネルが登録された次世代型魔力式無線通信機(マギシグナルコード)が誕生したのである。

 藍鷹騎士団には専用無線機が納入され、それをベースに個別発展させていくとのこと。情報の専門家だけあって、通信機もすぐに使いこなしていきそうだ。

 

 開発に協力してもらっていた教官方は、この急激な変化に驚きこそすれど問題の大部分が片付いたことに一息ついていた。そして、急速に発展した分野であるため基礎研究の方を変わらず続けてくれるそうだ。

 正直言うと拝み倒したいくらいには感謝しかない。

 

 

――――――

 

 

 魔力式無線通信機(マギシグナルコード)について一段落したところで、その搭載プラットフォームとしてモートリフトを観察してみる。

 

 積載量については問題ないだろう。ただ、作業用と割り切っているだけあって、その装甲はないに等しい。機動力は、歩く幻晶騎士(シルエットナイト)に追い付けるだろうが、戦闘中の外部の眼とするには若干不安が残る。

 

 では、戦闘用とされるモートラートはどうなのか? こちらも戦闘用と言うだけあって、十分な積載量と装甲を両立している。機動力も十分あると断言できる。

 ただ、現状の無線機は大きい。中核の小型魔導演算機(マギウスエンジン)、送信機、受信機、音声変換機、発声装置が一体化しているからだ。サイズダウンにはまだまだ時間がかかる。特に中継機としての機能も持たせたものは、背負うようなサイズになってしまった。実際に試験してみないとなんとも言えないが、機動力にかなりの制限がかかりそうである。

 

 そこで、モートラートの発展系として、前世の知識(趣味のエッセンス)を添えて計画したものがある。……考えるだけならタダとはいい言葉だと思う。

 

――有人人型随伴機構想。

 

 今はまだ、ツェンドルグや騎士団で用いるテレスターレへの改修、ライヒアラ騎操士学校から発注されたモートラートとモートリフトの量産で忙しい。

 

 そのため、私のこの考えを精査する時間は、まだ残っている。

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